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AIを教育に活用するメリット・デメリットとは?導入事例を紹介|ai 教育 メリット デメリット

教育という領域は、全世界的にテクノロジーの進歩による変革の影響を大いに受けています。その中心に位置しているのが、AI(人工知能)です。

強力な学習支援ツールとして、また独自の教育プログラム作成者として、AIがいかに教育分野で活躍しているかを理解することは、これからの教育改革を考える上で不可欠です。

しかし、その一方でAI技術が教育業界にもたらす可能性的な問題点も無視するわけにはいきません。本稿では、AIが教育に活用されることのメリットとデメリットを深堀りし、具体的な導入事例を通じて、このテクノロジーが教育業界にどのような影響を及ぼしているのかについて紐解いていきます。

AIとは

AI(Artificial Intelligence)は、日本語では「人工知能」と呼ばれています。その定義は専門家の間でも幅広く議論されていますが、自動的に作業を遂行する能力や、データや経験から自己学習し能力を向上させる点がAIの特徴です。人間の活動の一部をコンピューターを通じて模倣する技術とも言えます。

特に、AIの中でも際立つ特性の一つが「ディープラーニング(深層学習)」です。これは、十分なデータを与えることで、AIがデータの中に潜むパターンや法則を自動的に抽出する能力を指します。例えば、画像から文字や人の表情を認識する機能や、音声を解析する技術などがあります。こうしたAI技術の進歩により、様々な分野でのAIの採用や利用が進展しています。

AIが教育現場にもたらすメリットとは

この章ではAIを教育に導入するメリットについて詳しく解説します。

教師の負担軽減

AI教育のメリットの1つとして、教師の業務負担を削減することが挙げられます。

教師は授業計画の立案、授業の進行、成績評価、そしてフィードバックといった幅広い仕事を担当しています。これらの大半は専門的な技能を必要とする肉体的・精神的負担の大きいタスクです。しかし、AIの効果的な活用によって、これらの作業を効率化し、自動化することが可能になり、そうすることで教師は高品質な教育への投入時間を増やせるようになります。

具体的には、AIを使うことで個別指導が可能になり、生徒一人ひとりの理解度に合わせた適切な教育が可能になります。さらに、AIが試験の採点や成績処理を支援することで、教育に従事する者たちは本来最も重要な生徒育成に専念できる環境が整います。

全体の教職員にみられる長時間労働が社会問題化に至る中、教師の仕事負担を軽減するAIの導入は大きな利点と言えます。

学習理解の手助けができる

教育業界におけるAIの進展は、学習者の理解度分析から新たな可能性を生む力を持っています。その一つは、学生個々の理解度や成績の精密な分析能力です。AIは学生一人一人の学習能力を深く洞察し、それぞれの課題への対策や最適な学習プランを作成します。これにより学生自身が主体的に学ぶための環境が育まれるでしょう。

また、AIのもつ分析パワーは学生の学習姿勢や興味の把握にも使えます。AIが学生の関心領域や学習傾向を理解し、それに基づいたテーマや学習法を提案することで、学習への関心は増し、理解度も深まります。

さらに、手軽にグローバルな情報に触れられるAIは、多角的な視点や情報を提供します。これにより学生の視野を広げ、多元的な思考を促進しながら、より深い理解を促します。

教育者にとって、AIの積極的な活用は教授法そのものの変革をもたらします。基本的な知識の教授をAIが担えば、教員はより具体的な実践や高度なディスカッションのサポートに集中できます。AIと教育者が共同で実現する新たな教育は、効果的で豊かな学びの環境を提供するはずです。

リアルタイムでのアドバイスが可能

AIの導入により、教育現場は画期的な変革を遂げています。メリットの1つは、学習内容に対する「リアルタイムのアドバイス」が可能になるという事です。

生徒一人ひとりが課題を解き進めるスピードやペースは異なっています。だからこそ、教師や講師が全員の学習進度に対して完全に最適化した指導を提供することは難しかったのです。しかし、AIの活用によって、その課題を解決する道が開けました。

AIは個々の生徒の学習履歴やパフォーマンスを精密に掌握し、それを基に一人ひとりにぴったりのアドバイスをリアルタイムで提供します。これにより、生徒が時間を無駄にすることなく、効率的に学習を進められる環境が整っています。

データに基づいた評価が可能

AI(人工知能)は、データの収集と分析に優れているため、教材や授業の評価に活躍できるのです。一例として、教師が生徒の授業理解度を定期的にアンケート形式でデータ化し、それをAIが分析することで、具体的な教育の課題や改善点を見つけ出すことができます。

