GNSS受信機メーカー5選｜高精度測位を実現する厳選企業

2025.08.15

測量や土木工事の現場で高精度な位置情報測定を実現するGNSS受信機。センチメートル級精度のRTK測位や作業効率化を図るIMU搭載機能など、最新技術が搭載された製品が続々と登場しています。本記事では、マルチGNSS対応の高性能受信機を提供する信頼できるメーカー5社を厳選してご紹介。各社の特徴や代表製品、用途別の選定ポイントまで詳しく解説します。

1 GNSS受信機とは？基本知識と選び方のポイント
2 厳選！GNSS受信機メーカー5選
3 用途別GNSS受信機の選び方
4 最新技術搭載GNSS受信機の比較
5 精度別・価格帯別GNSS受信機比較
6 GNSS受信機導入時の実践ガイド
7 業界動向と今後の技術展望
8 導入事例と効果測定
9 GNSS受信機選定のチェックリスト
10 よくある質問（FAQ）

GNSS受信機とは？基本知識と選び方のポイント

GNSS受信機の基本的な仕組みと機能

GNSS受信機は、全球測位衛星システム（Global Navigation Satellite System）から送信される信号を受信し、高精度な位置情報を取得する測量機器です。従来のGPS単体の受信機とは異なり、マルチGNSS受信機は米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のみちびき等、複数の衛星システムに同時対応しています。

GNSS受信機の基本的な測位原理は、複数の衛星から送信される信号の到達時間差を計算し、三角測量の手法により位置情報を算出することです。受信機は最低4つの衛星信号を同時に受信することで、緯度・経度・高度の3次元座標を決定できます。

現在の高性能なGNSS受信機には、衛星受信機能の向上により、従来のGPS単体では困難だった建物や樹木などの障害物がある環境でも安定した測位を実現する技術が搭載されています。これにより測量会社や土木会社での作業効率が大幅に向上しました。

マルチGNSS対応とGPS単体の違い

マルチGNSS対応の受信機とGPS単体の受信機には、性能面で大きな違いがあります。GPS GLONASSを含む複数の衛星システムに対応することで、受信可能な衛星数が大幅に増加し、測位精度と安定性が向上します。

GPS単体では最大32個の衛星しか利用できませんが、マルチGNSS受信機では100個以上の衛星を活用できるため、都市部や山間部での測位環境が飛躍的に改善されます。特に高層ビルが立ち並ぶ都市部や樹木が茂る森林地帯では、マルチGNSS対応により測位の可用性が大幅に向上します。

また、マルチGNSSでは初期化時間の短縮も実現されており、作業開始時の待機時間を削減できることから、測量作業の効率化に大きく貢献しています。

RTK測位とセンチメートル級精度の実現方法

RTK（Real Time Kinematic）測位は、基準点に設置した基準局と移動局との間でリアルタイムに補正情報を送受信し、センチメートル級精度の測位を実現する技術です。従来の単独測位では数メートル程度の誤差が生じていましたが、RTK測位により±数センチメートルの高精度測位が可能になりました。

RTK測位の仕組みは、基準局が既知の正確な位置情報と測位結果の差分を補正情報として算出し、無線通信により移動局に送信することで、移動局側でリアルタイムに位置補正を行うものです。この技術により1級GNSS測量機として認定される高精度な測位を実現しています。

最新のレーザーRTK機能を搭載した受信機では、レーザー距離計とRTK測位を組み合わせることで、直接測量できない場所でも正確な測量が可能になり、作業効率の向上と測量精度の向上を同時に実現しています。

測量・土木業界におけるGNSS受信機の重要性

測量業界では、従来の光波測距器やトータルステーションに代わり、GNSS受信機が主要な測量機器として広く採用されています。特に大規模な土木工事や基準点測量において、GNSS受信機は不可欠な存在となっています。

