RFI(情報提供依頼書)の作成法|RFP・RFQとの違いからテンプレートまで2025年1月4日テクノロジー プロジェクトマネジメント ベンダーマネジメント 情報システム調達企業のIT投資やシステム調達において、RFI(Request for Information:情報提供依頼書)は重要な役割を果たします。適切なベンダーや製品を選定するための第一歩となるRFIですが、その作成方法や活用方法を誤ると、後続のRFPやRFQに大きな影響を及ぼす可能性があります。本記事では、RFIの基礎から実践的な活用方法まで、調達担当者が押さえるべきポイントを詳しく解説します。目次1. RFIの基礎知識2. RFI作成の準備3. RFIの作成方法4. 効果的なRFI活用のポイント5. RFIの実践的な運用方法6. 業界別RFIの特徴と対応7. RFIからRFPへの移行よくある質問と回答1. RFIの基礎知識1.1. RFIとは何かRFI(Request for Information:情報提供依頼書)は、企業がベンダーから製品やサービスの情報を収集するために使用する公式文書です。RFIは、システムの導入や更新、新規サービスの採用を検討する際の初期段階で活用される重要なツールとなります。特に、情報システムの調達プロセスにおいて、RFIは発注側企業が適切なベンダーを選定するための基礎情報を収集する役割を果たします。RFIを通じて、ベンダーの基本情報、技術情報、製品情報などを効率的に収集することができます。1.2. RFIの目的と重要性RFIの主な目的は、市場調査と情報収集にあります。具体的な提案を求めるRFPとは異なり、RFIは製品やサービスの基本情報を広く収集することに焦点を当てています。RFIを実施することで、以下のような効果が期待できます:・市場に存在する製品やサービスの全体像の把握・各ベンダーの技術力や実績の確認・概算費用の見積もり・プロジェクトの実現可能性の検証1.3. 調達プロセスにおけるRFIの位置づけ調達プロセスにおいて、RFIは最初のステップとして位置づけられます。RFIを通じて収集した情報は、後続のRFPやRFQを作成する際の重要な基礎資料となります。特に開発会社やシステムベンダーとの取引において、RFIは以下のような役割を果たします:1. プロジェクトの方向性の明確化2. 要件定義の基礎となる情報の収集3. 予算策定のための市場価格の把握4. 潜在的なリスクの早期発見1.4. RFI・RFP・RFQの違いと関係性調達プロセスでは、RFI、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)、RFQ(Request for Quotation:見積依頼書)という3つの重要な文書が使用されます。これらの違いを理解することは、効果的な調達プロセスの実現に不可欠です。2. RFI作成の準備2.1. 社内ニーズの把握方法RFIを作成する際には、まず社内のニーズを正確に把握することが重要です。情報システムの刷新や新規サービスの導入において、現場の要望や経営層の意向を適切に反映させる必要があります。効果的なニーズ把握のためには、以下のようなアプローチが推奨されます:・各部門へのヒアリング実施・現状の課題分析・将来的な拡張性の検討・経営戦略との整合性確認2.2. 現状課題の整理手順RFIを効果的に活用するためには、現状の課題を明確に整理することが不可欠です。課題の整理には以下のような手順を踏むことをお勧めします:1. 現行システムやプロセスの問題点の洗い出し2. 課題の優先順位付け3. 解決に必要な要素の特定4. 目標状態の設定2.3. 情報収集の範囲設定RFIで収集する情報の範囲を適切に設定することは、後続のRFPやRFQの質を左右する重要な要素です。情報収集の範囲には、以下のような項目を含めることが一般的です:・ベンダーの企業情報・製品やサービスの技術情報・導入実績や参考事例・概算費用や導入期間・保守サポート体制2.4. スケジュール策定のポイントRFIのスケジュール策定では、以下の点に留意することが重要です:・ベンダーに回答の十分な時間を確保すること・社内の意思決定プロセスを考慮すること・後続のRFP、RFQのスケジュールとの整合性を取ること・プロジェクト全体のタイムラインを意識すること3. RFIの作成方法3.1. RFIの基本構成効果的なRFIを作成するためには、適切な構成を心がける必要があります。