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温室効果ガスと地球温暖化とは?7種類の特徴から削減対策まで徹底解説

温室効果ガスと地球温暖化とは?7種類の特徴から削減対策まで徹底解説

温室効果ガスは地球温暖化の主要因として世界的に大きな注目を集めています。二酸化炭素をはじめとする7種類の温室効果ガスの特徴、企業における排出量の測定・報告義務、具体的な削減対策など、温対法に基づく実務上の重要ポイントについて解説します。

1. 温室効果ガスの基礎知識

温室効果ガスは地球温暖化の主要因として、世界的に大きな注目を集めています。産業革命以降、人間活動による温室効果ガスの排出量は急激に増加し、地球環境に深刻な影響を及ぼしています。本章では、温室効果ガスの基本的な性質から、地球温暖化との関係性まで、体系的に解説していきます。

1.1 温室効果ガスとは何か

温室効果ガスとは、地球大気中に存在し、太陽からの熱を吸収・保持する性質を持つ気体の総称です。地球の平均気温は現在約15℃に保たれていますが、これは温室効果ガスの存在によるものです。もし温室効果ガスが存在しなければ、地球の平均温度は-18℃程度まで低下すると考えられています。

大気中の温室効果ガスは、太陽光が地表で反射された際の赤外線を吸収し、その一部を地表に向けて再放出します。この作用によって地球の温度が保たれ、生命の存続が可能となっているのです。

1.2 7種類の温室効果ガスの特徴

温対法では、以下の7種類のガスが温室効果ガスとして規定されています。

1. 二酸化炭素(CO2):最も代表的な温室効果ガスです。化石燃料の燃焼や森林破壊により発生し、温室効果への寄与度が最も高くなっています。

2. メタン(CH4):天然ガスの主成分であり、農業活動や廃棄物処理からも発生します。二酸化炭素と比較して約25倍の温室効果があります。

3. 一酸化二窒素(N2O):農業活動や工業プロセスから発生し、二酸化炭素の約298倍の温室効果があります。

4. ハイドロフルオロカーボン類(HFCs):エアコンの冷媒などに使用され、数百から数千倍の温室効果があります。

5. パーフルオロカーボン類(PFCs):半導体製造などで使用され、数千から数万倍の温室効果があります。

6. 六ふっ化硫黄(SF6):電気絶縁ガスとして使用され、約22,800倍の温室効果があります。

7. 三ふっ化窒素(NF3):半導体製造に使用され、約17,200倍の温室効果があります。

1.3 地球温暖化との関係性

地球温暖化は、大気中の温室効果ガス濃度が上昇することで、地球の平均気温が継続的に上昇する現象を指します。産業革命以降、人類の活動による温室効果ガスの排出量は急激に増加し、自然の吸収量を大きく上回っています。

2. 温対法の理解

温室効果ガスの排出量を削減するため、日本では「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」が制定されています。本章では、企業の実務担当者が押さえておくべき温対法の要点を解説します。

2.1 温対法の概要と目的

温対法は、地球温暖化対策の推進を目的として1998年に制定された法律です。この法律は、温室効果ガスの排出量の算定方法や報告の仕組みを定めており、特に事業者に対して重要な義務を課しています。

2.2 報告義務の対象と基準

温対法における特定排出者として、以下の事業者には温室効果ガス排出量の算定・報告が義務付けられています。

・エネルギー起源CO2を年間3,000トン以上排出する事業者 ・その他ガス(メタン、一酸化二窒素など)を相当程度排出する事業者 ・フロン類の製造・使用等を行う事業者

2.3 省エネ法との違い

温対法と省エネ法は、どちらもエネルギー使用と環境負荷の低減を目指す法律ですが、以下のような違いがあります。

温対法は温室効果ガス排出量の把握と報告に重点を置いているのに対し、省エネ法はエネルギー使用の合理化に焦点を当てています。また、温対法は7種類の温室効果ガスを対象としていますが、省エネ法はエネルギー使用量のみを対象としています。

