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発電二酸化炭素とは?企業が知るべき排出量削減の課題と対策

発電二酸化炭素とは?企業が知るべき排出量削減の課題と対策

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世界的な環境意識の高まりの中、発電時に排出される二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化対策における重要な課題となっています。特に日本では、火力発電によるCO2排出量が大きな割合を占めており、ビジネス環境にも大きな影響を与えています。本記事では、発電二酸化炭素の基礎知識から、各発電方式のCO2排出特性、そして企業に求められる対応まで、体系的に解説します。

1. 発電二酸化炭素の基本

1.1 発電二酸化炭素とは

発電二酸化炭素とは、電力を生み出す過程で排出されるCO2のことを指します。特に火力発電において、化石燃料を燃やす際に大量のCO2が排出されるため、地球温暖化対策における重要な課題となっています。日本の温室効果ガス排出量のうち、発電部門からのCO2排出量は約4割を占めており、その大部分が石炭火力発電によるものです。

電力需要が増加し続ける現代社会において、発電時のCO2排出削減は喫緊の課題となっています。特に企業活動における電力使用量の増加に伴い、発電二酸化炭素の削減は、企業の環境負荷低減策として重要性を増しています。

1.2 発電方式別のCO2排出量の特徴

発電方法によってCO2排出量は大きく異なります。最もCO2排出量が多いのは石炭火力発電で、1kWh当たり約0.9kg-CO2を排出します。次いで石油火力発電が約0.7kg-CO2/kWh、天然ガス火力発電が約0.45kg-CO2/kWhとなっています。

一方、原子力発電や太陽光発電、風力発電などは、発電時にCO2を排出しないクリーンな発電方式です。これらの発電方法は、設備の製造や建設時にCO2を排出するものの、実際の発電過程ではCO2を排出しないため、カーボンニュートラルの実現に向けて期待されています。

1.3 世界の発電CO2排出量の現状

世界の電力部門からのCO2排出量は年間約140億トンに達し、全世界のCO2排出量の約40%を占めています。特に中国や米国、インドなどの新興国での石炭火力発電の利用が、世界全体のCO2排出量増加の主要因となっています。

先進国を中心に再生可能エネルギーの導入が進められていますが、依然として世界の発電量の約60%は化石燃料に依存しているのが現状です。

2. 火力発電とCO2排出

2.1 石炭火力発電のCO2排出メカニズム

石炭火力発電は、石炭を燃焼させることで水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回転させて電気を生み出します。この過程で、石炭に含まれる炭素が酸素と結合してCO2が生成されます。石炭は他の化石燃料と比べて炭素含有量が多いため、より多くのCO2を排出することになります。

日本の石炭火力発電は、世界最高水準の発電効率を誇りますが、それでもなお大量のCO2を排出しています。火力発電の中でも特に石炭火力発電のCO2排出量は、天然ガス火力発電の約2倍にもなります。

2.2 天然ガス火力発電の特徴

天然ガス火力発電は、石炭火力発電と比べてCO2排出量が少ない特徴があります。これは、天然ガスに含まれる炭素の割合が石炭より少なく、水素の割合が多いためです。また、最新のコンバインドサイクル発電方式を採用することで、発電効率を60%以上まで高めることが可能です。

さらに、天然ガス火力発電は、石炭火力発電と比べて設備の起動停止が容易で、出力調整も柔軟に行えるという利点があります。このため、太陽光発電や風力発電など、出力が不安定な再生可能エネルギーの導入拡大に伴うバックアップ電源としても重要な役割を果たしています。

2.3 日本の火力発電の現状と課題

日本の電源構成において、火力発電は約75%を占めており、そのうち石炭火力発電は約30%を占めています。これは、原子力発電所の停止に伴い、安定的な電力供給を確保するため、火力発電への依存度が高まったことが背景にあります。

しかし、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、火力発電のCO2排出量削減は避けて通れない課題となっています。現在、日本では以下のような取り組みが進められています:

既存の火力発電所の効率改善

CO2回収・貯留技術(CCS)の開発

アンモニアや水素などのCO2を排出しない燃料への転換

これらの取り組みに加えて、再生可能エネルギーの導入拡大や原子力発電の再稼働など、多角的なアプローチでCO2排出量の削減が進められています。企業にとっても、このような発電部門の脱炭素化の動きは、事業戦略の重要な要素となっています。

3. 低炭素発電の現状

3.1 原子力発電とCO2排出

原子力発電は、発電時にCO2を排出しない発電方式の一つです。原子力発電所ではウラン燃料の核分裂反応により発生する熱エネルギーを利用して発電を行うため、化石燃料を燃焼させる必要がありません。

