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金融DXとは?メリットや課題・事例をご紹介

金融業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、従来の金融サービスを革新し、顧客体験を向上させるための重要な取り組みとなっています。

金融機関は、デジタル技術を活用して業務プロセスの効率化や顧客志向のサービス提供を目指しています。ここでは、金融DXの意義とその推進に向けた動向について解説します。

金融DXとは

金融DX(デジタルトランスフォーメーション)は、金融分野のサービスや業務プロセスのデジタル化及び業務改革を実施するという概念を表しています。情報通信白書によれば、金融業と保険業においては約32.2%の企業が2018年以前からDXに取組んでおり、これはサービス業の16.1%と比較しても際立っていると言えます。さらに言えば、金融業界はDXの進行によって素早く進化しているとも主張できます。

それでも、金融業界と保険業界の約35.7%の企業がDXの導入に未だ踏み出しておらず、さらに将来の導入も計画せずにいる現状です。ITの一般化と市場の急速なデジタル化を背景に、金融業界ではDXを利用した顧客サービスの改善、業務効率化、そして事業課題への対応がますます要されています。

先進技術を用いて業務フローを革新し、顧客対応の迅速化や手続きの簡素化を遂げることで、コスト削減という形での成果が見込めます。また、金融DXの推進により、ビッグデータの分析やAIによる予測などを通じて新規ビジネスチャンスを創出することも可能になるはずです。

金融DXは業務改善だけでなく、金融業界全体のビジネスモデルを変革するための要素となり得ます。デジタル化のさらなる進行により、金融業界の未来は大きく変化することが予想されます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、社会全般が情報技術(IT)を活用して業務プロセスをデジタル化し、ビジネスの核心を変革する試みの一つです。AIやIoTの急速な発達に伴い、従来は手作業や物理的手続きで行っていた作業をデジタル化し、結果的に効率性を上げ、新たな価値を生み出し、業績を押し上げる可能性があります。

具体的な例としては、オフィスでの仕事を電子化したり、遠隔から仕事をするようにするなどの方法があります。また、製品をデジタル化したり、顧客サービスをオンライン化したりすることも可能です。さらに、企業は自社のデータをAIで解析し、新たなビジネスチャンスを捉えることもできます。

DX導入には大きな投資と組織改革が必要ですが、それに伴うリスクも無視できません。ですが、デジタル化の流れは止まらないため、企業にとってDXは「やるかやらないか」の問題ではなく、「いつ、どう進めるか」が問いかけられています。したがって、企業の競争力向上のためにもDXの意義と必要性を理解し、適切な戦略と実行計画を策定することが求められています。

金融DXが重視されている理由とは

金融サービスにおいてDXが重視されるようになった背景について解説します。

マーケティングにおける必要性が高まった

金融業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性は語られるものの、適切な活用には時間が必要であると多くの業界関係者が認識しています。

金融DXは、AIやビッグデータを駆使して金融サービスの提供を効率化するための取り組みであり、その有用性は、マーケティング戦略において特に顕著となっています。BCGの調査結果から見ても、86%の回答者がデジタル技術への投資が競争力を獲得するための適切な戦略だと認識している一方で、43%は自身が所属する組織におけるデジタル活用力の不足を実感しています。

金融DXの進展により、消費者へのきめ細やかなメッセージ配信や、ビッグデータに基づく高度な顧客セグメンテーションが可能となり、戦略的なマーケティング手法を展開することが可能となります。しかし、80%以上の回答者が利用者とのコミュニケーション障壁を懸念しており、高度な技術インフラがこの課題を高めている可能性が指摘されています。

さらに、金融DXは、日常的な業務を自動化することにより、人間が個々の戦略へと焦点を絞り込める環境を促進しています。この結果、金融業界が直面する多種多様な問題に対する新しい解決策を提供し、競争力を維持するための重大な手段としての金融DXの重要性が増加しています。

