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機械学習アルゴリズムとは?種類や活用事例について解説

今日、我々の生活は、通信からエンターテイメント、医療からビジネスといった多くの分野でAIにより変革が起こっています。これらの革新的な変化を可能にしているのが、データから自動的に学習し、予測を立てる「機械学習」の力です。しかし、機械学習アルゴリズムという言葉を聞いても具体的に何を意味するのか、また具体的な活用例はどのようなものがあるのか、理解している方はまだまだ少ないでしょう。

そこで今回は、機械学習アルゴリズムの基本と種類、そして我々の日常生活やビジネスにおける具体的な活用事例について詳しく解説していきます。

機械学習のアルゴリズムの仕組みとは

機械学習というのは、わかりやすく言えば、コンピュータが自己学習する仕組みのことです。ニューラルネットワークという人間の脳を模倣したシステムを利用し、新たなモデルに対して自動的に予測や判断を行うことができます。

この学習プロセスは、以下のように進展します。まず始めに、大量のデータを集めて学習モデル(ニューラルネットワーク)を作り出します。そして新たなデータが入力された際に、この学習モデルが予想結果を提供します。

この出力が正確であるかどうかを評価するために、損失関数という基準を用いて誤差を計算します。そしてその誤差を最小化するように段階的にパラメータを調整し、最終的には最適な学習モデルが完成します。

機械学習の手法は、その発展度と多目的性から、多くの産業分野で活用され、我々の生活を向上させています。そのアルゴリズムを改良すれば、より高度な情報処理が可能になり、これはビジネスの効率化や利益増加につながります。そのため、多くの企業や技術者が機械学習のアルゴリズムに強い関心を持っています。

機械学習が重要視される理由とは

機械学習が重視される理由についてご紹介します。

AI活用の促進

AIの研究は1950年代から始まりましたが、当時の技術ではコンピューターの性能に限界があり、進展が鈍っていました。

1980年代に新たな技術としてエキスパートシステムが登場し、AIに再び注目が集まりました。しかし、このシステムでは専門家の知識をコンピューターに注入する必要がありました。

例えば、一つの病気の診断には多数の要因があり、膨大な知識と例外に関するデータが必要でした。そのため、実用性に欠け、一時的なブームに終わりました。

しかし、2000年代に入り、機械学習のアプローチが技術的に成熟し、人間の介入が少なくて済むようになりました。コンピューターが自ら学習できるようになったことで、開発スピードが急速に向上しました。

膨大なデータ処理が可能に

機械学習という概念は、コンピュータによる学習能力や認識能力の実現を意味います。それらは大規模なデータからパターンを見つけ出し、自主的に学習することで精度を上げていく力として働きます。

現代においては、IoT(Internet of Things)やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といったツールによって無尽蔵に生成されるデータの中から有益な情報を抽出するには、人力だけでは手に負えません。しかし、機械学習を活用することで、人間が対処できない規模のデータも効率的に解析することが実現可能となっています。

仕事の生産性向上・効率化

過去のデータを学んで新しい情報に適応し、必要な判断を下す機械学習の力によって、私たちは他でエネルギーを使うべき領域にもっと集中できるようになりました。具体例を見てみましょう。生産ラインでは、既存の情報を用いた機械学習が異常を察知し、将来のトラブルを防ぐ役割を果たします。また、一方での日常の事務作業も、ルーチンワークを自動化することで、もっと創造性を求められる業務に従事するための時間を確保できるようになりました。

したがって、機械学習は業務効率を上げ、生産性を向上させるための要となっているのです。

機械学習の代表的なアルゴリズムとは

この章では、機械学習の代表的なアルゴリズムについて解説します。

線形回帰

線形回帰とは、得られたデータ間の関系を最適に示す線(あるいは平行面や空間)を探し出すためのアルゴリズムです。例えば、売上高と広告費の相関、若しくは賃料と部屋の面積の相関といった、2つのデータ間の直接的な関連性を見つけ出す際に活用されます。

線形性を前提としたモデルを構築し、それに基づいて未来を予測するので、解読が簡単で直観的に理解しやすいのが特徴です。しかし、複雑な非線形の状況も多い現実世界では、線形回帰だけではなく、非線形のアルゴリズムも組み合わせて使用することが多いです。このように組み合わせることで、より高精度な予測を実現できます。