RFIの基本構成には以下の要素が含まれます:1. プロジェクトの概要と目的2. 現状の課題と要望事項3. 収集したい情報の詳細4. 回答期限や提出方法5. 守秘義務に関する事項3.2. 必須記載項目と任意記載項目RFIには、必ず記載すべき項目と、状況に応じて記載する任意項目があります。必須項目には以下のようなものが含まれます:必須項目:・プロジェクトの目的・情報提供を依頼する内容・回答期限と提出方法・連絡先情報任意項目:・予算の概算範囲・想定スケジュール・参考となる類似事例3.3. 質問項目の設計手法RFIの質問項目は、具体的な情報を収集できるよう適切に設計する必要があります。以下のポイントを意識して作成しましょう:・オープンエンドとクローズドエンドの質問を適切に組み合わせる・回答の比較が容易になるよう標準化された形式を用いる・必要な情報が漏れなく収集できる構成にする・回答者の負担を考慮した質問数にする3.4. 評価基準の設定方法RFIの回答を効果的に評価するためには、適切な評価基準を設定することが重要です。評価基準の設定には以下の点に注意してください:・客観的な評価が可能な基準を設定する・重要度に応じて評価項目に重み付けを行う・定量的評価と定性的評価のバランスを取る・社内の意思決定基準との整合性を確保する4. 効果的なRFI活用のポイント4.1. ベンダー選定基準の設定効果的なRFIの活用には、適切なベンダー選定基準の設定が不可欠です。情報システムの調達において、ベンダーの技術力や実績、提供可能な製品やサービスの品質を正確に評価するための基準を設定する必要があります。選定基準には以下のような要素を含めることが推奨されます:・企業の基本情報(財務状況、事業規模など)・技術力と実績・サポート体制の充実度・製品やサービスの特徴と強み4.2. 回答期限の設定と管理RFIの回答期限は、ベンダーに具体的な提案を検討するための十分な時間を確保しつつ、プロジェクト全体のスケジュールを考慮して設定する必要があります。一般的な期間として、RFI配布から2〜4週間程度の回答期間を設けることが望ましいでしょう。4.3. 受領した情報の分析方法RFIを通じて収集した情報は、後続のRFPを作成する際の重要な基礎資料となります。分析にあたっては、以下のような観点で情報を整理していきます:・製品やサービスの機能比較・価格帯の市場相場・導入実績や成功事例・技術的な特徴や独自性4.4. フィードバックの活用方法ベンダーからのフィードバックは、RFPの作成や最終的な要件定義に活用できる貴重な情報源となります。収集した情報は、社内の関係者と共有し、プロジェクトの方向性の確認や修正に活用しましょう。5. RFIの実践的な運用方法5.1. ベンダーとのコミュニケーション方法RFIのプロセスでは、ベンダーとの効果的なコミュニケーションが重要です。質問への回答や追加情報の提供を依頼する際には、明確で具体的な方法を定めておく必要があります。コミュニケーションの主なポイントは以下の通りです:・質問受付期間の設定・回答方法の統一・追加情報の提供方法・守秘義務に関する取り決め5.2. 情報の管理・整理手法RFIを通じて収集した情報を効率的に管理・整理することは、その後の意思決定プロセスを円滑に進めるために重要です。情報システムの導入や更新を検討する際には、特に以下の点に注意して情報を整理します:・ベンダーごとの回答内容の比較表作成・技術情報の分類と評価・価格情報の整理と分析・導入実績の体系的な整理5.3. セキュリティ対策と機密保持RFIプロセスでは、企業の機密情報や将来の計画に関する情報を取り扱うため、適切なセキュリティ対策と機密保持の措置が必要です。具体的には以下のような対策を講じます:・機密保持契約(NDA)の締結・情報アクセス権限の管理・データの暗号化と安全な保管・情報漏洩防止策の実施5.4. トラブル防止のための注意点RFIの実施過程で発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐため、以下のような点に注意が必要です:・回答内容の解釈の明確化・質問と回答の記録管理・公平性の確保・スケジュール管理の徹底6. 業界別RFIの特徴と対応6.1. IT・システム開発分野IT・システム開発分野のRFIでは、技術情報の収集が特に重要となります。