クライアント企業の概要
業種 | 建設業 |
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売上規模 | 100-1000億円 |
従業員規模 | 1000-5000人 |
掲載企業・プロジェクトの概要
業種 | システムインテグレーター |
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概算費用 | 1000-3000万円 |
概算工期 | 10か月 |
プロジェクトテーマ
本事例では、Oracle NetSuiteを用いて建設業のプロジェクト管理の透明性と効率性を向上させる取り組みに焦点を当てる。
建設業界は、そのプロジェクトの多様性と複雑さにより、管理が極めて難しい。この課題を解決するため、日本国内で数多くの建設プロジェクトを手掛ける中堅企業であるクライアント企業は「Oracle NetSuite」を採用し、そのプロジェクト管理プロセスを根本から改革した。
クライアント企業が抱える課題/背景
大型プロジェクトや長期間にわたるプロジェクトを多数抱えており、その管理の難しさが顕著だった。
具体的には、以下のような課題があった。
1)複数のプロジェクトを同時に管理する必要がある中で、リソースの配分が不透明で非効率的であった。これにより、リソースの過不足が頻発し、一部のプロジェクトが遅延する原因となっていた。
2)プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握することができず、現場の状況が適時に反映されないことが多かった。この結果、プロジェクトの遅延が頻発し、コスト管理も煩雑で予算超過が常態化していた。
3)建設業特有の複雑なプロジェクト管理プロセスに対応するためのツールが不足しており、既存のシステムではそのニーズに応えきれなかった。これに加え、ステークホルダー間のコミュニケーションが不足しており、情報共有がスムーズに行われないことが多かった。
ソリューションの概要
これらの課題を解決するために、Oracle NetSuiteを採用した。
Oracle NetSuiteは、クラウドベースのERPソリューションであり、高度なカスタマイズ機能を備えているため、建設業の特有のニーズに対応することができる。
まず、複数プロジェクトの一元管理を実現するために、Oracle NetSuiteをカスタマイズした。リアルタイムのダッシュボードを導入することで、プロジェクトの進捗状況を可視化し、リソースの配分を最適化した。これにより、各プロジェクトの進捗をリアルタイムで把握することができ、適切なタイミングでリソースを調整することが可能となった。
次に、コスト管理の精度を向上させるために、コスト管理モジュールを導入した。このモジュールにより、予算の設定から実績管理までを一元管理し、予算超過を未然に防ぐことができるようになった。また、ステークホルダー向けのアクセス制御されたポータルを設置することで、情報共有を円滑にし、プロジェクトに関与する全ての関係者が必要な情報にアクセスできるようにした。
さらに、モバイルアクセスを強化し、現場からのリアルタイム情報共有を可能にした。これにより、現場の状況を即座に本社に反映させることができるようになった。
実行タスクの概要
●現行システムとOracle NetSuiteとの統合計画を策定
この計画では、現行システムとの互換性を確保しつつ、スムーズな移行を実現するための手順を詳細に定めた。次に、カスタマイズされたダッシュボードの開発とテストを行った。これにより、各プロジェクトの進捗状況を一目で把握できるようになり、リソースの最適配分が可能となった。
●コスト管理モジュールの設定と試運用
このモジュールにより、予算の設定から実績管理までを一元管理し、予算超過を未然に防ぐことができるようになった。
●ステークホルダー向けポータルの設計と実装
プロジェクトに関与する全ての関係者が必要な情報にアクセスできるようになり、情報共有が円滑になった。
●教育プログラムの実施とユーザーサポートの体制構築
新しいシステムを効果的に利用するために不可欠な従業員教育のため、従業員向けのトレーニングプログラムを実施し、システムの利用方法を丁寧に指導した。また、ユーザーサポート体制を整備し、従業員がシステムに関する疑問や問題を迅速に解決できるようにした。
PJ推進において工夫した点
●ユーザーフレンドリーなインターフェイス設計により、ステークホルダーの抵抗感を軽減
新しいシステムを導入する際には、従業員の抵抗感が大きな障害となることが多い。しかし、直感的で使いやすいインターフェイスを提供することで、この問題を解決した。
●Agile開発手法を採用することで、迅速なフィードバックと改善サイクルを確立
システムの導入プロセス中に発生する問題を迅速に解決し、常に最適な状態を維持することができた。
●ビッグデータ分析を利用したリソース配分の最適化
これにより、各プロジェクトのリソース配分を効率的に管理し、無駄を削減することができた。
●クラウドベースのソリューションを採用
アクセス性と拡張性を向上させた。クラウドベースのシステムは、どこからでもアクセスできるため、現場と本社間の情報共有がスムーズになる。また、必要に応じてシステムを拡張することも容易となった。
●実際のプロジェクト管理経験を基にしたカスタマイズを実施
建設業界での豊富な経験を活かし、実際の業務に即したカスタマイズを行った。これにより、システムが実際の業務プロセスに完全に適合し、効果的に機能するようになった。
プロジェクトの成果
●リアルタイムでの進捗把握が可能となり、各プロジェクトの状況を正確に把握することができるようになった。これにより、リソースの過不足を迅速に調整し、プロジェクトの遅延を防ぐことができ、プロジェクトの透明性が向上した。
●予算の設定から実績管理までを一元管理することで、予算超過を未然に防ぐことができるようになった。これにより、コスト管理が煩雑であった以前に比べ、大幅に効率化され、コスト管理の精度が向上した。
●各プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握し、リソースを適切に配分することで、プロジェクトの遅延を防ぐことができ、プロジェクトの納期遵守率が向上した。これにより、A社は納期を厳守し、クライアントからの信頼を獲得することができた。
●新しいシステムの導入により、情報共有がスムーズになり、業務プロセスが効率化された。これにより、従業員の業務負担が軽減され、生産性が向上した。
今回の取り組みにより、リアルタイムでの進捗把握やコスト管理の精度向上、納期遵守率の向上により、クライアントからの信頼を獲得し、新たなビジネスチャンスを生み出すことができた。
今後もOracle NetSuiteを活用し、更なる業務効率化と生産性向上を目指していく予定である。