GNSS受信機の導入により、従来の測量方法では困難だった広域測量や長距離測量が効率的に実施できるようになりました。また、一人でも高精度な測量が可能になったことで、人件費の削減と作業時間の短縮が実現され、測量会社の収益性向上に貢献しています。

土木会社では、施工管理や品質管理の場面でGNSS受信機を活用することで、設計通りの精度で工事を実施できるようになり、手戻り工事の削減や工期短縮効果を得ています。

受信機選定時の重要な検討ポイント

GNSS受信機を選定する際は、用途に応じた精度要求、予算、作業環境を総合的に検討することが重要です。センチメートル級精度が必要な測量作業では、RTK対応の高性能機種が必要になりますが、概略測量や位置確認程度の用途であれば、コストを抑えた機種でも十分対応可能です。

また、小型軽量化された受信機は携帯性に優れ、長時間の野外作業での作業者負担を軽減できます。IMU搭載の受信機では、短時間の衛星信号遮断時でも継続して測位できるため、樹木や建物の多い環境での作業効率向上が期待できます。

価格面では、本体価格だけでなく、年間保守費用やソフトウェアライセンス費用も含めた総保有コストでの評価が必要です。優れた性能の受信機でも、十分なサポート体制が整っていなければ、実際の作業現場で問題が発生する可能性があります。

厳選！GNSS受信機メーカー5選

カナデビア株式会社

カナデビア株式会社は、高精度GNSS利用システムにおいて、「NetSurv RE」および後継機「NetSurv RE‑α」といった国土地理院認定1級GNSS測量機を中心に、GPS、GLONASS、QZSS、Galileoに対応、L5帯もオプション対応するマルチGNSS受信機を展開し、Android／タブレット操作による使いやすさと産業現場での高度な測位性能を両立。さらにWindows搭載のタブレット型オールインワン受信機「MG‑100」は豊富なインターフェースと耐環境性能により、ICT施工・農機・インフラ作業など幅広い現場のニーズに応える先進的なGNSSソリューションとして位置づけられています。

会社名	カナデビア株式会社
本社所在地	大阪市住之江区南港北1丁目7番89号
製品URL	NetSurv RE

株式会社小泉測機製作所

株式会社小泉測機製作所は、新潟県長岡市を拠点にGNSS受信機やSLAMスキャナをはじめ、マシンガイダンス機器やプラニメータ・キルビメータなど多様な測量機器の輸入販売・開発を手がける技術パートナーです。製品の導入後も、リモート操作による迅速で親身なサポート体制を整え、ユーザーが性能を最大限に引き出せるよう徹底支援します。歴史あるモノづくりのDNAと最新技術の融合によって、「共存共栄」を企業理念に掲げながら、お客様と共にBetterなソリューションを追求し続ける企業です。

会社名	株式会社小泉測機製作所
本社所在地	新潟県長岡市平島1‑112
製品URL	vRTK GNSS受信機

JRCモビリティ株式会社

JRCモビリティ株式会社は、2018年に日本無線株式会社から通信・センシング関連事業を独立・承継し設立され、車載用レーダー・超音波センサー・ETC、GNSS製品、業務用無線、モバイルロケータなど、モビリティや交通インフラ向け通信およびセンシング機器の開発・製造・販売・サービスを展開しています。無線通信とセンサー技術を融合し、「つながる」「見える」安心を提供、自動運転や電動化、コネクテッド分野でも先進的なソリューション提供を進めています。

会社名	JRCモビリティ株式会社
本社所在地	東京都中央区日本橋人形町2‑31‑11
製品URL	GNSS製品一覧

株式会社ニコン・トリンブル

株式会社ニコン・トリンブルは、ニコンと米国Trimbleの合弁企業として2003年設立され、GNSS受信機、トータルステーション、3Dレーザスキャナ、光学／慣性計測技術を核に、測量・建設・GIS・精密農業・変位計測など多様な分野へ高度なソリューションを提供しています。企画開発から製造、販売、サポートまでを一気通貫で担い、高精度かつ業務効率化を図ることで、地理空間情報の生産性向上に貢献する技術パートナーとして、推進力あるブランドです。