顧客満足度の高いサービス提供が必要

近年、デジタルの進歩は金融業界にも変革をもたらしています。これにより顧客は利便性が高く、安全性も保証された高品質なサービスを利用できるようになりました。なおかつ、新たな魅力的なサービスが提供されれば、それに移行する消費者も出てくるでしょう。

Everfi社の調査によると、金融サービス利用者の半数以上が自身の主な金融機関を変更しており、そのうち9%がさらなる変更を検討しています。

このような状況下、銀行は顧客関係の維持、さらには強化のために、従来通りのサービスを提供するだけではなく、新たなニーズに対応したサービスを提供することが求められています。顧客の求めるサービスを適切に提供するためには、モバイルアプリの導入や、データ解析を活用した新サービスの構築など、デジタル化(金融DX)の推進が不可欠と言えるでしょう。

つまり、金融機関にとっては、テクノロジーへの投資とその活用がビジネスの成長と顧客満足度の向上に直結します。この流れに適応し、高品質なデジタルサービスを提供することが、今後ますます重要となっていくでしょう。

外部参入者との競争激化

ではの顧客データや情報を最大限に活用することが求められます。これらの課題へ対する解決策として金融DXが重要視されるようになったのです。

古くからの大手銀行や証券会社、保険会社が主役となっていた金融業界も、IT企業やベンチャー企業など新規参入者の影響を受けて、ますます競争が激化しています。これらの新参者たちは、スマートフォンを通じた便利なサービスやAIを活用したロボアドバイザーなどを提供することで、金融サービスの新たな価値を作り出しており、話題を集めているのです。

このような状況に対抗するため、既存の金融機関もデジタルトランスフォーメーションに挑戦し、新参者と同様のサービスを提供するよう求められています。そして、そうしたデジタル化へ資源を投入することで、金融DXの推進が必須となっており、その重要性は今後もますます高まるでしょう。

セキュリティー対策

金融業界では、金融DXの推進が重点課題となっています。その理由の一つとして「セキュリティー対策」が挙げられます。これは、デジタル化が進む金融サービス業界でのサイバーセキュリティのリスク増大に対応する必要があるからです。金融機関は個人情報や重要な取引データを取り扱っており、そこにおける情報漏洩や不正アクセスは、莫大な損失を引き起こします。なので、セキュリティリスクをきちんと管理し、顧客からの信頼を損なわないよう進めることが極めて重要となっています。

最新のAI技術やブロックチェーンなどを駆使し、セキュリティーシステムを強化し、不正アクセスや情報漏洩を事前に防ぐことが求められています。さらに、オンライン取引の増加にともない、多様なデバイスからの対応とリアルタイムでのセキュリティー監視、及び迅速な対応も必須となっています。

ゆえに、金融DXは単なる業務の効率化や利便性の向上だけでなく、高度な安全性の確保という面でも重要視されています。実際に、デジタル化がもたらす金融業界の変革は、新たな価値の創出と顧客体験の向上、そしてビジネスの競争力強化につながるとされています。金融DXの実現は、今後の金融機関の発展とともに成長のカギを握る戦略と言えるでしょう。

金融業界における現状と課題とは

金融業界の現状や課題について見ていきましょう。

レガシーシステム

1980年代、金融機関においては様々な業務を効率化するための大規模なシステムが新たに開発・導入されました。しかしながら、これらのシステムは時間とともに大規模化し、複雑化を遂げていきました。その結果、現在ではレガシーシステムとなり、その保守や改修に膨大なコストが掛かるという課題が深刻化しています。

さらに、これらの古いシステムを適切にメンテナンス・更新することは技術的にも困難であり、新規の機能追加やサービス改善が煩雑となり、ビジネスへの影響も大きくなっています。このため、システム全体のパフォーマンス低下や、新興分野への対応遅れなどの問題を引き起こし、業務効率性の低下や競争力の喪失へと繋がっているのです。