2.4 報告・算定方法

温室効果ガスの排出量の算定は、事業者自身が行う必要があります。算定・報告は以下の手順で行います。

1. 排出源の特定:自社の事業活動における温室効果ガスの排出源を特定します。

2. 活動量の把握:燃料使用量、電力使用量などの活動量データを収集します。

3. 排出量の算定:定められた算定方法に従って排出量を計算します。

4. 報告書の作成:所定の様式に従って報告書を作成し、主務大臣に提出します。

3. 温室効果ガスの排出実態

温室効果ガスの排出状況を正確に把握することは、効果的な対策を講じる上で不可欠です。本章では、日本における温室効果ガスの排出実態と、その詳細な分析結果について解説します。

3.1 日本の排出量の現状

日本の温室効果ガス総排出量は、2021年度において11億5,000万トン(CO2換算)となっています。このうち、二酸化炭素が全体の約92%を占め、最も大きな割合を示しています。

排出量の経年変化を見ると、2013年度をピークに減少傾向にありますが、これは再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー対策の進展によるものです。しかし、パリ協定で定められた目標達成には、さらなる削減努力が必要とされています。

3.2 産業別の排出状況

産業部門別の温室効果ガス排出量は以下のような構成となっています。

産業部門(工場等)からの排出が全体の約35%を占め、次いでエネルギー転換部門(発電所等)が約27%、業務部門(オフィスビル等)が約17%、家庭部門が約14%、運輸部門が約7%となっています。

特に製造業からの排出量が大きく、鉄鋼業、化学工業、セメント製造業が主要な排出源となっています。これらの産業では、製造プロセスにおける化石燃料の使用が不可欠であり、排出削減には技術革新や製造方法の見直しが必要です。

3.3 主要排出源トップ3

温室効果ガスの主要な排出源として、以下の3つが特に重要です。

1. 発電所などのエネルギー転換部門:化石燃料を使用した発電過程で大量の二酸化炭素を排出します。特に石炭火力発電所からの排出量が著しく、天然ガスへの燃料転換や再生可能エネルギーの導入が課題となっています。

2. 製造業の生産活動:高温処理や化学反応を必要とする製造プロセスにおいて、大量の温室効果ガスが排出されています。特に鉄鋼業では、製鉄過程で大量の石炭を使用することから、排出量が突出しています。

3. 業務・家庭部門のエネルギー消費:オフィスビルや住宅における空調・照明などのエネルギー使用が、相当量の温室効果ガス排出につながっています。

3.4 排出量算定方法

温室効果ガスの排出量算定は、温対法に基づく算定・報告・公表制度に従って行われます。算定方法は以下の手順で実施されます。

1. 活動量の把握:燃料使用量、電力使用量、原材料使用量などの基礎データを収集します。

2. 排出係数の適用:各活動に対応する排出係数を用いて、温室効果ガスの排出量を計算します。

3. CO2換算:異なる種類の温室効果ガスを、地球温暖化係数(GWP)を用いてCO2換算します。

4. 企業に求められる対応

温室効果ガスの排出削減は、企業の社会的責任として重要性を増しています。本章では、企業が取り組むべき具体的な対応について解説します。

4.1 温対法上の義務と期限

特定排出者に該当する事業者には、以下の義務が課されています。

・毎年度の温室効果ガス排出量の算定 ・算定結果の報告(毎年7月末まで) ・データの保管(報告した内容を裏付ける資料を3年間保存)