会社名	株式会社ニコン・トリンブル
本社所在地	東京都大田区南蒲田2‑16‑2 テクノポート大樹生命ビル
製品URL	GNSS受信機

丸文株式会社

丸文株式会社は、1844年創業の老舗エレクトロニクス商社として、世界800社超の仕入先と3,000社超の顧客をつなぎ、半導体・電子部品をはじめ航空宇宙・通信・計測機器など幅広い電子応用機器を取り扱い、デバイス・システム・ソリューションの3事業体制で、開発支援や保守トレーニング、グローバル供給までフルサポート。高精度GNSS試験装置やシミュレーターなど、最先端PNTソリューションも提案し、測位精度や信頼性向上を支える技術パートナーとして、産業のDX・安心・安全を牽引します。

会社名	丸文株式会社
本社所在地	東京都中央区日本橋大伝馬町8‑1
製品URL	高精度GNSS受信機一覧

用途別GNSS受信機の選び方

測量会社向け：高精度測位重視の選定基準

測量会社がGNSS受信機を選定する際は、まず必要な測位精度の明確化が重要です。基準点測量や地籍測量などの公共測量では、1級GNSS測量機として認定された高精度な受信機が要求されます。これらの用途では、水平精度±10mm以内、垂直精度±15mm以内の性能が求められます。

マルチGNSS対応は必須条件であり、GPS GLONASSに加えて、Galileo、BeiDou、みちびき等の信号も受信できる機種を選択することで、測位の安定性と初期化時間の短縮が実現できます。特に都市部での測量作業では、多数の衛星信号を受信できることが作業効率向上の鍵となります。

また、長時間の連続観測が必要な基準点測量では、バッテリー駆動時間と防塵防水性能も重要な選定基準となります。IP67以上の防水性能と8時間以上の連続稼働能力を持つ機種が推奨されます。

土木会社向け：作業効率化を実現する機能

土木会社では、施工現場での効率的な測量作業が重要であり、小型軽量で操作性に優れた受信機が適しています。スマートアンテナ機能を搭載した受信機では、コントロールアプリとの連携により、一人でも効率的な測量作業が可能になります。

レーザー機能付きの受信機は、直接測量できない箇所の測定や、危険な場所での遠隔測量に活用でき、作業安全性の向上と作業効率化を同時に実現できます。特に道路工事や橋梁工事では、交通規制を最小限に抑えながら必要な測量データを取得できるメリットがあります。

モジュール化された受信機システムでは、用途に応じて機能を追加・変更できるため、多様な土木工事に柔軟に対応できます。また、既存の測量ソフトウェアとの互換性も重要な検討項目です。

インフラ監視向け：長期安定性と信頼性

インフラ監視用途のGNSS受信機では、長期間にわたる安定した観測が最重要要件となります。橋梁や斜面の変位監視、地盤沈下監視などでは、数年から数十年にわたる連続観測が必要であり、受信機の長期信頼性が問われます。

これらの用途では、温度変化や湿度変化に対する安定性、長期ドリフトの小ささ、メンテナンス性の良さが重要な選定基準となります。また、遠隔地に設置されることが多いため、遠隔監視機能や自動診断機能を搭載した機種が有効です。

データ通信機能も重要であり、携帯電話網やインターネット経由でのデータ自動送信機能により、リアルタイムでの監視データ収集が可能になります。停電対策として太陽電池パネルとの組み合わせも検討が必要です。

1級GNSS測量機認定製品の特徴

1級GNSS測量機として認定を受けた製品は、国土交通省が定める厳格な性能基準をクリアした高精度測量機です。水平位置精度±10mm以内、標高精度±15mm以内の測位性能を持ち、公共測量での使用が認められています。