ライフサイクル全体でのCO2排出量を比較しても、原子力発電は太陽光発電や風力発電と同程度の低さを示しています。具体的には、発電所の建設から運転、廃炉までの全工程で、1kWh当たり約0.019kg-CO2程度となっています。このため、原子力発電は温室効果ガス削減に大きく貢献できる発電方式として注目されています。

3.2 再生可能エネルギーの種類と特徴

再生可能エネルギーの発電は、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電など多岐にわたります。これらの発電方式は、発電時にCO2を排出しないという大きな特徴があります。

特に太陽光発電と風力発電は、技術革新によるコスト低下が進み、世界的に導入が加速しています。日本でも再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の導入以降、急速に普及が進んでいます。しかし、天候に左右される出力の不安定性や、大規模な設置面積が必要となる点などが課題となっています。

3.3 水力発電の環境性能

水力発電は、最も歴史のある再生可能エネルギーの一つです。河川や貯水池の水の位置エネルギーを利用して発電を行うため、CO2排出量は極めて少なく、環境負荷の小さい発電方式となっています。

日本の水力発電は、発電電力量の約8%を占めており、安定的な電力供給に貢献しています。さらに、揚水発電所は電力需給調整の重要な役割を果たしており、再生可能エネルギーの導入拡大を支える重要なインフラとなっています。

4. CO2排出削減への取り組み

4.1 火力発電所の効率化技術

火力発電所のCO2排出量削減に向けて、様々な効率化技術の開発と導入が進められています。最新の超々臨界圧発電(USC)技術では、蒸気の温度と圧力を極限まで高めることで、発電効率を従来の40%程度から45%以上にまで向上させることが可能となっています。

また、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電では、発電効率60%以上を実現し、CO2排出量の大幅な削減に成功しています。これらの技術革新により、火力発電のCO2排出量は着実に減少しています。

4.2 CO2回収・貯留技術(CCS)

CO2回収・貯留技術(CCS)は、火力発電所から排出されるCO2を回収し、地中深くに貯留する技術です。この技術により、火力発電所からのCO2排出量を最大90%削減することが可能となります。

日本では、北海道苫小牧市でCCSの実証試験が行われ、年間約10万トンのCO2を地中に貯留することに成功しています。しかし、現状ではコストが高く、適地の確保も課題となっているため、実用化に向けてさらなる技術開発と実証試験が進められています。

4.3 発電所の燃料転換

CO2排出量削減のため、石炭火力発電所の燃料を、よりCO2排出量の少ない天然ガスやアンモニア、水素などに転換する取り組みが進められています。特にアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しないため、次世代の発電燃料として注目されています。

日本では、2030年までに石炭火力発電でのアンモニア混焼率を20%まで高める目標を掲げており、既存の石炭火力発電所での実証試験が開始されています。また、水素発電についても、技術開発と実証試験が進められており、将来的な実用化が期待されています。

5. カーボンニュートラルに向けた展望

5.1 2050年カーボンニュートラル目標

日本政府は2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を宣言しました。この目標達成に向けて、発電部門では再生可能エネルギーの主力電源化や、火力発電の脱炭素化、原子力発電の活用などが計画されています。

5.2 再生可能エネルギーの拡大計画

2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの比率を36-38%まで高める目標が設定されています。この目標達成に向けて、洋上風力発電の導入促進や、送電網の整備、蓄電システムの開発など、様々な施策が進められています。

5.3 水素・アンモニア発電の可能性

水素とアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しない燃料として注目されています。特に、既存の火力発電所での混焼が可能なアンモニアは、早期の実用化が期待されています。日本では、2030年までにアンモニアの年間需要量を300万トン程度まで拡大し、さらに2050年には3,000万トン程度まで拡大する目標を掲げています。

6. 企業に求められる対応

6.1 電力調達の最適化

企業が取り組むべき重要な課題の一つが、電力調達の最適化です。特に石炭火力発電への依存度を下げ、CO2排出量の少ない電源からの調達を増やすことが求められています。具体的な方策として、以下のような取り組みが挙げられます:

CO2排出量削減に向けた電力調達の具体的な施策として、非化石証書の活用や再生可能エネルギー由来の電力購入契約(PPA)の締結が注目されています。また、RE100への参加企業が増加しており、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す企業が増えています。

