コラム

RFP(提案依頼書)とは?基本的な役割と作成の流れを徹底解説

RFP(提案依頼書)とは?基本的な役割と作成の流れを徹底解説

2024年12月9日

テクノロジー

システム開発 ビジネス文書 プロジェクト管理

システム開発やプロジェクト実施において、ベンダーや開発会社から最適な提案を得るために欠かせないRFP(Request for Proposal:提案依頼書)。しかし、実際にRFPを作成する際、何を記載すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

1. RFPの基礎知識

1.1. RFPの定義と役割

RFP(Request for Proposal)は、提案依頼書と呼ばれる文書で、システム開発やプロジェクトを実施する際に、発注企業がベンダーや開発会社に対して具体的な提案を依頼するための重要な文書です。RFPを作成することで、プロジェクトの目的や要件を明確にし、最適なベンダーを選定するための基準を示すことができます。

RFPの主な役割は以下の3つです:

  • プロジェクトの目的と要件を明確に示すこと

  • ベンダーから具体的な提案を引き出すこと

  • 提案内容を公平に評価するための基準を提供すること

1.2. RFP活用のメリット

RFPを活用することで、発注側には多くのメリットがあります。まず、自社のニーズや要件を整理し、明確にすることができます。また、複数のベンダーから提案を受けることで、さまざまな解決策を比較検討することが可能になります。

具体的なメリットとしては:

  • プロジェクトの目的や要件の明確化

  • 予算やスケジュールの適切な管理

  • ベンダー選定の透明性確保

  • 提案内容の質の向上

1.3. RFPが必要となるケース

RFPは、主にシステム開発や大規模なプロジェクトを実施する際に必要となります。特に以下のような場合にRFPの作成が推奨されます:

  • 新規システムの開発を検討している

  • 既存システムの大規模な改修を行う

  • 複数のベンダーから提案を募りたい

  • プロジェクトの予算が大きい

1.4. RFIとRFPの違いと使い分け

RFIとRFPは、どちらも情報収集のための文書ですが、その目的と役割は異なります。RFI(Request for Information)は、市場調査や技術情報の収集を目的とした情報提供依頼書です。一方、RFPは具体的な提案を依頼する文書として位置づけられます。

一般的な流れとしては、まずRFIを発行して基本情報を収集し、その後RFPを作成して具体的な提案を依頼するというステップを踏むことが多いでしょう。

2. RFP作成の準備

2.1. 社内での準備事項

RFPを作成する際には、まず社内での十分な準備が必要です。以下のような項目について、関係者間で合意を形成しておくことが重要です:

  • プロジェクトの目的と期待される成果

  • 予算の範囲と制約条件

  • スケジュールの概要

  • 主要なステークホルダーの特定

2.2. プロジェクトの目的明確化

RFPを作成する際に最も重要なのは、プロジェクトの目的を明確にすることです。なぜこのプロジェクトが必要なのか、どのような成果を期待しているのかを明確に記載してもらうことで、ベンダーからより適切な提案を得ることができます。

目的を明確化する際のポイント:

  • 現状の課題と解決したい問題点

  • 期待される具体的な効果

  • プロジェクト成功の定義

2.3. 予算・スケジュールの設定

予算とスケジュールは、プロジェクトの実現可能性を左右する重要な要素です。RFPには、これらの情報を適切に記載し、ベンダーが現実的な提案をできるようにすることが重要です。

具体的な記載項目:

  • 予算の範囲と制約条件

  • プロジェクトの開始時期と終了予定時期

  • 主要なマイルストーン

  • 納品物とその期限

2.4. 要件定義の基本方針

要件定義は、システム開発プロジェクトの成否を決める重要な要素です。RFPを作成する際には、要件定義の基本方針を明確にし、ベンダーに伝えることが必要です。

要件定義の基本方針には以下のような項目を含めます:

  • 業務要件の範囲

  • システム要件の概要

  • 技術要件の制約条件

  • 非機能要件の基準

3. RFPの構成要素

3.1. プロジェクト概要

RFPの冒頭には、プロジェクトの全体像を明確に示す必要があります。ここでは、プロジェクトの背景や目的、期待される成果などを簡潔にまとめます。

記載すべき主な項目:

  • プロジェクトの背景と目的

  • プロジェクトのスコープ

  • 期待される成果物

  • プロジェクト実施体制

3.2. 業務要件

業務要件では、現在の業務フローや課題、将来的に実現したい業務の姿を具体的に記載します。ベンダーが提案を作成する際の重要な指針となります。

業務要件に含めるべき項目:

  • 現状の業務フロー

  • 課題と改善ポイント

  • 将来の業務像

  • 業務効率化の目標

3.3. システム要件

システム要件では、新しく構築するシステムに求める機能や性能について具体的に記載します。ここでの記載内容は、ベンダーの提案内容を大きく左右します。

システム要件の主な項目:

  • 必要な機能一覧

  • システムの規模

  • 処理性能要件

  • セキュリティ要件

3.4. 技術要件

技術要件では、システム構築に使用する技術やプラットフォームに関する制約条件を明確にします。既存システムとの連携や将来的な拡張性も考慮に入れる必要があります。

技術要件の記載項目:

  • 開発言語・フレームワーク

  • インフラ環境

  • 他システムとの連携要件

  • テクニカルスタック

3.5. 運用保守要件

システムの運用開始後の保守管理について、具体的な要件を記載します。システムの安定運用と継続的な改善のための基準となります。

運用保守要件の主な項目:

  • 運用体制

  • 保守サービスレベル

  • 障害対応要件

  • バックアップ要件

3.6. 提案条件

最後に、ベンダーからの提案に対する具体的な条件を記載します。これにより、比較検討がしやすい提案書を受け取ることができます。

提案条件の記載項目:

  • 提案書の形式と構成

  • 見積条件

  • 提出期限と方法

  • 選定基準と評価方法

4. RFP作成のポイント

4.1. 記載すべき必須項目

RFPを作成する際には、必要な情報を漏れなく記載することが重要です。発注企業として、以下の項目は必ず含めるようにしましょう:

  • プロジェクトの背景と目的

  • 具体的な要件定義

  • プロジェクトのスケジュール

  • 予算範囲と見積条件

  • 提案書の提出期限と方法

特にシステム開発プロジェクトにおいては、技術情報や運用要件なども詳細に記載することで、より具体的な提案を引き出すことができます。

4.2. 具体的な提案を引き出すコツ

RFPの目的は、ベンダーから最適な提案を得ることです。そのためには、以下のような工夫が効果的です:

  • 現状の課題を明確に記載する

  • 期待する成果を具体的に示す

  • 提案の自由度を適切に設定する

  • 評価のポイントを明示する

また、RFPを作成する際には、ベンダーが理解しやすい表現を心がけ、必要に応じて図表や参考資料を添付することも重要です。

4.3. 評価基準の設定方法

提案内容を公平に評価するために、明確な評価基準を設定することが必要です。評価基準には以下のような項目を含めます:

  • 技術力と実績

  • 提案内容の具体性

  • プロジェクト管理能力

  • 価格の妥当性

  • サポート体制

各項目の重要度に応じて配点を決め、定量的な評価ができるようにしましょう。

4.4. 制約条件の明確化

プロジェクトを成功に導くために、RFPには明確な制約条件を記載することが重要です。主な制約条件には以下のようなものがあります:

  • 予算の上限

  • 納期の制約

  • 技術的な制約

  • 法的要件

5. RFPの運用プロセス

5.1. 配布先の選定方法

RFPの配布先となるベンダーの選定は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。以下のポイントを考慮して選定を行いましょう:

  • 実績と技術力

  • 企業規模と安定性

  • 類似プロジェクトの経験

  • 業界での評価

また、RFIを活用して事前に情報収集を行い、適切なベンダーを絞り込むことも効果的です。

5.2. 質問対応の進め方

RFP配布後は、ベンダーからの質問に適切に対応することが重要です。質問対応のプロセスは以下のように進めます:

  • 質問受付期間の設定

  • 質問フォーマットの統一

  • 回答の一括公開

  • 追加情報の提供

すべてのベンダーに公平な情報提供を行うため、質問と回答は原則として全社に共有します。

5.3. 提案書の評価方法

提案書を受領後は、事前に定めた評価基準に従って、公平かつ客観的な評価を行います。評価のステップは以下の通りです:

  • 一次評価(書類審査)

  • 二次評価(プレゼンテーション)

  • 最終評価(総合判断)

評価は複数の担当者で行い、多角的な視点から検討することが重要です。

5.4. ベンダー選定までの流れ

ベンダー選定は以下のような流れで進めます:

  1. 提案書の受領と内容確認

  2. 評価チームによる採点

  3. プレゼンテーションの実施

  4. 最終選考と決定

6. RFP活用の実践的アプローチ

6.1. 効果的なRFP配布のタイミング

RFPの配布タイミングは、プロジェクトのスケジュールに大きく影響します。以下のポイントを考慮してタイミングを決定しましょう:

  • プロジェクト開始までの準備期間

  • 市場動向や技術トレンド

  • ベンダーの提案準備期間

  • 社内の意思決定プロセス

6.2. ベンダーとのコミュニケーション方法

RFPプロセスにおけるベンダーとのコミュニケーションは、以下の原則に従って進めます:

  • 公平性の確保

  • 透明性の維持

  • 適切な情報管理

  • 効率的な質疑応答

6.3. 提案内容の比較評価のポイント

提案内容を効果的に比較評価するために、以下のポイントに注目します:

  • 要件充足度

  • 実現方法の具体性

  • コストパフォーマンス

  • リスク対応策

  • 保守運用体制

6.4. 契約交渉への活用方法

RFPと提案内容は、契約交渉の重要な基礎資料となります。以下の点に注意して活用しましょう:

  • 提案内容の確実な実現性確認

  • 価格交渉の根拠資料

  • 契約条件の詳細化

  • リスク分担の明確化

特にシステム開発では、スコープや役割分担を明確にし、将来的なトラブルを防ぐことが重要です。RFPの内容を契約書に反映させることで、プロジェクトの円滑な進行を支援することができます。

7. RFP作成・運用の注意点

7.1. よくある失敗パターン

RFPの作成や運用において、以下のような失敗パターンがよく見られます:

  • 要件が曖昧で具体的な提案を引き出せない

  • 予算や納期の制約が非現実的

  • 技術要件が過度に詳細または不明確

  • 評価基準が不明確

これらの失敗を避けるために、RFPを作成する際は、発注企業として明確な方針を持ち、具体的な要件を記載することが重要です。また、必要に応じて外部の専門家に相談することも検討しましょう。

7.2. リスク管理のポイント

RFPプロセスにおけるリスク管理は、プロジェクトの成功に直結します。主なリスク管理のポイントは以下の通りです:

  • スケジュールリスクの把握と対策

  • 予算超過リスクの管理

  • 技術的リスクの評価

  • ベンダーの実績・信頼性確認

特にシステム開発プロジェクトでは、これらのリスクを事前に特定し、対策を講じることが重要です。RFPにはリスク管理に関する要件も明確に記載しましょう。

7.3. 法的留意事項

RFPの作成・運用において、以下のような法的な留意点があります:

  • 知的財産権の取り扱い

  • 機密保持契約の締結

  • 個人情報保護法への対応

  • 契約条件の明確化

特に発注企業は、これらの法的要件をRFPに明記し、後々のトラブルを防ぐことが重要です。必要に応じて法務部門や専門家に確認を取ることをお勧めします。

7.4. 機密情報の取り扱い

RFPには機密性の高い情報が含まれることが多いため、適切な情報管理が必要です:

  • 機密レベルの設定

  • 開示範囲の明確化

  • 情報管理プロセスの確立

  • 廃棄・返却ルールの設定

8. デジタル時代のRFP活用

8.1. クラウドサービス選定でのRFP活用

クラウドサービスの選定においても、RFPは重要な役割を果たします。以下のポイントに注意してRFPを作成しましょう:

  • クラウドサービスの特性理解

  • セキュリティ要件の明確化

  • データ管理方針の設定

  • サービスレベル合意(SLA)の基準

特に、システムの可用性や拡張性、データのバックアップなど、クラウド特有の要件を明確にすることが重要です。

8.2. アジャイル開発におけるRFPの考え方

アジャイル開発プロジェクトでは、従来型のRFPとは異なるアプローチが必要です:

  • 柔軟な要件定義

  • イテレーション単位での評価基準

  • 開発チームの体制要件

  • コミュニケーション方法の明確化

アジャイル開発では、RFPの内容も柔軟性を持たせ、プロジェクトの進行に応じて調整できるようにすることが重要です。

8.3. DX推進時のRFP作成のポイント

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進においては、以下のような点に注意してRFPを作成します:

  • ビジネス戦略との整合性

  • 技術革新への対応

  • 組織変革の視点

  • デジタル化の目標設定

DXプロジェクトでは、技術面だけでなく、組織や業務プロセスの変革も含めた包括的な提案を求めることが重要です。

8.4. グローバルプロジェクトでの活用方法

グローバルプロジェクトでRFPを活用する際は、以下の点に特に注意が必要です:

  • 多言語対応

  • 国際標準への準拠

  • 地域特性への配慮

  • コンプライアンス要件

グローバルプロジェクトでは、各国の法規制や商習慣の違いにも配慮し、RFPの内容を調整する必要があります。また、言語や時差の問題にも適切に対応することが重要です。

システム開発会社との協業において、RFPは重要なコミュニケーションツールとなります。発注企業は、プロジェクトの目的や要件を明確にし、最適なベンダーを選定するためにRFPを効果的に活用しましょう。

よくある質問と回答

RFPとは何ですか?