これらの認定製品では、マルチGNSS対応が標準装備されており、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、みちびき等の多数の衛星システムに対応しています。また、RTK測位機能により、基準点からの距離に関わらず高精度な測位を実現し、測量作業の効率化に大きく貢献しています。

認定製品の多くには、IMU搭載により短時間の衛星信号遮断に対する耐性が強化されており、樹木や建物の影響を受けやすい環境でも安定した測量作業が可能です。これらの優れた機能により、測量の品質向上と作業効率化を実現しています。

精度別・価格帯別GNSS受信機比較

センチメートル級精度受信機の性能比較

センチメートル級精度を実現するGNSS受信機は、測量業界において最も重要な機器の一つです。これらの受信機は、RTK測位技術とマルチGNSS対応により、水平精度±1cm、垂直精度±2cm程度の高精度測位を実現しています。

性能比較においては、受信可能な衛星数、初期化時間、測位安定性、そして障害物に対する耐性が重要な評価指標となります。優れた受信機では、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDouなどの複数衛星システムに対応し、合計で100個以上の衛星信号を同時受信することで、安定した高精度測位を実現しています。

また、衛星受信機能の向上により、従来は測位が困難だった樹木下や建物周辺でも、安定したセンチメートル級精度での測位が可能になっています。

価格帯別メーカー製品ラインナップ

GNSS受信機の価格帯は、エントリーレベルの数十万円から、最高級機種の数百万円まで幅広く展開されています。価格帯別の特徴として、エントリーモデルでは基本的なGNSS受信機能とRTK対応、ミドルレンジでは小型軽量化と追加機能、ハイエンドモデルでは最高精度と包括的な機能を提供しています。

各メーカーは、測量会社や土木会社の多様なニーズに対応するため、用途別の製品ラインナップを展開しています。1級GNSS測量機認定製品は主にハイエンド価格帯に位置し、基準点測量から詳細測量まで幅広い用途での使用が可能です。

コストパフォーマンス分析

GNSS受信機のコストパフォーマンス評価では、初期導入コスト、運用コスト、そして作業効率化による経済効果を総合的に分析する必要があります。高精度な受信機の導入により、測量作業時間の短縮、人件費削減、そして測量精度向上による品質向上効果が期待できます。

特に、マルチGNSS対応受信機では、従来比で約20-30%の作業時間短縮が実現されており、中長期的な投資回収効果が高いとされています。また、IMU搭載やレーザーRTK機能付きの受信機では、追加投資に対する作業効率向上効果が顕著に現れています。

初期化時間とパフォーマンス評価

GNSS受信機の初期化時間は、現場での作業効率に直接影響する重要な性能指標です。最新のマルチGNSS受信機では、従来の数分から数十秒程度まで初期化時間を短縮しており、現場での即座の測位開始が可能になっています。

パフォーマンス評価では、初期化時間に加えて、測位精度の安定性、連続測位時間、そして様々な環境条件下での性能維持能力が評価されます。優秀な受信機では、初期化完了後の測位精度維持と、長時間の連続観測における安定性を実現しています。

GNSS受信機導入時の実践ガイド

導入前の要求仕様整理と選定プロセス

GNSS受信機導入時には、測量用途、必要精度、作業環境、予算などの要求仕様を明確に整理することが重要です。測量会社では基準点測量から現況測量まで多様な用途があり、それぞれに適した受信機の仕様が異なります。

選定プロセスでは、技術仕様の比較検討、実機デモンストレーション、導入後のサポート体制確認を段階的に進めることが推奨されます。特に、1級GNSS測量機認定の必要性、マルチGNSS対応の重要性、そして将来の拡張性を考慮した選定が重要です。

障害物対策と測位環境の考慮事項

GNSS受信機の性能は、測位環境に大きく左右されます。建物、樹木、地形などの障害物は衛星信号の受信を阻害し、測位精度に影響を与える可能性があります。現代の高性能受信機では、これらの障害物の影響を最小化する技術が搭載されています。

