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潜在ニーズとは?見つけ方や顕在ニーズとの違いについて詳しく解説

商品開発やマーケティング戦略を立てる際、消費者のニーズを正確に把握することは欠かせません。「ニーズ」と一口に言っても、その種類は幾つかあり、特に重要なのが「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」です。

これらは表面上は似ていますが、その違いを理解し、どのように見つけ出すのか?そのテクニックを掌握することが、より効果的な商品開発やマーケティング戦略を編み出すための基礎となります。この記事では、これらの概念について詳しく解説します。

潜在ニーズとは

潜在ニーズとは、消費者自身が意識していない存在する心の奥底での欲求や願望のことを表す言葉です。意識的な欲求を表す顕在ニーズと対比的に、潜在ニーズは無意識の下でひそやかに存在する欲求を指します。

スマートフォンが出現する以前、人々が日々の生活でウェブサーフィンをしたいと感じていたかどうか拾い上げてみましょう。

確かに「パソコンから離れてもインターネットを使用したい」という明確な顕在ニーズは存在していました。しかしながら、それが「時間や場所を選ばずに手元で情報を検索し、人々とのコミュニケーションを保ちたい」といった、一層深い欲求へと昇華したのは、スマートフォンが登場した後のことです。

成功するビジネスとはどのようなものかを探求する際、消費者の顕在ニーズだけを満たそうとするだけでは不充分で、そのような表面的な欲求を超えて深層に眠る潜在ニーズを見い出し、それに応える新しい価値を創造することも要求されます。

それによって新たな市場が生まれ、全社会がより豊かになるのです。

潜在ニーズと顕在ニーズの違いとは

潜在ニーズと顕在ニーズの違いについて確認しておきましょう。

顕在ニーズとは、顧客が自らの欲求や問題を自覚している状態を指します。これは一般的に、ユーザー自身が口にする要望やニーズであり、その声が直接的に表れる状態です。

例えば、経理担当者が「請求書作業を簡素化したい」と思っているのは顕在ニーズです。毎月の請求書発行が手間だと自覚しており、その問題点を指摘しています。

一方、潜在ニーズは、ユーザー自身が気づいていないニーズや欲求のことです。これはユーザーの心の奥に隠れた欲望や現状と理想のギャップです。

例えば、経理担当者が請求書作業を簡素化したいと思っている一方で、本当の潜在ニーズは「残業を避けたい」「家族との時間を増やしたい」といった願望や希望である可能性があります。これらはユーザー自身が自覚しておらず、内面的な欲求です。

マーケティングの視点から見ると、潜在ニーズを見抜くことが重要です。

ユーザーが表に出していない深層にあるニーズを探り、不満や理想と現実の差異を把握することが、潜在ニーズを明らかにし、顕在化する手段となります。

ニーズとウォンツの違いとは

日本の消費者社会に深く関わる二つの概念「ニーズ」と「ウォンツ」。これらは直訳すればそれぞれ「必要性」と「欲望」を意味しますが、もう少し具体的に捉えるとニーズは「目的意識」を、ウォンツは「手段や具体的な欲求」を指し示します。

例えば、「筋肉をつけたい」という思いは、その人の内的な目的意識を表すため、「ニーズ」に相当します。具体的な手段として考えた「ダンベルを購入しよう」という考え方は、ニーズを満たすための具象的な欲望であるため、「ウォンツ」に該当します。

しかし、「筋肉をつける」というニーズを満たすウォンツは、ダンベルの購入だけではありません。サプリメントや他のトレーニング器具の購入、またはジムへの入会など、様々な手段が存在します。このように、ニーズは一つの目標、ウォンツはその目標を達成するための様々な選択肢、と捉えることで、違いがはっきりと見えてくるでしょう。

潜在ニーズとインサイトの違いとは

潜在ニーズは、文字通り「隠れた必要性」を指します。これは、顧客自身が認識していない、またはまだ完全に理解していない要求のことを指します。この要求が具体化すると、新たなビジネスチャンスとして浮上します。

それとは逆に、インサイトは、顧客の行動、思考、感覚の背後にある深い理解を示します。これは、商品の生産やマーケティング戦略の策定にとって非常に重要な要素で、顧客の真実の欲求を見つけ出し、それに対応した形で提供することを実現します。

たとえば、特定の製品に対して「何となく惹かれる」と感じる状態はインサイトです。なぜその製品に惹かれるのか、自分では明確には理解できないけれども、無意識のうちに何か吸引力を感じています。これが潜在ニーズだとしたら、具体的に表現できなくても、「この製品によって、○○を成し遂げたい」といった欲求があります。