6.2 自家発電設備の検討

多くの企業が自家発電設備の導入を検討しています。特に太陽光発電システムは、初期投資コストの低下により導入しやすくなっています。自家発電設備を導入することで、電力コストの削減だけでなく、CO2排出量の削減にも貢献できます。

自家発電設備の選択肢としては、以下のようなものがあります: – 太陽光発電システム – コージェネレーションシステム – 燃料電池システム これらの設備は、災害時のバックアップ電源としても機能し、事業継続性の向上にも寄与します。

6.3 環境負荷低減への投資判断

企業の環境負荷低減に向けた投資は、もはや選択肢ではなく必須となっています。特に、石炭火力発電からの電力調達を減らし、再生可能エネルギーへの転換を図ることは、企業価値の向上につながります。

投資判断においては、初期コストだけでなく、カーボンプライシングの導入や環境規制の強化など、将来的なリスクも考慮する必要があります。また、ESG投資の観点からも、環境負荷低減への取り組みは重要な評価項目となっています。

7. 今後の技術革新と展望

7.1 次世代発電技術の開発状況

発電分野における技術革新は日々進展しています。特に注目されているのが、CO2を排出しない次世代の発電技術です。例えば、水素発電技術の開発が急速に進んでおり、既存の火力発電所での混焼から専焼への移行が検討されています。

また、小型モジュール原子炉(SMR)や核融合発電など、新たな発電技術の研究開発も進められています。これらの技術は、安全性と効率性を両立させながら、CO2排出量の削減に貢献することが期待されています。

7.2 国際的な規制動向

世界各国で環境規制が強化される中、特に発電部門に対する規制は厳格化の傾向にあります。EUでは、タクソノミー規制により、持続可能な経済活動の分類が明確化され、石炭火力発電への投資は実質的に制限されています。

日本においても、2030年度までにCO2排出量を2013年度比で46%削減する目標が掲げられており、発電部門での取り組みが加速しています。特に、石炭火力発電の段階的な削減や、非効率な石炭火力発電所の廃止が計画されています。

7.3 企業価値向上への影響

発電時のCO2排出量削減への取り組みは、企業価値に大きな影響を与えています。特に、以下の観点から企業評価に影響を及ぼしています: – ESG投資における評価 – CDP(Carbon Disclosure Project)などの環境評価 – サプライチェーン全体でのCO2排出量削減要請への対応

今後は、RE100やSBT(Science Based Targets)などの国際的なイニシアチブへの参加も、企業価値を左右する重要な要素となっていくでしょう。特に、石炭火力発電からの電力調達比率の高い企業は、経営リスクとして認識されるようになっています。

将来的には、カーボンプライシングの導入により、CO2排出量の多い電源からの調達コストが上昇することも予想されます。そのため、企業は長期的な視点で、電力調達戦略を見直し、再生可能エネルギーへの転換を進めることが重要となっています。

最終的に、発電時のCO2排出量削減は、環境負荷の低減だけでなく、企業の競争力強化にもつながる重要な経営課題となっています。特に、国際競争力の維持・向上を目指す企業にとって、この課題への対応は避けて通れない道となっているのです。

よくある質問と回答

発電と二酸化炭素に関する基本的な疑問

Q: 電気を使うと二酸化炭素は出ますか?
A: 電気自体を使用する際にはCO2は発生しませんが、その電気を作る過程(特に火力発電)でCO2が排出されます。日本の場合、電力の約75%を火力発電が占めているため、電気の使用は間接的にCO2排出につながっています。

Q: 火力発電はなぜCO2を排出するのでしょうか?
A: 火力発電では、石炭や天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて電気を作ります。この燃焼過程で、燃料に含まれる炭素が空気中の酸素と結合してCO2が生成されます。特に石炭は炭素含有量が多いため、より多くのCO2を排出します。

発電方式による違い

Q: 原子力発電はCO2を排出しますか?
A: 原子力発電は発電時にCO2を排出しません。ウラン燃料の核分裂反応を利用して発電するため、化石燃料の燃焼を必要としないからです。ただし、発電所の建設や燃料の採掘、輸送などの過程では少量のCO2が排出されます。

Q: CO2排出量が多い発電方法は何ですか?
A: 最もCO2排出量が多いのは石炭火力発電で、1kWh当たり約0.9kg-CO2を排出します。次いで石油火力発電(約0.7kg-CO2/kWh)、天然ガス火力発電(約0.45kg-CO2/kWh)の順となっています。

対策と今後の展望

Q: 火力発電で二酸化炭素を出さない方法はありますか?
A: 完全にCO2を出さないことは難しいですが、以下の方法で削減が可能です: – CO2回収・貯留技術(CCS)の活用 – アンモニアや水素との混焼 – 高効率発電技術の導入 特に、CCS技術では最大90%のCO2削減が可能とされています。

Q: 二酸化炭素を出さない発電方法にはどんなものがありますか?
A: 主な方法として以下があります: – 太陽光発電 – 風力発電 – 水力発電 – 原子力発電 – 地熱発電 これらは発電時にCO2を排出しない特徴があります。

企業の発電由来の二酸化炭素排出量はどのように計算されますか?