環境考慮事項には、衛星可視性の事前確認、マルチパス対策、そして代替測位手法の準備が含まれます。IMU搭載受信機やレーザーRTK機能付き受信機は、困難な環境下でも安定した測位を実現する有効な選択肢となります。

作業効率向上のための運用設計

GNSS受信機導入後の作業効率向上には、適切な運用設計が不可欠です。受信機の特性を活かした測量手順の最適化、データ管理システムとの連携、そして作業者のスキル向上が重要な要素となります。

効率的な運用設計では、RTK基準局の配置最適化、測量データのリアルタイム処理、そして品質管理プロセスの自動化を検討します。これにより、測量精度の向上と作業時間の短縮を同時に実現できます。

導入後のサポート体制と保守計画

GNSS受信機は精密機器であり、導入後の適切なサポートと保守が性能維持に重要です。メーカーサポート体制の充実度、定期校正サービスの可用性、そして故障時の迅速な対応体制を事前に確認することが重要です。

保守計画では、定期的な精度確認、ファームウェアアップデート、そして機器の予防保全を含める必要があります。また、技術サポートへのアクセス方法と、お気軽に問い合わせできる体制の確保も重要な検討事項です。

業界動向と今後の技術展望

マルチGNSS対応の拡充状況

マルチGNSS対応技術は、現在のGNSS受信機業界における最重要トレンドの一つです。GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、みちびきなど、複数の衛星測位システムへの対応により、従来比で大幅な測位精度向上と信頼性確保を実現しています。

各メーカーは、より多くの衛星システムに対応した受信機の開発を進めており、将来的には全世界の主要衛星システムに対応したユニバーサル受信機の実現が期待されています。この技術進展により、測量業界での位置情報取得精度と作業効率が飛躍的に向上することが予想されます。

測量業界のデジタル化トレンド

測量業界では、GNSS受信機を核とした総合的なデジタル化が急速に進展しています。クラウドベースの測量データ管理、AI技術を活用した自動解析、そしてIoT連携による遠隔監視システムなど、包括的なデジタルトランスフォーメーションが進行中です。

このデジタル化により、測量会社や土木会社では、従来の作業プロセスが大幅に効率化され、人的リソースの最適活用と品質向上を同時に実現しています。GNSS受信機は、このデジタル化の中核技術として、ますます重要な役割を担っています。

新技術開発と市場予測

GNSS受信機の技術開発では、さらなる小型化、長時間駆動、そして極限環境での動作保証に重点が置かれています。次世代受信機では、量子センサー技術の導入、機械学習による自動最適化、そして5G通信との統合が検討されています。

市場予測では、高精度測位需要の拡大、自動運転技術との連携、そしてスマートシティ構想での活用拡大により、GNSS受信機市場は今後も継続的な成長が見込まれています。特に、センチメートル級精度の民生用途展開が市場拡大の大きな要因となると予想されます。

みちびき活用の可能性

日本の準天頂衛星システム「みちびき」の本格運用により、国内でのGNSS測位精度は大幅に向上しています。みちびき対応のGNSS受信機では、日本国内特有の地形や都市環境においても、安定した高精度測位が実現されています。

今後のみちびき活用では、災害監視、精密農業、自動施工機械との連携など、多様な分野での応用展開が期待されています。測量業界においても、みちびきの高精度測位サービスを活用した新しい測量手法の開発が進められており、測量精度の更なる向上と作業効率化が実現される見込みです。

導入事例と効果測定

測量会社での導入効果事例

全国展開する大手測量会社では、従来のGPS受信機からマルチGNSS受信機への全面切り替えにより、測量作業の効率化を実現しました。RTK測位機能を搭載したGNSS受信機の導入により、基準点測量における初期化時間が従来の3分の1に短縮され、センチメートル級精度の測位精度を安定して維持できるようになりました。

