Accessからのリプレイス開発において、プロジェクトの出発点となったのは、クライアント企業である某銀行が直面していた以下の課題である。

1. 端末依存の業務プロセス
   システム利用が特定の端末に限られていたため、業務効率が悪化。特に、リモートワークや緊急時対応の際に、柔軟な業務遂行が困難となっていた。

さらに、本プロジェクトには、クライアントから提示された「現行踏襲」の制約があった。既存システムの仕様や設計を極力維持しながら改善を図る必要があった。

プロジェクトチームは、SQLServerとC＃を用いてシステムを開発した。これにより、以下の機能を実現した。

• 多通貨取引の補償計算を自動化
  大量のデータ処理が必要な多通貨取引業務を、SQLServerを活用して効率的に実施できるようにした。
• Webアプリ化によるアクセスの柔軟性向上
  Webアプリケーションとして再設計することで、ユーザーがどの端末からでも安全にアクセス可能な環境を整えた。

本プロジェクトではいくつかの課題があったため、以下の工夫を行った。

• 仕様書の不備を補う認識合わせ
  システムの仕様書がほとんど存在しなかったため、業務観点からプロセスを整理し、認識の統一を図った。
• 新担当者との丁寧なコミュニケーション
  クライアント側担当者が新任であったため、頻繁な確認作業と綿密なヒアリングを行い、仕様確定を支援。
• セキュリティ設計の高度化
  クラウド認証、ネットワーク設計、アクセス制御を一体化したセキュリティ強化策を導入。
• 特殊な業務フローに即したUI設計
  銀行業務の特性を考慮し、操作性を重視したユーザーインターフェースを提供。
• 継続的な進捗共有とフィードバック収集
  プロジェクト全体で透明性を確保するため、定期的な進捗報告とフィードバックを取り入れた。