線形回帰は応答変数の予測を最適化するためのアルゴリズムであり、これは1つ以上の独立した予測子変数を用いて、線形方程式の係数を推計します。線形回帰モデルの一般的な式は次のとおりです。

y=β0+∑ βiXi+ϵi(ここで、yは応答変数、Xは予測子、βは線形方程式の係数、ϵは誤差項)

そして、線形回帰は予測子の数に応じて複数のタイプが存在します。予測子が1つだけの場合は単回帰、予測子が複数の場合は重回帰、そして複数の応答変数に対応するモデルは多変量回帰と呼びます。

ランダムフォレスト

「ランダムフォレスト」はカリフォルニア大学バークレー校の統計学者レオ・ブレイマンによって考案され、この予測モデルは多数の決定木という要素を使って、データの推測を試みます。

ランダムフォレストの仕組みは、散りばめられた決定木がそれぞれ個別の問いに対し解答を出すことで成り立っています。その決定木の意見の集大成が、最終的な予測値となります。この性質により、過学習を防ぐ助けとなり、また、ランダムフォレストは説明変数のスケーリングが不要であり、欠損値や外れ値に対しても強い結果を生み出します。

決定木

決定木は、ある問題に対する様々な解決策を木型図で提示することにより、最適な選択肢を提示します。これは、複雑なデータ構造を明瞭で単純な形に再現できるという個性を持っており、其の名の通り、木のような図形を形成することでより高度な意思決定を可能にします。たとえば、ゴルフをするか否かを天気、気温、風量などの条件から決定する場合、決定木は各要素を査定し、それ基づいて最も適切な結論を導き出します。

k近傍法(k-NN)

現代のテクノロジーで欠かせない存在になっている機械学習において、最も基礎的なアルゴリズムとしてk近傍法(k-NN)が挙げられます。遅延学習という特性をもとに、指定した数「k」だけの近い訓練データを中心に、分類や回帰の問題解決に応用します。

すでに答えの明瞭なデータを教師データとし、これをベクトル空間に配置します。新たな未知のデータが登場した場合、教師データとその距離を測定し、最も近いk個のデータを参照します。分類問題ではこれらk個のデータから多数決を行い結論を出し、回帰問題ではk個のデータの平均を取って答えを導きます。

ニュートラルネットワーク

ニューラルネットワークは、ヒトの脳神経系のニューロンを数理モデル化したアルゴリズムです。このモデルには、教師あり学習と教師データなしの学習の2つがあり、パラメータを調整する際には誤差逆伝播法が利用されます。また、ニューラルネットワークには様々な種類がありますが、その中で広く利用されているのがディープニューラルネットワーク(DNN)です。

近年では、多層に重ねたニューラルネットワークである深層学習モデルが注目を集めています。特に、画像認識や自然言語処理において高い性能を発揮する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、FacebookやGoogleなどの企業でも広く運用されています。これらの技術は、大規模なデータ処理や複雑な問題に対応し、高度なタスクを達成するために活用されています。

ニアレストネイバー法

このアルゴリズムは、あるデータ点が特定の空間内で近くに存在する他のデータ点と似た性質を持つという、直感的な発想に基づいています。

たとえば、画像編集を例に取ると、ニアレストネイバー法は注目画素周辺の画素を参照し、画像保管を行います。具体的には、もっとも近い色のピクセルを使用します。この方法は画像の輪郭が乱れる可能性がありますが、線画画像の拡大や縮小等の画像処理においては、非常に効果的な手法とされています。

サポートベクターマシン(SVM)

サポートベクターマシンは、1995年生まれの優れた教師あり学習モデルで、データを分類する為の境界線を明確に設定する能力に長けています。

サポートベクターマシンの特徴は、データ間のマージン(間隔)を最大限にするような境界線を設定することです。その結果、境界線内にデータポイントが存在しないようになるため、モデルが汎用性を持ち、未知のデータに対する予測の精度が向上します。

この技術は、2次元データであれば線、3次元データであれば面、さらにそれ以上の高次元データであれば超平面となるように、あらゆる種類の境界を示すことができます。そのため、線形の分類だけでなく、多次元データや非線形の問題においても威力を発揮します。

ナイーブベイズ(単純ベイズ分類器)