特に山間部や都市部での測量作業において、GPS単体では受信が困難だった環境でも、GLONASS信号との併用により安定した位置情報の取得が可能となり、作業効率が大幅に向上しました。IMU搭載の小型軽量なGNSS受信機を採用することで、作業員の負担軽減と同時に、障害物の多い現場でも継続的な測位を実現しています。

土木工事現場での活用実績

大規模な土木工事現場では、レーザーRTK機能付きGNSS受信機の導入により、測量から施工管理まで一体化した効率的な作業プロセスを構築しました。1級GNSS測量機として認定された高精度受信機を使用することで、設計通りの精密な施工が可能となり、手戻り作業の大幅な削減を実現しています。

土木会社では、GNSS受信機の観測データを活用した施工管理により、従来の測量手法と比較して作業時間を40%短縮することに成功しました。マルチGNSS対応受信機の導入により、衛星受信機能の向上と測位の安定性が向上し、悪天候時でも継続的な作業が可能となっています。

作業時間短縮とコスト削減効果

GNSS受信機を活用した測量会社では、従来の測量手法と比較して1日あたりの測量ポイント数が2倍以上に増加し、人件費の削減効果を実現しています。小型化が進んだ最新のGNSS受信機により、1人での測量作業が可能となり、作業効率の向上と同時にコスト削減を達成しました。

特に基準点測量においては、RTK測位技術により現場での測量精度向上と作業時間短縮を同時に実現し、プロジェクト全体のスケジュール短縮に貢献しています。GNSS受信機の高いパフォーマンスにより、測量精度の向上と作業効率化の両立が可能となっています。

ROI（投資収益率）の定量評価

測量機器への投資効果を定量的に評価した結果、高精度GNSS受信機の導入により2年以内でのROI回収を実現している企業が多数存在します。初期投資コストに対して、作業効率化による人件費削減と受注案件の拡大により、投資回収期間の短縮が可能となっています。

GNSS受信機メーカーが提供する総合的なソリューションにより、ハードウェアの性能向上だけでなく、付帯するソフトウェアやサポート体制も含めた包括的な価値提供により、企業の競争力向上に寄与しています。

GNSS受信機選定のチェックリスト

技術仕様確認項目

GNSS受信機の選定において、まず確認すべき技術仕様は受信機の測位精度です。センチメートル級精度を要求する測量作業では、RTK機能搭載の有無と精度性能の詳細な仕様確認が必要となります。マルチGNSS対応により、GPS、GLONASS、みちびきなどの複数の衛星信号に対応できるかも重要な選定ポイントです。

受信機の技術仕様として以下の項目を確認することが重要です。

測位精度（水平・垂直方向の精度仕様）
初期化時間とデータ更新レート
対応衛星システム（GPS、GLONASS、Galileoなど）
RTK測位機能の有無と性能
IMU搭載の有無と傾斜補正機能
動作環境（温度、湿度、防水性能）

予算・コスト検討事項

GNSS受信機の導入コストは、求める精度と機能により大きく異なります。基本的なGNSS受信機から高精度な測量機まで価格帯は幅広く、用途に応じた適切な価格帯での選定が重要です。初期導入コストだけでなく、保守費用やソフトウェアライセンス料も含めた総合的なコスト評価が必要となります。

コスト検討においては、以下の要素を総合的に評価することが重要です。

GNSS受信機本体の価格
付属品（アンテナ、コントローラー等）のコスト
年間保守費用とサポート料金
ソフトウェアライセンス料
オペレーター研修費用
機器更新サイクルと減価償却

サポート・保守体制の評価基準

GNSS受信機メーカーのサポート体制は、機器導入後の運用において重要な要素です。技術的な問い合わせ対応から故障時の修理サービスまで、包括的なサポート体制の評価が必要となります。測量会社や土木会社では、現場作業の継続性を確保するため、迅速な対応が可能なサポート体制を重視する傾向があります。

また、GNSS受信機の操作研修やメンテナンス指導など、導入後の運用支援も重要な評価ポイントです。お気軽に相談できる窓口の設置や、定期的な技術情報提供なども長期的な運用において価値の高いサービスとなります。

