システム開発の流れとは?開発工程や注意点について詳しく解説
システム開発は、ビジネスプロセスの効率化や業務改善を目指して行われる鍵となる作業です。しかし、明確な手順や計画なしにシステム開発を進めると、予期しない問題に直面したり、プロジェクトが頓挫してしまう可能性があります。
そこで本記事では、スムーズなシステム開発を実現するための基本的な流れと、開発工程での注意点について詳しく解説いたします。システム開発初心者から経験者まで、幅広く有益な情報を提供することを目指しています。
システム開発の工程とは
システム開発の工程は、新規の情報システム作成や既存システムの更新作業の全体フローを指す概念です。数々のステップが存在し、通常は要件定義、設計、実装、テスト、導入、運用・保守といった手順から構成されます。
始めのステップ、要件定義では、解消すべき課題や実現すべき機能を明示します。これをもとに設計ステップに進み、システム構造やデータベースを計画します。
次に、設計した内容に基づき実装を行い、具体的なシステムを完成させます。完成後のシステムはテストで徹底的に検証し、適正に動作することを確認します。
問題点が見つからなければ次のステップ、導入に向かい、最終的に運用・保守段階となります。この時期には、システムが継続的に機能するように保守を行い、新たな要件に柔軟に対応するための更新作業を行います。
システム開発は、上記の一連フローを通して、各段階で特化した知識と技術が求められる過程で進行します。これこそが、システム開発の工程というものです。
工程とは、タスクを分割して整理したプロセス全般を指します。開発工程とは、システム開発に必要なプロセスの一連フローを指す言葉です。これには要件定義、設計、テストなどが含まれます。
家庭の日常生活に例えるとわかりやすいでしょう。洗濯機を回す→洗濯物を干すといった一連の流れがシステム開発の工程に相当します。「洗濯物を干す」というプロセスは、「ハンガーに掛ける」「シワを伸ばす」などの細部のプロセスから成り立っています。
開発工程に沿って進行する目的は、計画通りに開発作業を行うためです。開発プロセスを工程に分割することで、進捗状況や品質を管理しやすくなります。各工程の分け方は企業ごとに異なるという柔軟さがあります。
システム開発工程のモデルとは
開発工程には、代表的な2種類のモデルがあります。
ウォーターフォール型とは?
ウォーターフォールとは、上から下へ一方向に流れる水の流れを指します。このウォーターフォールの概念を採用したのが、開発手法のウォーターフォールモデルです。これは、一連の工程を一方通行で進める開発手法であり、シンプルで理解しやすく、チーム内の進捗共有がしやすいため、広く利用されています。
この代表的なモデルの特徴は、工程間で後戻りができないことです。つまり、次の工程に進む前に前の工程を完了する必要があります。この性質から、最初の計画が極めて重要とされます。ウォーターフォールモデルは、各段階が直線的に進行するという特性があり、前半の設計段階と後半のテスト段階がそれぞれ対応していることから、V字モデルとも呼ばれます。例えば、要件定義(1)と運用テスト(7)、詳細設計(2)と結合テスト(6)、プログラム設計(3)とプログラムテスト(5)が対応しています。
ウォーターフォール型のメリットとは
ウォーターフォール型のメリットを確認しておきましょう。
スケジュール管理がしやすい・納期の見通しを立てやすい
その名称が示す通り、ウォーターフォール型は水流が一直線に落ちていく滝のような一連のプロセスが特徴。よく計画された細部の設計から製造に至るまで一貫した流れを持つことで、スケジュールがスムーズに管理できるのです。
異なるフェーズをクリアしてプロジェクト全体を進行させる流れが明確なため、何をいつ行うべきかという細部にわたる策定も容易となります。これにより、時間の管理が効率化し、全体の作業スピードが向上する可能性があります。
ウォーターフォール型のもう一つの強みは、各々のフェーズの開始と終了がはっきりしているため、納期の予測が立てやすい点です。開発全体の流れを視覚的に見ることで、各工程が計画通りに進んでいるか、または問題が起きていないかをチェックしやすくなります。
大きな問題が発生しにくい
ウォーターフォール型の開発手法は、各工程を一つずつ、一直線上に進めていくことが特徴となっています。各段階がきちんと終了するたびに、次のフェーズに移行します。これにより大きな課題が起き辛くなっています。
要因としては、各工程をそれぞれのエキスパートが担当していることが挙げられます。具体的には、ウォーターフォール型開発法では、すべての要素を詳細に設計し、それを基に開発作業に取り組むのです。これによりすべての視点を掴んだうえで作業が進行し、大きな問題が発生する可能性が減少します。