開発会社やベンダーに対して、以下のような観点での情報提供を依頼します:・開発手法とプロジェクト管理手法・使用技術とフレームワーク・品質管理手法・保守・運用体制6.2. 製造業における活用製造業では、製品やサービスの品質管理や生産能力に関する情報が重要となります。RFIには以下のような項目を含めることが一般的です:・生産能力と供給体制・品質管理システム・在庫管理方法・納期対応能力6.3. サービス業での実践サービス業におけるRFIでは、顧客サービスの質や運用体制に関する情報収集が重要です。以下のような観点での情報提供を依頼します:・サービス提供体制・品質管理手法・カスタマーサポート体制・サービスレベル保証(SLA)6.4. 公共事業での活用公共事業のRFIでは、透明性と公平性の確保が特に重要となります。以下のような点に注意して情報収集を行います:・法令順守状況・実績と信頼性・社会的責任への取り組み・地域貢献度7. RFIからRFPへの移行7.1. 収集情報の活用方法RFIを通じて収集した情報は、RFPを作成する際の重要な基礎資料となります。収集した情報の中から、具体的な提案を求めるための要件を抽出し、RFPの作成に活用していきます。特に、ベンダーから提供された技術情報や製品情報は、要件定義の精緻化に役立ちます。7.2. RFP作成への反映ポイントRFPの作成では、RFIで得られた情報をもとに、より具体的な提案を依頼するための文書を作成します。この際、以下のような点に注意して情報を反映させていきます:・システムの要件定義の具体化・技術的な制約条件の明確化・期待する成果物の詳細化・評価基準の設定7.3. ベンダー絞り込みの基準RFIの回答内容を基に、RFPの送付先となるベンダーを絞り込む必要があります。絞り込みの際には、以下のような評価基準を設定することが推奨されます:・技術力と実績・提案内容の具体性・価格競争力・プロジェクト遂行能力7.4. 予算策定への活用RFIで収集した情報は、プロジェクトの予算策定にも活用できます。ベンダーから提供された概算見積もりや市場価格の情報を分析し、適切な予算枠を設定していきます。よくある質問と回答RFIとは何ですか? どのような目的で使用されますか?RFI(Request for Information)とは、発注者が情報を提供してもらうために作成する依頼書です。システムやサービスを調達する際に、ベンダーから基本的な情報を収集するために活用されます。RFIは下記の目的に沿った情報収集を実現します。RFPとRFIとの違いを教えてくださいRFPとRFIの主な違いは、RFIが基礎情報の収集を目的としているのに対し、RFPは具体的な提案を依頼書として求める点にあります。RFIで集めた情報をもとにしてRFPを作成することが一般的です。RFIを作成する際の注意点は何ですか?RFIを作成する際には、ベンダーに情報を提供してもらう範囲を明確にしておく必要があります。また、回答しやすい質問構成にしましょう。情報収集の目的と期待する成果を具体的に記載しておくことが重要です。依頼書としてのRFIの位置づけを教えてくださいRFIは依頼書としてプロジェクトの最初期に活用される文書です。ベンダーにして欲しい情報提供の内容を明確にし、その後の提案依頼や見積依頼のプロセスにつなげていきます。RFIの回答を受け取った後はどのように進めればよいですか?ベンダーから情報を提供してもらい、それらを分析して要件を具体化していきます。その結果に基づいてRFPを作成し、より具体的な提案を依頼するプロセスへと進みます。RFIはいつまでに完了させるべきですか?プロジェクトのスケジュールに沿った形で、十分な情報収集期間を確保しましょう。通常、RFPの作成開始までに完了させておく必要があります。検討を進める上で困った時は テクノロジーの検討を進めようとするときには、様々なお悩みが出てくるものと思われます。INTERSECT(インターセクト)では、事例データベースを元に専門コンシェルジュが信頼できるソリューションパートナーを選定し、依頼事項の整理から提案選定まで無料で伴走サポート致します。ぜひお気軽にご相談下さい。 インターセクトは事例データベースを元に信頼できる企業をご紹介し、最終選定までサポートする発注支援サービスです。完全無料契約・登録不要専門サービスにも対応発注先を相談する