ナイーブベイズは、あるデータが特定のカテゴリに属する確率を算出する統計学ベースのアルゴリズムです。ベイズの定理を基に設計されていて、各特性が互いに独立だと仮定して確率を計算します。その特徴は、大規模なデータに対する高速な計算と頑健なパフォーマンスにあります。また、ノイズや無関係な特性から影響を受けにくいというメリットも持ちます。

このアルゴリズムは、スパムメールの識別や文章の感情分析など様々な用途で利用されており、大量のデータの中から最適な結果を迅速に導き出す事が出来ます。しかし、特性同士の独立性が強く仮定されているため、実際の状況と前提が異なる場合には精度が低下する可能性もある点には注意が必要です。

正則化(Regularization)

正則化法は、学習モデルが過度に複雑になることを防止し、一般性を保つことを目的とします。モデルが訓練データに過剰に適応することを避けるため、複雑さに応じたペナルティを加えます。ただし、過度な正則化はモデルパフォーマンスを阻害する可能性もありますので、そのバランス調整は慎重に行う必要があります。

正則化法には主に、L1正則化とL2正則化の2つの方法があります。L1正則化は特徴量の一部をゼロにすることで、冗長なデータを自動的に削減します。一方、L2正則化はデータの規模に応じて全体の値を調整し、モデル全体を滑らかにし、過学習を防止します。

ロジスティック回帰

ロジスティック回帰分析は、複数の要因が関連する場合に特定の事象が発生する確率を予測するためのモデルです。この手法は多変量解析の一つであり、因子から結果を予測する際に有用です。逆に、結果から要因を推定する場合にも役立ちます。たとえば、生活習慣のデータから疾病発症率の関連性を探り、潜在的な病気を予測するシステムに応用されることがあります。

しかし、ロジスティック回帰は特定の現象の有無を予測するのに有効であり、目的変数の値を予測する重回帰分析とは異なります。つまり、ロジスティック回帰は確率や分類の問題に対処する際に適していますが、連続的な数値の予測には向いていません。そのため、使用する際には適切な問題設定が必要となります。

マルコフ連鎖

マルコフ連鎖は機械学習の中で一役を担う重要なアルゴリズムであり、時間系列のデータ分析や予測に対する鍵となるツールとして位置づけられています。現在の状態が直前の状態だけに連動するという性質を利用した状態遷移の確率モデルを生成します。

マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)という手法では、マルコフ連鎖が強く活かされています。特に多重積分の計算を行う際にはよく使用されています。標準的な一様分布や正規分布から離れた確率分布からも乱数を生成することができ、従来のモンテカルロ法によるランダムなサンプリングでは難点となる計算コストの高さや精度の低さを、マルコフ連鎖の導入により回避することが可能です。

機械学習の手法とは

機械学習の手法は以下のものが挙げられます。

教師あり学習

機械学習はAIの一部門で、自己学習機能を持つコンピュータの開発を目指します。その中の一つの主要な方法論が「教師あり学習」です。

教師あり学習では、入力と出力の組み合わせから予測モデルを作成します。これは、ラベル(期待される出力)のあるトレーニングデータから学習します。例えば、過去の販売データを元にした場合、それを使用して適切な価格や在庫を管理するための予測を行うことが可能となります。

アルゴリズムは、これらのトレーニングデータを分析し、入力と出力の関係性を学習します。これにより、新たなデータを適用した場合でもその関係性を汎化し、出力の予測が可能になります。

教師なし学習

教師なし学習は、機械にラベルのないデータのみを提供して行われます。この学習の目的は、主にデータの内部構造を探索し、クラスタリングや低次元の多様体など、データの固有なパターンを抽出することです。教師なし学習は、データ自体が持つ特徴や相関関係を理解し、パターンを発見することを目指します。例えば、顧客の購買履歴から市場セグメンテーションを行ったり、文書のトピック分類や異常検知を行ったりする際に教師なし学習が活用されます。データから構造を抽出し、新たな洞察を得ることがこの手法の主な利点です。

半教師あり学習

「半教師あり学習」は、人工知能としての機械学習の枠組みの一部であり、その進化の最前線に位置しています。従来の「教師あり学習」が人間から付与された正解ラベルを手がかりに学習を展開するのに対し、「半教師あり学習」は別のアプローチを採ります。データ全体に対して全てラベル付けを行うのではなく、一部のデータだけにラベル付けを行い、その結果を参考にして未ラベルのデータを予測し学習します。