AIの活用は、ただ生徒だけでなく教師の成長のためにも大変有効です。具体的な教育改善の参照データをAIが提供することで、教師自身の教育法の向上や、教育全体の質の改善につながります。また、AIは個々の生徒の理解度や学習パターンを分析し、一人ひとりに適した学習方法を提示することができます。

教育の低コスト化

AIが教育に積極的に活用されることで、その多角的なメリットが注目されています。その中でも特に重要なのが、教育の低コスト化です。

AIは、一人一人の生徒に合わせた指導を可能にすることで、個別指導塾と同様の教育体験を理想のコストで提供できます。この種の個々の学習支援は以前は個別指導塾の特権であり、その高額な費用が問題となっていました。しかしAIの力を活用すれば、大幅な経費削減を実現できると期待されています。

成績の分析

従来は時間のかかる作業であった成績分析を、AIの活用により速やかかつ精確に行うことが可能となっています。これにより、個々の苦手分野の把握や学習進度の管理が容易となり、学習の質を引き上げることができるのです。

教師が主体となって行っていた成績評価が、AIにより客観的に、かつ平等に行われるようになったことも大きな進歩です。人間が行う評価にはどうしても主観が介入してしまう面がありましたが、AIの導入によりその問題も解消。これにより教育現場では、より公正で客観的な評価が行われるようになりました。この部分こそが、AI活用の大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

AIが教育現場にもたらすデメリットとは

教育現場にAIを導入する際のデメリットも確認しておきましょう。

データの蓄積が必要

AIを教育分野へ導入する際、その利便性を享受する一方で、忽視することのできない問題を抱えています。その一つは、AI学習に必要なデータの膨大な蓄積です。AIの性質上、学習を行うためには大量のデータが欠かせません。この大量データ取得という課題の下、学生のプライバシーや個人情報が犠牲になる可能性があるとともに、ハードウェアへの負荷が増し、必要な処理能力や投資コストも増加します。

また、AIは既存のデータを基に分析や予測を行いますが、この方式は新しいアイデアや創造的な思考を妨げる恐れもあります。育つべきは学生の独自の発想や創造力であり、それを阻害することが教育における大きな障害となります。

教師データの蓄積に伴うこれらの問題は、AIの教育への導入を慎重に考える上で無視できない要素です。それぞれが時間とコストの観点からも見直され、議論を重ねるべき課題であることを認識しておくべきでしょう。

思考プロセスが不明

人工知能(AI)の応用により、教育現場でも種々のタスクが効率化し、自動化が可能になった一方、AIの思考プロセスの理解の難しさは依然として残っています。なぜなら、たとえAIが何らかの評価を行ったところで、その背後にある思考過程を追うことはできないからです。

このAIの思考の不透明性は、グレーゾーンとも言え、教育現場でAIの使用を慎重にする理由となるでしょう。例えば、AIが誤った学習法を学生に推奨した場合、生徒はなぜそのような勧めを受けたのか理解することが困難です。加えて、AIの指示や評価はAIが活用する情報の質や正確さに影響を受けますので、その適用範囲や評価基準についても疑問が投げかけられます。

考える機会を奪ってしまう可能性がある

AIの進化は教育界にも多大な影響を及ぼしています。その最大の利点は、「生徒それぞれに合った学習プラン」を提案し、学習効率を格段に上げることができる点にあります。

しかし、一方でその成功が裏目に出る可能性もあります。AIが勉強の手続きを示しすぎてしまうと、「生徒自身が考慮・判断する時間」が削られてしまう危険性があります。つまり、AIのメリットが逆手に取られて、実はデメリットに繋がる可能性があるのです。

責任の所在が曖昧

教育現場にAIを導入することで、劇的な改革が進行しています。しかし、その中には無視できない欠点が存在します。それは「誰が責任を負うかが不明確」になってしまう問題です。

人間なら誰が何を教えるべきか、その責任を明確に持つことができますが、AIがその役割を果たすとなると、人間の責任者が不在になる危険性が出てきます。

具体的には、AIによって不適切な教材が提示されたり、指導法が不適切であった場合、その責任を問われるべき存在が不在になってしまうと、問題解決が難しくなるというわけです。また、AIは論理的な解釈には優れていますが、生徒の感情的な反応や微妙な表現を読み取る能力には限界があります。その結果、生徒の心のケアがおろそかになり、結果として教育の品質が低下する恐れがあります。

雇用の減少

AIの導入が進む教育現場では、AIの精度向上により各学生に応じたパーソナライズド学習の推進が見込まれています。この進展は、学生にとっては学習効果向上の可能性を秘めている一方、教師求人の減少という現実を視野に入れなければなりません。