RFP(Request for Proposal)は提案依頼書のことで、システム開発などのプロジェクトにおいて、発注企業がベンダーに対して具体的な提案を依頼するための文書です。プロジェクトの目的、要件、予算、スケジュールなどを明確に示し、最適なベンダーを選定するために活用されます。

RFIとRFPの違いは何ですか?

RFI(Request for Information)は情報提供依頼書で、市場調査や技術情報の収集が目的です。一方、RFPは具体的な提案を依頼する文書です。通常、RFIで基本情報を収集した後、RFPで詳細な提案を依頼するという流れになります。

RFPの作成者は誰ですか?

一般的に発注企業の情報システム部門や事業部門が中心となって作成します。ただし、プロジェクトの規模や内容に応じて、外部のコンサルタントに支援を依頼することもあります。

RFPの作成時間はどのくらいですか?

プロジェクトの規模や複雑さによって異なりますが、一般的に1〜3ヶ月程度かかります。要件の整理や社内での合意形成、法務確認などの時間を含めると、さらに時間がかかる場合もあります。

RFPには何を書くべきですか?

主な記載項目として、プロジェクトの背景と目的、業務要件、システム要件、技術要件、予算、スケジュール、評価基準などが挙げられます。また、提案書の提出方法や選定プロセスなども明確に記載する必要があります。

RFIとRFPはどちらが先ですか?

通常はRFIを先に実施します。RFIで市場調査や技術情報の収集を行い、その結果を踏まえてRFPを作成するのが一般的な流れです。ただし、プロジェクトの特性によってはRFIを省略する場合もあります。

RFPの作成相場はいくらですか?

プロジェクトの規模や複雑さによって大きく異なりますが、外部コンサルタントに依頼する場合、数十万円から数百万円程度が一般的です。ただし、社内リソースで作成する場合はコストを抑えることができます。

提案書に書くべき内容は?

RFPに対する提案書には、提案内容の具体的な実現方法、プロジェクト体制、スケジュール、コスト、リスク対策などを記載します。また、自社の強みや類似プロジェクトの実績なども含めることが重要です。

RFPの項目一覧は?

標準的な項目として、以下が含まれます: ・プロジェクト概要 ・業務要件 ・システム要件 ・技術要件 ・運用保守要件 ・プロジェクト管理要件 ・提案条件 ・評価基準 ・スケジュール ・予算条件

わかりやすく解説!RFPの基本情報とは?

RFPとは「Request for Proposal」の略で、発注者が提供を依頼する要件や条件を明確に記載した文書です。

RFPとRFIの違いについて

RFP(提案依頼書)とRFI(Request for Information)は、それぞれ目的が異なります。RFIは情報提供を依頼する文書で、RFPは具体的な提案を依頼する文書です。

Request for Proposalとは?

「Request for Proposal(提案依頼書)」は、発注側がベンダーに対して製品情報やサービス内容を明確に提示してもらうための文書です。

RFP作成手順をわかりやすく解説

RFP作成は、プロジェクトの目標を明確化し、要件や制約条件を整理することから始めます。その後、必要な項目を盛り込んで文書化します。

RFIとRFPの違いを理解して活用する方法

RFIは情報収集に用いられる一方、RFPは具体的な提案を受け取るために使用されます。これらを適切に使い分けることで、プロジェクトを効率よく進めることができます。

RFPにおける提供依頼書の重要性とは?

RFPでは、提供依頼書に必要な情報を記載することで、ベンダーに最適な提案をしてもらうための基盤を作ります。

RFPの作成時に提示すべき情報とは?

RFPでは、要件定義やプロジェクトの背景、目的、期待する成果などを明確に提示する必要があります。

RFPとRFIの違いを明確化するには?

RFPとRFIの違いは、目的と記載内容にあります。RFPは具体的な提案を依頼し、RFIは情報提供を目的とします。

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