A: 企業の発電由来の二酸化炭素排出量は、使用された電力量に電力の CO2 排出係数をかけて計算されます。電力会社ごとに石炭火力などの発電方法の割合が異なるため、同じ電力量でも排出量が変わります。自社で発電設備を持つ場合は、使用した燃料の種類と量から直接計算します。電力中央研究所の報告によると、日本企業の電力由来のCO2排出量は全体の約4割を占めており、正確な把握が脱炭素経営の第一歩となります。

日本と世界の石炭火力発電所の排出量はどう違いますか?

A: 日本の石炭火力発電所は世界最高水準の効率を誇り、同じ発電量でも世界平均と比較して約20%少ない二酸化炭素排出量となっています。これは超々臨界圧(USC)などの高効率技術を積極的に導入してきた結果です。しかし、石炭火力は依然として最も排出係数が高い発電方式であり、日本全体の電力由来のCO2排出量の約40%を占めています。世界的には石炭火力からの脱却が進む中、日本も2030年までに石炭火力への依存度を下げる方針を示しています。

カーボンニュートラル実現に向けた火力発電の将来像は?

A: 2050年カーボンニュートラル実現に向けた火力発電の将来像として、「ゼロエミッション火力」の開発が進められています。これは従来の化石燃料を使用しながらも、CO2排出量をゼロまたは限りなくゼロに近づける技術です。具体的には、アンモニアや水素などのカーボンフリー燃料との混焼・専焼技術や、排出されるCO2を100%回収するCCS/CCUS技術の実用化が鍵となります。電力中央研究所の試算によれば、これらの技術を全面的に導入することで、火力発電からの排出量を9割以上削減できる可能性があります。

産業用自家発電のCO2削減対策にはどのようなものがありますか?

A: 産業用自家発電設備からの二酸化炭素排出量削減には、以下の対策が効果的です:
1. コージェネレーションシステムの導入:発電と同時に排熱も有効利用することで、総合エネルギー効率を80%以上に高められます
2. 低炭素・脱炭素燃料への転換:石炭火力から天然ガスへの転換で約40%のCO2削減が可能です
3. バイオマス混焼:木質ペレットなどのバイオマス燃料を混焼することで、化石燃料使用量を削減できます
4. 最新の高効率発電技術の導入:古い設備を最新技術で更新することで10-15%の効率向上が見込めます
5. CO2回収技術の導入:小規模でも導入可能なCO2回収技術を使用し、回収したCO2を原料として活用する取り組みも始まっています

電力の二酸化炭素排出係数とは何ですか?

A: 電力の二酸化炭素排出係数とは、1kWhの電力を発電する際に排出されるCO2の量を示す指標です。単位はkg-CO2/kWhで表され、この数値が小さいほど環境負荷が低いことを意味します。日本の全国平均は約0.45kg-CO2/kWhですが、電力会社によって大きく異なります。これは石炭火力などの高排出源の使用割合が会社ごとに違うためです。企業が自社の排出量を算定する際や、RE100などの国際イニシアチブに参加する際には、この排出係数が重要な指標となります。電力中央研究所の分析によれば、この係数の低減が日本全体の排出量削減に最も効果的な対策の一つとされています。

新しい発電技術による二酸化炭素削減の可能性は?

A: 次世代の発電技術では、二酸化炭素排出量のゼロ化を目指した革新的なアプローチが開発されています。例えば、従来の石炭火力に代わる技術として、石炭をガス化して発電効率を高めるIGCC(石炭ガス化複合発電)は、従来型と比較して約20%のCO2削減効果があります。また、アンモニア燃料の使用された発電技術は燃焼時にCO2を排出せず、既存の火力発電設備の改修で導入可能なことから注目されています。水素発電も燃焼時のCO2排出がゼロであり、将来の主力電源として期待されています。電力中央研究所の研究によれば、これらの技術を組み合わせることで、2050年までに電力部門からの排出をほぼゼロにできる可能性があります。