4.2 排出量の測定・報告方法

排出量の測定・報告は、以下の手順で実施します。

1. 排出源の特定:自社の事業活動における温室効果ガスの排出源を網羅的に把握します。

2. 算定方法の選択:直接測定法、燃料消費量等から算定する方法など、適切な方法を選択します。

3. データの収集・管理:月次での燃料使用量、電力使用量などのデータを収集し、適切に管理します。

4.3 削減目標の設定方法

効果的な温室効果ガス削減のためには、適切な目標設定が重要です。目標設定には以下の要素を考慮します。

・ベースライン(基準年)の設定 ・中長期的な削減目標の設定 ・具体的な削減施策の計画 ・進捗管理の方法

4.4 罰則規定と対応

温対法違反に対する主な罰則として、以下が定められています。

・虚偽の報告を行った場合:20万円以下の過料 ・報告を怠った場合:勧告、命令、企業名の公表 ・命令違反:20万円以下の過料

これらの罰則を避けるため、企業は確実な報告体制の構築と、適切なデータ管理を行う必要があります。

5. 具体的な削減対策

温室効果ガスの削減は、企業の持続可能な発展において重要な課題となっています。本章では、企業が実施できる具体的な削減対策について、実践的な視点から解説します。

5.1 短期的に実施可能な対策

即座に着手できる温室効果ガス削減対策として、以下の取り組みが効果的です。

1. エネルギー管理の最適化:空調設備の適切な温度設定、不要な照明の消灯、OA機器の省エネ設定などを徹底します。これらの施策は追加投資なしで実施可能です。

2. 社内啓発活動:従業員への環境教育を実施し、日常業務における省エネ行動を促進します。具体的には、クールビズ・ウォームビズの推進、エレベーターの使用制限などが含まれます。

3. 運用改善:既存設備の運転方法の見直しや、メンテナンス強化による効率向上を図ります。

5.2 中長期的な設備投資計画

持続的な温室効果ガス削減には、計画的な設備投資が不可欠です。主な投資対象は以下の通りです。

1. 高効率設備への更新:空調設備、照明設備、生産設備などを最新の省エネ型に順次更新します。

2. 再生可能エネルギー設備の導入:太陽光発電システムや蓄電池の導入により、クリーンエネルギーの活用を推進します。

3. エネルギー管理システムの導入:BEMSやFEMSなどのシステムを導入し、エネルギー使用の可視化と最適化を図ります。

5.3 コスト効率の高い対策

投資対効果の高い温室効果ガス削減対策として、以下の施策が推奨されます。

1. LED照明への切り替え:初期投資は必要ですが、電力消費量の大幅削減が可能で、投資回収期間も比較的短期間です。

2. 断熱性能の向上:建物の断熱改修により、空調負荷を低減し、長期的なエネルギーコストの削減が可能です。

3. 廃熱回収システムの導入:工場などでは、製造プロセスで発生する廃熱を回収・利用することで、エネルギー効率を向上させることができます。

5.4 再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギーの導入は、温室効果ガス削減の重要な施策です。主な選択肢として以下があります。

1. 自社設備での発電:太陽光パネルの設置や、バイオマス発電設備の導入を検討します。

2. 再エネ電力の購入:RE100対応の電力プランへの切り替えや、環境価値証書の活用を検討します。

6. 温暖化対策の最新動向

温室効果ガス削減に向けた取り組みは、世界的に加速しています。本章では、最新の政策動向や先進的な取り組み事例を紹介します。

6.1 世界の規制動向

温室効果ガス削減に関する国際的な規制は、年々厳格化しています。特に注目すべき動向として以下があります。

1. カーボンプライシングの導入:EUを中心に、炭素税や排出量取引制度の導入が進んでいます。

2. サプライチェーン排出量の管理強化:Scope3排出量の把握と削減が求められるようになっています。

3. 情報開示要件の厳格化:TCFDなどのフレームワークに基づく気候関連情報の開示が求められています。

6.2 日本の政策方針

日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、以下のような政策を推進しています。

1. グリーン成長戦略:14の重点分野における技術開発と社会実装を支援します。

2. カーボンニュートラルポート:港湾における脱炭素化を推進します。

3. 省エネ住宅・建築物の普及:ZEH・ZEBの導入を促進します。

6.3 企業の取り組み事例

先進的な企業では、以下のような革新的な取り組みが始まっています。

1. RE100への参加:事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える取り組みが広がっています。

2. 内部炭素価格制度の導入:投資判断に炭素価格を織り込む企業が増加しています。

3. サーキュラーエコノミーの推進:資源の循環利用を通じた温室効果ガス削減を目指しています。

6.4 今後の展望

温室効果ガス削減に向けた取り組みは、今後さらに加速すると予想されます。特に以下の点に注目が集まっています。

1. 技術革新:水素技術やCCUSなど、革新的な脱炭素技術の実用化が期待されています。

2. 規制強化:排出量報告義務の対象拡大や、罰則の強化が予想されます。

3. 市場変化:環境配慮型製品・サービスへの需要が一層高まると見込まれています。

よくある質問と回答

温室効果ガスが地球温暖化に与える影響は?