金融業界は顧客からの信頼性や堅固なセキュリティを担保する極めて重要な分野であり、これらのシステムは個人情報保護の要及びセキュリティ維持の重要な基盤となっています。もちろん、システムの改修や変更も重要ですが、それに伴うリスクが高いため、慎重に進める必要があります。

旧来のレガシーシステムの課題を解決し、業戦力を維持するためには、新たなシステムへの移行やシステム設計の最適化が不可欠と言えます。金融業界全体の発展のためにも、この問題を真摯に受け止める姿勢が求められています。

融資先の減少

融資先の減少は、現在の金融業界が直面する難題の一部となっています。企業総数が次第に少なくなり、それに伴い資金需要も減退し続けている現象が影響しています。

特に、地方の金融機関は、これまでの管轄エリアだけでは案件確保が難しくなり、縄張りを広げた結果、今まで競っていなかった別の金融機関との競争が始まっています。その結果、低金利の争いが一層激化し、金融業界では融資により利益を産出することが以前より困難になってきています。

さらに、新型コロナウィルスの影響も大きいと言えます。企業運営が苦境に立たされ、返済能力が低い融資先が増えたことが、金融業界にも肉迫する打撃となり、金融機関はリスクを回避するため信頼性の高い融資先を重視する傾向にあるのが現状でしょう。

これらの事象を鑑み、金融業界では新たな融資先を見つ出すための取り組みと、とりわけ現存する融資先の支援活動への参加が強く要請されています。金融業界が社会的役割として、企業の経済活動を背後から支えていくことが期待されており、新たなビジネスモデルへの理解を深めつつ、中小企業の更なる成長支援に努めていく事が求められています。

参入企業の増加

日本の金融産業は、地域金融機関の減少とデジタルバンキングの台頭という二つの大きな潮流に直面しています。AIやブロックチェーン、IoTなどの最新技術を用いて参入する新興企業の増加は、市場を激しく競争させており、一部ではレッドオーシャン状態とも表現されます。

新参者として挙げられるのは、PayPayや楽天証券、auじぶん銀行のように、もともと金融サービスを展開していなかったIT企業です。彼らはデジタル化の力を最大限に利用し、市場に革新をもたらしています。結果的にこれは、ユーザーへの便益提供や新サービスの展開という形でプラスの影響を与える可能性を秘めています。

しかしながら、これらの激動は金融業界にとって大きな挑戦を生み出しています。現行のビジネスモデルを見直す必要が迫られる一方、市場の既存プレーヤーの統制力が揺らいでいます。そのためには、約束された経済利益を得るためには、競争優位性を確保し、サービスの体験価値を高めるなどの対応が必要となっています。

これらの新たな動きに適応するためには従来型のビジネスモデルを越えた発想と臨機応変な対策が求められます。金融業界におけるこれからの経済状況と課題は、こうした新しい変化にどう対抗するかが果たす役割によって大いに決定されるでしょう。

暗号通貨の台頭

金融業界は常に進化し続け、特に近年は暗号通貨(仮想通貨)の影響が顕著です。ビットコインやイーサリアムのような暗号通貨は、銀行を経由せずに取引が可能なため、透明性が高く、個々の金銭取引を自由に行える一方、その秘匿性から資金洗浄や犯罪利用のリスクも新たに生じています。

多くの金融機関がこれらの変化に対応しようと、暗号通貨の取り扱いを開始していますが、これには専門的な知識、技術、人材が必要であり、その準備がなされていないことが問題となっています。

また、金融機関は暗号通貨を適切に管理し、規制を遵守しつつ、将来性を保護するためには、規制環境の整備と専門的な人材育成に全力を傾注しなければならないという課題に直面しています。

これらの解決策がどう展開されるかは次世代の金融業界を形成する大きな要素となるでしょう。一部の銀行はすでにブロックチェーン技術の検討を進めるなど新時代を見据えた行動を開始しています。