将来拡張性の検討ポイント

GNSS技術の急速な発展により、受信機の機能拡張性と将来対応能力は重要な選定要素となっています。新しい衛星システムへの対応や、ソフトウェアアップデートによる機能向上の可能性を考慮した機種選定が必要です。

モジュール化された設計により、必要に応じた機能追加や性能向上が可能な受信機を選択することで、長期的な投資効率を向上させることができます。測量業界のデジタル化進展に対応した拡張性の確保も、将来的な競争力維持において重要な要素となります。

よくある質問（FAQ）

GNSS受信機とGPS受信機の違いは？

GNSS受信機は、アメリカのGPSに加えて、ロシアのGLONASS、日本のみちびき、ヨーロッパのGalileoなど複数の衛星システムに対応した受信機です。GPS受信機は主にアメリカのGPS衛星のみを使用するため、衛星の受信数や測位精度において制限があります。マルチGNSS対応により、より多くの衛星信号を受信でき、障害物の多い環境でも安定した位置情報の取得が可能となります。

RTK測位に必要な環境や条件は？

RTK測位を実現するためには、基準局と移動局の設置が必要です。基準局は既知の座標点に設置し、補正データを移動局に送信します。通信距離は一般的に10km以内が推奨され、リアルタイムでの補正データ送信により、センチメートル級精度の測位を実現します。観測環境としては、上空の開けた場所で複数の衛星信号を安定受信できることが重要な条件となります。

受信機の精度はどの程度まで向上可能？

最新のGNSS受信機では、RTK測位により水平方向で1cm程度、垂直方向で2cm程度の高精度測位が可能です。IMU搭載受信機では、短時間の衛星信号遮断時でも継続した測位が可能となり、実用的な測量作業において優れたパフォーマンスを発揮します。ただし、測位精度は周辺環境や気象条件にも影響されるため、現場条件に応じた適切な運用が重要です。

導入コストと運用コストの目安は？

GNSS受信機の導入コストは、基本的な機種で数十万円から、高精度測量機では数百万円まで幅広い価格帯となっています。運用コストには年間保守費用（機器価格の10-15%程度）、ソフトウェアライセンス料、通信費などが含まれます。コンサルティングサービスを利用する場合は、年間1000万円から1億円程度の費用が発生する場合があります。

小型軽量化のメリットと注意点は？

小型軽量なGNSS受信機は、作業員の負担軽減と携帯性向上により作業効率化に貢献します。1人での測量作業が可能となり、人件費削減効果も期待できます。ただし、小型化に伴い電池持続時間やアンテナ性能に制約がある場合があるため、用途に応じた適切な機種選定が必要です。また、精密な測量作業では、機器の安定性と測位精度のバランスを考慮した選択が重要となります。

ライカジオシステムズの日本法人について教えてください

ライカジオシステムズは測量機器の世界的リーダーで、日本では東京都に本社を構える日本法人が事業を展開しています。高精度GNSS受信機やトータルステーションなど、測量・建設業界向けの先進的な機器を提供しており、技術サポートや製品についてはお気軽にお問い合わせいただけます。

CS MATE PROとはどのような製品ですか？

CS MATE PROは日立造船が開発したGNSS受信機で、高精度測位を実現する小型軽量設計が特徴です。RTK測位機能を搭載し、センチメートル級の測位精度を提供します。製品の詳細仕様や価格については、各販売代理店にお問い合わせください。

日立造船がGNSS受信機を製造している理由は？

日立造船は船舶・海洋事業で培った高精度測位技術を活用し、陸上測量分野にも事業を展開しています。本社機能を活用した研究開発により、CS MATE PROなどの高性能GNSS受信機を製造しています。技術的な質問や導入相談については、東京都の営業拠点にお問い合わせが可能です。

投稿者: コネクタブルー
産業機械