温室効果ガスは、太陽からの熱を大気中に閉じ込める効果があり、地球の平均気温を上昇させる直接的な原因となっています。産業革命以降、人為的な温室効果ガスの排出増加により、地球の平均気温は約1℃上昇しました。このまま対策を取らなければ、今世紀末までに最大4.8℃上昇する可能性があります。

温室効果ガスの種類と特徴は?

温対法で規定されている主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロン類(HFCs、PFCs)、六ふっ化硫黄(SF6)、三ふっ化窒素(NF3)があります。中でも二酸化炭素は排出量全体の約92%を占め、最も影響が大きい温室効果ガスです。

温対法とはどのような法律ですか?

温対法(地球温暖化対策推進法)は、温室効果ガスの排出抑制を目的とした法律です。特定の事業者に対して、温室効果ガスの排出量の算定・報告を義務付けており、国や地方公共団体、事業者、国民それぞれの責務を定めています。

企業はCO2排出量の報告を義務付けられていますか?

年間3,000トン以上のCO2を排出する事業者は、温対法により排出量の算定・報告が義務付けられています。この報告は毎年度行う必要があり、虚偽の報告や報告義務違反には罰則が設けられています。

温室効果ガス削減のために企業ができることは?

企業が取り組める主な対策として、省エネ設備への更新、再生可能エネルギーの導入、エネルギー管理システムの活用があります。また、従業員への環境教育や、サプライチェーン全体での排出量管理も重要です。短期的には運用改善から始め、中長期的には計画的な設備投資を行うことが推奨されます。

温室効果ガスと二酸化炭素の関係は何ですか?

二酸化炭素(CO2)は数ある温室効果ガスの一種であり、最も排出量が多い温室効果ガスです。大気中の二酸化炭素濃度は産業革命前の約280ppmから現在は420ppmを超え、地球温暖化の主要因となっています。しかし、温室効果ガスには他にもメタンや一酸化二窒素などが含まれ、これらと温室効果ガスを総合的に管理することが地球温暖化対策には不可欠です。

温室効果がない場合、地球の表面温度はどうなりますか?

温室効果ガスがない場合、地球の表面温度は現在より約33℃低い、マイナス18℃程度になると推定されています。適度な温室効果は地球の生命維持に必要な自然現象ですが、人為的な温室効果ガスの増加による過剰な温室効果が問題となっています。この自然の温室効果と人為的な温室効果の違いを理解することが、地球温暖化対策の基本となります。

オゾン層を破壊するガスと温室効果ガスは同じものですか?

オゾン層を破壊するガスと温室効果ガスは一部重複しますが、同じではありません。特にクロロフルオロカーボン(CFCs)などのフロン類は、オゾン層を破壊すると同時に強力な温室効果ガスでもあります。モントリオール議定書によりオゾン層破壊物質の規制が進みましたが、代替フロン(HFCs)などは温室効果が高いため、ガスの排出を削減する国際的な取り組みが続いています。

世界の温室効果ガス排出量は現在どのくらいですか?

世界の温室効果ガス排出量は年間約520億トン(CO2換算)に達し、その約4分の3が二酸化炭素です。地域別では中国が約30%、アメリカが約13%、EUが約8%を占めています。日本は世界全体の約2.6%の排出量であり、アジアを中心とした新興国の排出量増加が近年の特徴となっています。パリ協定では、こうした世界の温室効果ガス排出量を今世紀後半にはゼロにする目標が掲げられています。

間接排出とは何ですか?

間接排出とは、企業や個人が直接排出源を所有・管理していないものの、その活動に起因する温室効果ガスの排出を指します。例えば、電力会社での発電に伴う排出(スコープ2)や、サプライチェーン上の排出(スコープ3)などがこれに当たります。温対法の報告マニュアルでは、こうした間接排出についても算定方法が示されており、事業者の責任範囲が直接排出だけでなく間接排出にも及ぶことを明確にしています。

温室効果ガスの排出をゼロにすることは可能ですか?

技術的には温室効果ガスの排出をゼロにすることは可能ですが、そのためには大規模な社会変革が必要です。再生可能エネルギーへの完全移行、エネルギー効率の大幅向上、電化の促進、残りの排出分に対する炭素回収・貯留技術の活用などが求められます。日本を含む120以上の国がカーボンニュートラル目標を掲げており、へのクリーンエネルギー移行と経済発展の両立を図る政策が世界各国で推進されています。