人口構造の変化

日本の金融業界が取り組むべき重要な問題の一つは、高齢化が進む中での人口構造の変革です。

具体的には、超高齢化社会に突入した日本の人口デモグラフィックスは、金融サービスへの需要に大きな動きをもたらしています。

年金生活者の増える中で、若年層の貯蓄意識の低下が見られるといった現象から、一部の金融商品の供給と需要のバランスが崩れている状況があります。

さらには、大規模な小売り業から中小零細企業へのシフトや、地域間の経済格差の拡大といった産業構造の変化も大きな問題となっており、これらに対応する新たな金融サービスが必要となっています。

このような課題が重なる中、金融業界が利益を維持するためには、将来的な主要顧客となる現在資産を形成中の30代~40代の層へのアプローチが不可欠です。

しかし、若い世代の投資傾向の多様化や、デジタル化とともに情報取得が容易となったことから、従来の営業手法だけではその価値を十分に提供するのが難しくなっています。

そうした中で、既存の金融機関は地方のニーズにも対応したサービスを店舗網において提供することが難しくなっており、フィンテック等の新たな方法によるアプローチが求められている状況です。

これらの問題に立ち向かうため、金融機関は新たな事業モデルの開発や、それに伴った金融サービスの提供に積極的に取り組む必要があります。

金融業界が実施するべきDXとは

金融業界には数多くの課題が存在し、これらに対処するためにデジタル技術の活用が不可欠です。

そのため、DXの推進やその前段階であるデジタイゼーション・デジタライゼーションの推進が急務となっています。

クラウド導入による業務刷新とコスト削減

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の導入は、業界を問わず求められていますが、特に金融業界ではその重要性が高まっています。

これは、多様で厳密なセキュリティ要件、規制が厳しい監督、そして大量の金融情報を適切に管理する必要性から、DXへの対応が急がれているためです。このような挑戦を乗り越える一つの解決策として、「クラウド」の活用が挙げられます。

従来のインフラからクラウドへの移行により、監視・管理が一元化されセキュリティの強度も柔軟に調節できるようになります。

さらに、高度な対応力が求められる金融業界において、即座にリソースを調整できるクラウド型のシステムは、業務効率の大幅な向上につながります。

そして、コストパフォーマンス面から見てもクラウドは優れたメリットを提供します。

利用量に応じて課金する「スケーラビリティー」の導入により、初期投資の負担が軽減され、これにより中小企業や新規参入でこれまで障壁となっていた市場への参入障壁が減少します。