AIの技術的進歩により、複数の学生を一人の教師が同時に指導できるようになるため、教師の雇用を削減する動きが教育機関内で進む可能性があります。これは人件費の節們・効率化を図るための措置となりうるのです。

その上、AIがより高度化した場合、教師の役割が薄れ、最終的には不要となる可能性も出てきます。教師に求められる親身な気遣いや感情的な配慮など、AIが持ちえない要素も今後はAIがカバーするようになるかもしれません。これが現実化した場合、教師の雇用は大打撃を受けることでしょう。

教育現場でのAI活用事例とは

教育現場にAIを利用している活用事例をご紹介します。

小学校の授業

AIが教育界に広がり、小学校教育にもその影響が現れ始めています。授業でAIを活用する内挙として注目されているのが、私立の加藤学園暁秀初等学校です。

加藤学園暁秀初等学校では、2020年の秋学期から株式会社グルーヴノーツの「AI教育支援サービス」が活用され、3年生から6年生までが人工知能やプログラミングの授業を体験しています。

大学入試

一例として挙げられるのが日本経済大学です。2021年度の「一般選抜オンライン入試」では、Edulabと旺文社が共同開発したオンライン試験監督システム「Check Point Z」を導入しました。このシステムを用いることで、受験者の行動やPCの操作ログを記録し、AIと人間により二重にチェックすることが可能となりました。

特に不正行為の抑止に効果があり、例えばアイトラッキングを使って受験者の視線の動きを追い、不正行為を特定します。これにより、人間が見落としてしまうような細かな行動も把握することができ、より確実な不正行為のチェックが可能になりました。

大学改革・業務改革

近畿大学では、業務改善がAIによって進められています。「HUE(ヒュー)」という人工知能型の業務システムを導入し、さまざまな業務を一元化して効率化を図っています。

近畿大学は、今後もさらなるAI利用を検討しています。単純な事務作業を簡素化し、学生サービスの向上や研究成果の社会還元により一層集中するとのことです。

学生や受験生からのお問い合わせ対応を自動化

株式会社ObotAIは、2021年12月6日から2022年1月31日までの約2ヶ月間、立教池袋中学校・高等学校にAIチャットボットを導入する実証実験を実施しました。AIの導入は学校に対する日々の多種多様な問い合わせに対応するための手段であり、24時間・365日無休での対応が可能になるでしょう。

学校へ寄せられる問い合わせは、在学生の家族から受験生の家族まで多様で、その内容も学校生活や進学に関することから幅広いとのこと。学校側としては、個々の問い合わせに丁寧に対応する必要がありながら、限られた時間の中での対応は難しいでしょう。この点、AIチャットボットによる自動対応は、時間制限なく質問に答えることで教職員の業務負荷を軽減し、問い合わせへの迅速な回答につながっています。

また、立命館大学と立命館アジア太平洋大学は、深層学習と自然言語処理 (NLP) を活用した対話エンジン「BEDORE Conversation」を導入している。これにより、4割の問い合わせ対応を軽減し、教育のデジタル化を推進している。このように、AIの進化に伴って、教育現場での有用性が日々広がっている。

AIを活用した教育サービスとは

この章では、AIを利用した代表的な教育サービスをご紹介します。

スタディサプリ

「スタディサプリ」は、リクルートマーケティングパートナーズが手掛ける、2011年より開始されたインターネット予備校サービスで、現在ではその独自のAIを活用した学習プラットフォームにより注目を集めています。このAIを駆使した教育サービスは、学習の深度や段階をコンピュータが自動的に解析し、教育の質や効率を最適化し、最終的には学力の向上を目標とします。

このサービスでは、AIが学習データを分析し、生徒が理解に苦労している部分や、まだ理解度が浅い項目を特定します。その結果を基にオーダーメイドの教材や問題集が生成されるため、それぞれの生徒が自分自身のペースで学べる環境が実現します。さらに、AIが適切な問題出題や解説をすすめることで、学習の日々の進歩が視覚化させられます。

「スタディサプリ」のAIテクノロジーは、個々の生徒の学習結果を最大化することを目指し、パーソナライズされた学習体験の提供に活かされています。そして、この進歩的な教育サービスは、一律の教育方針の枠を超え、個々の生徒に最適化された教育体験を提供することを目指しています。

Qubena

「キュビナ(Qubena)」は、AIを駆使した画期的な教育サービスを提供する、株式会社COMPASSの学習ツールです。これまでの教育スタイルを一変させる革新的なアプローチにより、近年注目を集めています。

