クライアント企業の概要
業種 | 卸売業 |
---|---|
売上規模 | 1億円未満 |
従業員規模 | 10-100人 |
掲載企業・プロジェクトの概要
業種 | ソフトウェア開発 |
---|---|
概算費用 | 1000-3000万円 |
概算工期 | 約一年 |
プロジェクトテーマ
老舗アパレルメーカーの基幹システムリプレイス
老舗アパレルメーカーであるA社(仮)は、2000年代に構築された基幹システムが現在も稼働しており、社内にシステム管理者もいないため、システムのリプレイスが喫緊の課題となっていた。そうした状況の中、事業を止めずにシステムリプレイスの実現を行った。
クライアント企業が抱える課題/背景
①2000年代初頭に導入された基幹システムがそのまま使用されていたため、システムの老朽化が深刻であり、PCそのものの耐用年数も限界を迎えていた
②システム管理者がいないうえ、当時の担当者もすでに退職しており、現状を正確に把握できる社員がいない
③システム導入したベンダーの事業撤退により、基幹システムの安定的な継続使用が困難
④この基幹システムをベースに、実店舗はもちろんのこと自社オンラインショップ、楽天モール、インスタグラム等のオンライン経由での商品管理や在庫管理等を行なっていたため、基幹システムのトラブルが事業に与えるインパクトは甚大
このように、誰も管理できない「ブラックボックス」と化しており、問題が生じた際にどこから手を付けて良いかも分からない状態だった。その上、継続利用が困難な状況にも関わらずシステムトラブルが引き起こす事業インパクトは甚大であり、リプレイスは必須であった。
なお、業界特有の速いサイクルでの季節商品開発や流行に左右される需要予測など、アパレル特有の複雑性があるため、これを踏まえたシステムリプレイスの手法が求められた。
ソリューションの概要
実行タスクの概要
業務フローの整理
システム管理者が不在であるため、各部署の担当者にヒアリングを行い、どのような業務が基幹システムと連携しているかを明らかにした。
業務プロセスの密結合の解消
現場の都度対応で複雑化した業務プロセスを分解し、業務同士の結びつきを緩やかにした。
既存の基幹システムを用いたままで実施できるものはリプレイス前に実施した。
業務システム群の再構築
将来の変化に対応できるよう柔軟性を持たせた業務システム群の再構築に着手した。
新業務プロセスの追加
データ移行が難しいプロセスについては、新たにサブシステムを構築し、旧システムからのデータ移行をスムーズにするための緩衝材として活用した。
PJ推進において工夫した点
- ハブシステム化
単一の大規模システム構築ではなく、複数のサブシステムに分割して設計することで、システムの部分的な改修や入れ替えが可能なアーキテクチャを導入した。たとえば、在庫管理と販売管理を独立したシステム群とすることで、将来の拡張や改修も容易に行えるようにした。 - 依頼内容の再定義
システムのリプレイスは具体的な現象の一つであり、肝心なことは業務フローの再構築であることを常に共有・合意しながらシステム設計を行なった。 - 業務フローの再構築
旧基幹システムを利用したまま再構築できることはリプレイスを待たずに実施してスリム化と新業務フローの教育コストの低減を図った。 - ロールバック体制
新旧システムの両方がなるべく共存できる形を模索し、段階的な移行体制を整えることで何か問題が発生したら旧システムに戻せられるリカバリープランを策定した。
プロジェクトの成果
- 新規事業の展開
リプレイス完了後、新しいハブシステムが安定稼働したことで、ブランドごとに特化したオンラインショッピングサイトの新設や、OEM事業の展開が可能となった。これにより、従来のシステムでは困難だったマルチブランド戦略を打ち出し、将来の市場拡大に向けた基盤構築に成功した。 - 業務の効率化
従業員の負担が減り、業務全体の効率性が向上。業務の本質的な必要性を見極めることで、リプレイスの機会を活かした業務の効率化に成功した。 - システムトラブルの軽減
段階的な移行と緩衝システムの導入により、移行の際のトラブルを最小限に抑え、従業員が新しいシステムに馴染むための負担も軽減した。 - システムの安定稼働
システム群を導入することにより部分的な機能の入れ替えが可能となり、安定稼働させることが可能となった。