さらに、適材適所のリソース管理により、オペレーションコストを削減でき、経済的にも効果的です。

このように考えると、金融業界のDX推進は、業務効率・コストパフォーマンスの両面から見ても競争力強化に寄与します。

持続的な成長が求められる金融業界にとって、クラウドの導入は避けては通れない道と言えるでしょう。

各金融機関におけるAIサービスの活用など、クラウド導入の進行状況はどんどん加速していくことでしょう。

AIなどの最新技術導入・業務の効率化

金融業界も緻密かつ多岐にわたる業務効率化のために、最前線の技術導入を進めています。

特筆すべきは、AI(人工知能)の活用により、手続き業務の自動化と時間の節約を叶えることが可能となってきたことです。

加えて、AIは、精緻な顧客ニーズの把握にも一役買います。これらは、人間主導の業務にはない特異な利点であり、業界全体としての業績向上にも寄与するでしょう。

しかし、この際、ただ革新技術を導入するだけでは真のDXは達成されないことを認識することが肝要です。

これらのテクノロジーは結局のところ「手段」に過ぎず、目的は「業務の効率化」にあるべきです。

この点を常に頭に置き、テクノロジーと戦略を結びつけることで、真のDXに向けた歩みが開始されるでしょう。

具体的には、AIによる融資審査の自動化と規格化により、顧客の過去の借入状況や遅延履歴などの属性データを用いた精緻な分析が可能となります。

また、業界・企業の動向分析を人の手からAIへとシフトすることにより、そのスピードも大幅に向上します。

更に、データ活用により顧客の具体的ニーズを把握し、成約率の上昇も見込めます。

さらには、顧客向けの質問応答をAIのチャットボットによって自動化し、紙の書類をデータ化するOCR技術導入により、その管理や解析も簡便化します。

IoT活用

デジタル変革(DX)の一環として、金融業界でもIoT(Internet of Things)の利用が進められています。

IoTとは、「モノのインターネット」とも呼ばれ、さまざまなデバイスから取得した大量のデータを収集・分析し、新たな価値を創出する技術のことを指します。

金融業界では、スマートフォンの位置情報や行動履歴を活用して、ユーザーのライフスタイルに合わせた金融サービスを企画・提供する取り組みが行われています。

さらに、AIと組み合わせることで、これらのデータをリアルタイムで解析し、適切な金融商品を提案したり、リスク管理を行ったりすることが可能となっています。

IoTを介したデータを活用することで、今まで見つけることのできなかった投資基準を設定することも可能になります。

しかし、この取り組みに際しては、セキュリティの強化と個人情報保護への配慮が要求されます。

そのため、これらの課題への対応策にも注目が集まっています。

これらのことから、IoTは金融業界のDXを推進する有力なツールであり、その活用方法と対策の進化が今後の金融業界の発展に大いに寄与することでしょう。

生体認証の活用

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の一環として金融業界で導入が進んでいるキーテクノロジーが「生体認証」です。

これは顔、指紋、静脈、声紋、色彩、掌紋など、個々の特徴をデジタルデータ化し識別する技術で、特に顔認証の導入が活発化しています。

金融業界がDXの一部として生体認証を活用すべき理由は、主に二つあります。

まず一つ目は、高水準のセキュリティ確保の面です。

パスワードや暗証番号といった情報は第三者により盗まれ、悪用されるリスクがありますが、生体認証はそれぞれの個性に根ざした識別情報のため、それを奪うのは困難です。

二つ目の理由は、顧客体験の向上であり、この点で生体認証の活用は非常に有用です。

従来のATM出金やネットバンキング決済では多くの手順を踏む必要がありました。

しかし、生体認証を導入することで、必要な手続きを最小限にし、スピーディな操作を可能にします。

したがって、生体認証の導入は金融業界が提供すべきセキュリティと便利さを融合したサービスへの道筋となります。これは、実質的なDX推進といえるでしょう。

オープンAPI活用

オープンAPIとは、外部に対して公開されたプログラムのことで、これを用いることで各企業の特有のサービスや情報を他のと組み合わせて新たな価値を出産することも可能です。

金融業界では、金融商品の比較、顧客サポートの自動化、AIの活用など、これまでとは異なる新サービスが提供される可能性があります。

これにより、顧客は自身に適した金融サービスを見つけやすくなるだけでなく、金融機関も顧客満足度の向上や新規顧客の獲得につながります。さらに、長期的な視点からは運用効率の向上やコスト削減、新たなビジネスモデルの開発も期待できます。

従来のシステムにとらわれず新たな価値創造を追求すべき金融業界において、オープンAPIの活用は必須であると言えます。

以下は、具体的なオープンAPIの活用例です。

  • 他アプリのID認証情報との連携による、ユーザー認証の簡易化
  • マネーフォワードなど金融向けアプリケーションと銀行口座残高の連携

これらの連携により、一部の企業だけに限られていたサービスが他社でも可能になり、新しいサービスが生まれたり、顧客体験の向上にもつながります。

暗号資産のビジネス活用

デジタルトランスフォーメーション(DX)に突き進む日本の金融業の中で、暗号資産のビジネス参入は絶対に見過ごせないポイントとなっています。

未来志向の金融サービス計画において、暗号資産が存在するという思考は避けて通ることはできません。

暗号資産が人々の関心を惹く理由は、国境を越えてリアルタイムに取引が可能な点と、顧客の匿名性と透明性を重視する機能があるからです。

その利用により、既存のユーザー体験を損なうことなく新たな価値を提供する道も開かれています。

DXを達成するために金融機関が行うべきは、今のビジネスフレームワークの再構築から始まります。暗号資産を統合的に理解し、具体的なビジネスモデルに組み込むことが可能となります。