潜在ニーズが重要視される背景とは

この章では、潜在ニーズが重要視されるようになった背景について解説します。

新規顧客獲得競争が激化

現在、新規の顧客を確保する競争が急速に広がっています。競争が高まる中で、単純に商品やサービスの品質、選択肢の多様性、価格、ブランド力などでの戦いだけでなく、消費者の深層心理にアプローチするための潜在的ニーズの探求が急速に注目されています。

潜在ニーズに焦点を当てる理由は、消費者の決断や行動が、自覚できていない深い欲求にも大きく左右されることから来ています。潜在ニーズを効果的に発見し、満足させることにより、他企業との違いを作り出すことが可能です。

さらに、感情的なコミュニケーションや体験価値の転換への流れから、よりオリジナルでパーソナルな体験が求められているのも事実です。製品やサービスを提供するだけではなく、それらを通じてどのような体験や価値を提供するのか、顧客の心の底に眠るニーズに応えることができれば、強い信頼関係を築くことが可能となります。その観点から、潜在ニーズの探求が極めて重要とされています。こういった動きが新規顧客の獲得競争が高まる中で、さらに重要性を増しているのです。

想定ターゲット以外へのアプローチも必要

潜在ニーズを把握することは、新しいビジネスチャンスの発見につながります。自社商品やサービスのターゲットとして考えていなかった顧客層にも、自社の製品やサービスが潜在ニーズを満たせる場合、新たな顧客を獲得できる可能性があります。

たとえば、ルームランナーを買いたいと考えるユーザーがいるとします。このユーザーの潜在ニーズは、忙しい日常生活の中で健康を保つ方法を模索している可能性があります。その場合、ルームランナーを買うだけでなく、サプリメントの購入や睡眠効率を上げるためのコーチングを受けることも解決策になるかもしれません。

このように、潜在ニーズを見つけ出すことで、ユーザーの予想にはない新しい解決策やアイデアが浮かび上がる可能性があります。そのため、顧客の潜在的な欲求を探求することは、革新的なビジネスチャンスの発見につながるのです。

潜在ニーズの見つけ方とは

潜在ニーズを引き出す方法にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な方法をご紹介します。

インタビュー

成功するビジネスには、顧客がまだ気づかないニーズを見つけ出す力が必要です。これは、他の競合先より先に革新的な商品やサービスを提供するための鍵となります。それでは、どのようにして潜在ニーズを見つけるのでしょうか。一つの答えは、インタビュー調査です。

インタビュー調査は、顧客の直感や深層心理を明らかにする助けとなります。日常生活、価値観、欲望などを深く理解するために、各種の質問を活用します。ここで、顧客が発信するウォンツ、つまり、具体的な欲求をヒントに、なぜそのような欲求が生じたのかを繰り返し探ります。

このとき、表面的な回答にとらわれず、ラダリングと呼ばれる対話手法を用いて、お客様自身が普段意識していない深層の気づきを引き出します。これによって、言葉にしない部分や行動パターンからニーズを見つけることが可能です。

なお、インタビュー調査には、複数のお客様を集めたグループインタビューや、1対1のデプスインタビューなど、様々なアプローチがあります。どの手法を選ぶにしても、お客様が何を重視し、どんな価値観を持っているのかを詳細に観察することが欠かせません。

エスノグラフィー調査(行動観察調査)の実施

エスノグラフィーとは、調査員が顧客の生活現場を直接観察し、行動や意識背後に潜むニーズを理解する手法です。さらに、顧客自身が気づいていない可能性のある潜在ニーズもこの調査から発見することができます。

この調査では、言葉による情報提供以上に、顧客が生活している空間での行動やライフスタイルを直視します。調査員が顧客の日常をその場で観察し、生活や行動パターンを分析することで、新製品やサービスの開発に大きな示唆を得ることができます。

潜在ニーズを引き出す質問とは

ここでは、潜在ニーズを引き出す質問を具体例に解説します。

今の状態について質問

潜在ニーズを浮き彫りにするための主要な方法として、「現状」について問うことが挙げられます。これにより、クライアントが直面している現状や問題を明示し、その背後に存在するニーズを特定することが可能になります。

具体的には、製品やサービスの使用目的や、現在の使用体験への満足度、不満点など、現状に具体的に触れる質問を投げかけることで、一見すると要望に見える部分を越え、解決を望んでいる真の問題や、意識下で重視されていたが認識されていなかった要素を見つけ出すことができます。

さらに、このアプローチは、新規のアイデア生成や製品開発にも適用可能です。

ユーザーの現状をリアルに把握することで、彼らが本当に何を要求し、どのような解決策を望んでいるのかを把握することができるのです。

「現状」について問うことは、従って、顧客の潜在ニーズを浮かび上がらせ、価値を提供するための強力なツールと言えるでしょう。

【質問例】

現在、どのようなアプローチを採用していますか?

