“退職金制度”は、社員が退職する際に企業から支給される金銭などを指し、その基準は、働きぶりや勤続年数など、企業が定めた特定のルールによるものです。この制度を採用するかどうかは企業の裁量に任されており、異なる賃金制度への取り組みとは区別されます。それにもかかわらず、全体の約75.5%の企業が退職金制度を導入していると厚生労働省の就労条件総合調査結果が示しています。
企業が退職金制度を導入する目的は大きく分けて3つあります。まず一つ目は、社員が長期間にわたり企業に在籍することを奨励するためです。次に、福利厚生の一部としての役割も果たしています。そして最後に、社員が退職後に安定した生活を送るための支援を提供するためです。
しかし、一方で、年功序列に縛られない組織への移行を進める企業や、定年制度そのものを廃止する企業が増えつつあり、このような人事戦略が退職金制度の導入目的と一致しない場合も少なくありません。その結果、退職金の額を見直す、あるいは退職金制度自体を再評価する企業も多く見られます。