これには、独自の暗号資産もしくはブロックチェーン技術による新サービスの開発、既存のサービスへの暗号資産の組み込みが含まれます。

ただし、暗号資産の実際の利用は難易度が高く、規制環境の整備や信頼性の蓄積が課題となっています。

それゆえに、金融業界はDXのさらなる一部として、暗号資産に対応する仕組みを継続的に進化させ、新たな価値の創出を追求すべきです。

主要な暗号資産は需要が大きく、徐々に信用性も確立されつつあり、その市場は拡大傾向にあります。

新規事業・イノベーション創出

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、金融業界にとって新たな価値創造の一翼を担い、その産出にとって必要不可欠な存在となっています。これは業務のデジタル化にとどまらず、データ分析やAIといったデジタル技術を活用し、斬新なビジネスモデルやサービスを創造することに繋がります。

金融業界は伝統的に安定性が求められ、確立した体制に守られる傾向が強いですが、DXを起点とする革新によって、その既存のイメージを変革し、顧客に最高の体験と安全性を提供する道筋が開かれます。

24時間対応のAIチャットボットの導入や、Big Dataを用いたパーソナライズな投資の提案などは、DXが金融業界に開拓した新芽ビジネスや進歩を表しています。

それにもかかわらず、DXの推進は顧客データの保護や法規制への応えといった課題を内包します。それらを踏まえ、DXを事業戦略として位置付け、その挑戦を進化の一部と捉えることが求められます。

明日の金融業界を先導するには、DXを取り入れ、新たな事業や革新の発信源とすることが必要不可欠です。そのプロセスで、顧客が享受する利便性と安全性を常に考慮し、両方が最善の形で提供できるよう連綿とした努力が求められます。

金融DXを進める上での注意点とは

金融DX、つまり金融サービスのデジタル化は、新たな価値を生み出しビジネスの効率を向上させるための不可欠な一歩となります。しかし、その推進に当たっては注意すべきポイントがあります。

その第一のポイントは、デジタル技術の導入以外にも既存の組織、制度、文化の変革を同時に推進する必要があることです。新しい技術を最大限に活用するためには、それを支える組織全体の意識改革やリーダーシップの強化、教育が必要となります。

次に重大となるのが、ユーザー中心のサービス設計です。ユーザーのニーズを把握し、それに応えるサービスを提供することが求められます。そのためには、マーケティング技術やデータ分析の活用が欠かせません。

さらに、金融業界で取り扱う多くの個人情報を保護することも不可欠な要素となります。データの漏洩は信頼を失うだけでなく、事業そのものが成り立たなくなる恐れがあります。そのため、セキュリティ対策とプライバシーポリシーの強化は必須となります。

金融庁が公表した「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」によれば、新規事業を立ち上げる上で、これらの点をうまく実現することができなかった場合、失敗する可能性が高いとされています。

したがって、これらのポイントをしっかりと踏まえた上で金融DXを進めることが、技術イノベーションの成功へと繋がります。

まとめ

金融DXは、顧客満足度の向上や市場競争力の強化など、金融業界に多くの利益をもたらす可能性を秘めています。デジタル技術の進化と共に、金融機関はより革新的なサービスの提供や効率的な業務プロセスの構築に取り組んでいます。

これにより、顧客ニーズに合わせた柔軟なサービスを提供し、競争激化する市場での地位を確立することが期待されます。