現在、どのような課題に直面していますか?

現在、どのような事柄がうまく進行していますか?

将来どうなりたいか質問

潜在ニーズを掘り出す手段として、「あなたは将来どうなりたいと思いますか?」と問いかけることがあります。

この問いを投げかけることで、その人の理想とする自己像が浮き彫りとなり、何を重視し、何を望んでいるのか、心の奥底からの願いを探求することが可能となります。

例えば、「自分は成功したビジネスパーソンになりたい」と語った人の背後には、「自己の成長や成功を追求している」「経済的な安定や豊かさを望んでいる」等の潜在的なニーズが秘められているものです。

一方で、「家族を大切に生きたい」と語る人が持つ心の内には、「安心感や愛情、幸せな日常を大切にしたい」等の潜在ニーズが含まれているかもしれません。

この質問アプローチは、商品開発やサービスデザインの初期段階で、消費者の本当の求めているものを理解し、その欲求に対応する提案を生み出す時に非常に有効です。

今と未来のギャップについて質問

潜在ニーズを引き出すには、現状と理想的な未来像のギャップを問い詰めることがポイントとなります。対象者は現状から目指すべき状態までの間に存在する問題や求められるリソースを自覚するようになるでしょう。

具体的な質問としては、「現在と5年後の最適な状態の間には、何%程度の差があると感じますか?」「そのギャップを埋めるためにどのような取り組みが必要だと考えますか?」「ギャップを埋めるプロセスで想定される課題は何だと思いますか?」というような問いかけが有効です。

これらの質問が、明確なビジョンを持たない相手にも、未来像を具現化するきっかけを提供します。

さらに、これらの質問は隠れたニーズや満たされていないニーズを浮き彫りにし、それが新しいサービスや製品の改善、革新の契機となるかもしれません。

まとめ

潜在ニーズと顕在ニーズの違いを理解し、その特性を効果的に捉える方法を習得することで、市場での競争力を上げ、消費者の真のニーズに応える商品開発やマーケティング戦略が可能となります。

よくある質問

潜在的ニーズとは何ですか?

潜在的ニーズとは、顧客自身が気づいていない、またははっきりと明確に表現されていないニーズのことを指します。

つまり、何か欲求やニーズを感じているけれども、具体的に何が必要なのかがはっきり自覚されておらず、明確に認識されていない状態です。

潜在ニーズと顕在ニーズの違いは何ですか?

潜在的ニーズと顕在的ニーズの違いは、自覚度合いにあります。顕在的ニーズは自覚されており、その問題解決の意識が高いです。

一方、潜在的ニーズは自覚されておらず、問題解決の意識があまり高くない状態です。潜在的ニーズは徐々に成長し、自覚され始めると顕在的ニーズへと変化することがあります。

潜在的なニーズの具体例は?

潜在的なニーズの例は、自覚されていないが存在する顧客の欲求です。

例えば、「ストレスを感じている人が、癒しを求めている」といった場合、そのストレスの裏には「リラックスしたい」「心を落ち着かせたい」といった欲求が潜在的に存在していることが考えられます。

潜在ニーズの見つけ方は?

潜在ニーズを発見するための方法として、顧客との対話や観察が有効です。

特に対話は、潜在ニーズを把握する上で効果的な手段ですが、ただし質問の仕方やアプローチが重要です。

単調な質問ではなく、顧客の心に訴えかける質問や探求を意識した方法を工夫することが重要です。

潜在価値とはどういう意味ですか?

潜在価値とは、企業の未活用の強みや、顧客が気づいていない問題点など、見過ごされている可能性のある価値のことです。

商品の機能や顧客ニーズは既知の顕在価値ですが、潜在価値はまだ活用されていない優位性や潜在的な課題を指します。

企業の潜在価値を見つけ出すことで、新たな優位性を見出すことや、未察知の問題点に対処することが可能になります。

市場需要とはどういう意味ですか?

市場需要とは、ある期間内で特定の製品に対する市場全体や顧客の需要の総量を指します。

潜在的な顧客とは何ですか?

潜在的な顧客とは、潜在的なニーズや関心を持っていますが、それがまだ具体的なニーズや課題としてははっきりと認識されていない顧客層を指します。

この層は自社の製品やサービスについて知識を持っておらず、自身のニーズについても完全に認識していない場合があります。

潜在的な顧客層は、適切な情報提供や効果的なマーケティングを通じてニーズを認識させ、顧客化させる可能性があります。