キュビナの特徴は、人工知能(AI)により、学習者一人ひとりの進行度と理解度に合わせた最適な学習プランを自動的に提示する点です。このパーソナライズ機能は、効率的な学習を可能にし、時間の有効活用を助けます。

さらに、このツールは生徒が苦手とする問題をAIが把握し、それらの問題に対する改善サポートも提供します。これにより、生徒の弱点を正確に特定し、学習過程をより効率的に進めることが可能になります。

また、ゲーミフィケーションの要素を取り入れ、学習過程に楽しみを加えることでモチベーションを高めています。この学習方法は、視覚的に理解を深め、長時間の学習も楽しく続けられる特徴を持っています。

キュビナは、AIを用いた最適な学習支援を提供しながら、楽しみながら学べる新しい形式の教育サービスを開拓しています。導入実験では14週間かかる授業の内容をわずか2週間で終えるという結果も出ています。将来の教育に予想される可能性をうまく表現しているQubenaに、ぜひ注目してください。

atama+

AI教育の新たな可能性を切り拓く「atama+」は、個々の学習者に合わせた学習環境を提供するタブレット型の教育ツールです。その目標は、中高生の基礎学力の向上にあります。「atama+」では、AI技術を活用して学習者の理解度や課題、学習履歴や集中度をリアルタイムで解析し、最も高い学習効果を担保する最適なカリキュラムを提案します。さらに、ミスのパターンを分析して特定の箇所を再学習することも可能です。

既に大手塾に順次導入され、トップ100の塾のうち約2割が「atama+」を採用。2018年3月の時点で、導入校の数は100から500に急増し、更に約150の校舎が導入を待っている状況となっています。

その理由として、その実績が挙げられます。「atama+」の導入により、数Iと数Aの合計授業時間175時間が31時間(数I16時間、数A15時間)で完了し、2週間で学生のスコアが平均1.5倍に伸びるなどの成果が確認されています。

今話題のEdTech企業となるべく、同社はジャフコとDCMベンチャーズの運営するファンドから15億円を調達し、累計調達額は20億円に至りました。これを活用して開発を進める予定で、現在提供している数学、英文法、物理、化学に加え、英語の文法や理科、英語の読解や単語などの新しい学習領域も提供予定とのことです。

まとめ

AIの教育への適用はプラスとマイナス両面を持ち、独自の支援や効率化をもたらす一方で、データの不適切な利用や生徒のプライバシー問題を生む可能性もあります。AIの活用は、適切な導入と運用により、教育への大きな貢献が期待されています。

よくある質問

AI教育でできることは?

・ビッグデータ解析によるアダプティブ・ラーニングの実践

・データ分析に基づくカリキュラムの構築

・音声分析を通じた効率的な語学教育

・画像認識を活用した自動採点技術

AI教育のメリットは?

AI教育の利点は次の6つです。

子どもの学習レベルに適したアドバイス提供が可能

リアルタイムでアドバイスを提供可能

教師の負担軽減

データに基づいた授業や教材の評価が可能

教育のコスト削減

成績を精密に分析可能

AIが教育に与えるデメリットは?

AIが教育にもたらす懸念は、子どもたちが成長する過程で、学習の方向性や「自分にとって理解の妨げとなっていること」を自ら考える重要性を失うおそれがあります。AIがすべての学習の方針を提供する環境に慣れると、自発的な思考力が鈍化する可能性があるかもしれません。

AIの問題点は何ですか?

AIの課題は次のようなものがあります。

・雇用の減少

・情報漏洩のリスク

・リスク管理の困難さ

・責任の帰属が曖昧

・思考プロセスのブラックボックス化

・コスト増加

AI教育の重要性とは?

AI教育の重要性は、その多岐にわたる機能性にあります。例えば、データを活用した繰り返しの学習や自己探求の自動化、日常生活や職場での既存製品の向上、学習アルゴリズムを通じた最適化、人間を超える精度、データ活用の最大化などがその一例です。

生成系AIを学生が使うメリットは?

生成AIは、学生が様々な難易度の文章を生成し、それに関連する質問を作成することができます。これにより、学生は文章の理解力や情報の選択・判断能力を効率的に高めることができます。

ディープラーニングAIとは何ですか?

ディープラーニング、または深層学習は、コンピュータに自然な人間のタスクを学習させる機械学習の手法の一つです。この技術は人工知能(AI)の急速な進歩を支え、その進展によりさまざまな領域での実用化が進んでいます。特に自動運転車の進化においても、鍵となっています。