この進化した方手法により、ラベルなしのデータも活用可能となることで、データの準備にかかる手間とコストを大幅に削減することができます。さらに、学習にかかる時間を短縮しつつ、高い精度を持つモデルを構築することも可能となります。

強化学習

機械学習の戦略の一つとして、「強化学習」が挙げられます。この強化学習は、システムが環境とのやり取りを通じて学習を進め、最終的には目標達成に繋がる最適な意思決定を見つけ出す特性を持つ。

「エージェント」と「報酬」は強化学習の中心的な要素であり、エージェントは学習者を指し、選択可能な行動の中から一つを選択し、その結果に基づいた報酬を受け取ります。報酬が大きければ大きいほど、その行動が選ばれる可能性は高くなり滞在し、逆に報酬が少なければその行動は避けられます。

この仕組みにより、エージェントは試行錯誤を繰り返しながら、最大の報酬を得るための最適な行動、つまりベストストラテジーを獲得していきます。これは、我々がゲームをプレイして思考法や操作技術を学び、スキルを上げる過程と非常に似ています。

深層強化学習

深層強化学習の、代表的な手法として“Deep-Q-Network(DQN)”が知られています。DQNは、従来のQ学習が状態数 s × 行動数 a のテーブルを更新することによってQ関数を更新していましたが、それが積み重なる度に非効率な問題を抱えていました。それを解決するために開発されたのが、行動価値関数(Q関数)を畳み込みニューラルネットワークに置き換え、その上で学習を収束させるための調整を行うDQNなのです。

機械学習を導入している事例とは

機械学習導入している事例についてご紹介します。

予測精度の向上

機械学習がビジネスや医療などの各フィールドで増々活用され、予測精度を大幅に向上させています。小売業界では、売上のトレンドや季節性、休日やイベントの影響など、多角的なデータを学習して需給予測を行うことで、適切な在庫管理を推進しています。これは「決定木」と呼ばれるアルゴリズムを設定することにより行うことができ、なおかつ分岐点を増やすことでより精度の高い予測が得られるようになりました。

また、医療分野でもその進歩は見逃せません。AIが画像診断を手がけることで、早期の正確な診断が可能となり、医療サービスも一層発展を遂げています。これはあくまで一例であり、様々なデータを詳細に学習することで具体的な解を得られるため、機械学習の可能性は非常に広いものがあります。

画像認識処理

機械学習を活用した画像認識というのは、目の前の物体を探知する人間と同じ原理に基づいて、無数の画素から重要な情報を抽出するコンピュータの技術を指します。

特に評価されているのが、機械自体が学習する能力です。これまでのプログラミング手法では、個々のオブジェクトを理解するためには開発者が具体的なルールを設定する必要がありました。しかし、機械学習を応用すれば、機械が膨大な画像データを処理し、自分で学習して物体を認識する能力を手にすることが可能になります。

この技術の一例として、顔認識があります。スマートフォンのロックを解除するためや、ソーシャルメディアで顔を自動的にタグ付けするのに利用されています。また、自動運転車では、他の車両や歩行者を正確に見分けるためにも画像認識が使われています。これらはすべて機械学習に依拠しており、初めて目にする画像でも、その内容を適確に理解することが可能になります。

音声認識

音声認識技術の高度化により、Appleの「Siri」やAmazonの「Alexa」などのAIアシスタントが私たちの生活に幅広く浸透し、多様な便益をもたらしています。これらの技術は、深層学習という機械学習の手法を用いて、人間の発言を文字に変換し、その意味を解釈し、応答を作り出しています。また、Googleの音声アシスタントは言葉のアクセントや方言まで理解することができるため、ユーザーはまるで人間と話すかのような感覚で利用することができます。

そして音声認識技術の利用は、日常生活だけでなく、医療分野でも大きな影響を与えています。例えば、医師が音声で患者の症状をAIに入力し、それに基づく適切な診断をサポートしてもらうといった具体的な活用例があります。

まとめ

機械学習アルゴリズムは、AIの中核技術であり、分類、回帰、クラスタリング等の様々な種類があります。これらは我々の生活の様々なシーンで活用されており、ビジネスの効率化や新たな価値創造に貢献しています。