また、一つずつのタスクが順番に実行されるため、各ステップで複数のスキルを持つ人々が関与することができ、質の高い制作が可能となります。
予算が立てやすい
ウォーターフォール型の開発手法は、その一連の流れが計画的に進行する特性上、予算の設定が容易である点が特徴です。開発の各ステージが順番に進行するため、具体的な予算を立てやすい環境が整っています。
他の手法、例えばアジャイル型と比較すると、開発の進行と共に新たな要求が生じ、予算が変動することが多いです。一方、ウォーターフォール型の場合は最初の設計段階で全体の構想を固め、その後開発に進行するため、予算の変動がほぼ起きません。これが予算設定の明確性につながります。
さらに、各工程が独立して区切られていることも予算立案の有利な要素です。タスクやこれに要する時間と費用が具体的に示されているので、予算の細部まで計画することが可能となります。
ウォーターフォール型のデメリットとは
ウォーターフォール型のデメリットも確認しておく必要があります。
リリースまで時間を費やす
ウォーターフォール型の開発手法は、企画からリリースまでの各フェーズが一度きりの一方通行のモデルです。これが大きな弱点となり、特にシリーズの完成までに長期化するリスクがあります。それぞれのフェーズの工程が時間とともに進展するため、全体の開発期間が長くなってしまうのです。
更に、市場や技術が変わっても中途の仕様変更が難しいため、最新のニーズに対応出来ないリリースとなる可能性もあります。
また、ウォーターフォール型では全体像が見えにくくなるため、問題が最終段階で見つかった場合の返却リスクが高まるという問題があります。
仕様変更・トラブル対応が困難
この開発モデルでは全体のプロセスを順にこなす必要があるため、開発途中で要件の変更が生じた場合、それは大規模な戻り作業を引き起こし、全体のスケジュールや予算に影響を与えます。初期段階で見落とされる可能性のある仕様や新たなニーズに迅速に対応することは困難となります。
加えて、二つ目の問題点は、問題発生時の対応の難しさです。たとえば、テストの段階で問題点が発見された場合、その根本的な原因を突き止めて解決するためには設計フェーズまでさかのぼる必要があります。さらに新たな問題が出てきた場合、全フローを再度行う必要があり、大きな手間となります。
アジャイル開発モデルとは?
アジャイル開発モデルは、ソフトウェア開発の一環として採用される進行形式であり、プロジェクト全体を小さなパートに分割して、それぞれ短時間で開発と完成を実現します。その結果、プロジェクト全体の管理が容易になり、進行中でも要求仕様や改善点の変更をスムーズに行うことが可能となります。
このアプローチの主な特質は、繰り返し行われる開発サイクルです。「スプリント」と呼ばれるこれらのサイクルは通常、一週間から一ヶ月を目安に設けられ、各スプリントごとに特定の目標が設定され、その達成を目指します。スプリントの終わりでは、成果を見直し、次のスプリントで改善すべき点を特定します。
アジャイル開発モデルは、急速に変化するマーケット環境から生まれたものであり、その流動的かつ柔軟な対応力が、現代のビジネスシーンにおいて評価されています。それは「アジャイル」という言葉が示す「敏捷性」を具現化しています。スピードが重視され、後退ではなく積極的な進行が前提となるため、新規プロジェクトや困難を伴うプロジェクトへの対応、要求仕様の変更など、多様な局面でその効果を発揮します。
アジャイル型のメリットとは
アジャイル型のメリットとしては以下のことが挙げられます。
納期が早い
アジャイル型開発の一番の特長は「スピーディな納期」です。それは、システムを区切り、それぞれの要素を同時進行で製作するためです。ウォーターフォール型と比べると、この方式は開発期間を大きく短縮できます。
伝統的な開発手法では、設計、開発、そして最終的にテストの順で進行しますが、アジャイル型では、一つずつ機能を開発・テストし、それらを組み立てていきます。それにより、それぞれの機能がすぐに利用可能となり、全体としての完了を待つことなく早期納品が可能となります。
また、段階的に製作するので、万が一問題が発生したときも、その影響が最小限に抑えられるポイントも魅力です。これにより、開発過程で起こる急な要望変更にも迅速に対応することができ、ユーザーを中心にしたシステムを効率的に提供できます。
特に、リリースまでの期間が短い、または規模が比較的小さいプロジェクトには最適な開発手法であり、信頼性と速度を兼ね備えた現代のソフトウェア開発には欠かせません。
要求の変更などに柔軟に対応できる
過去のウォーターフォール型開発においては、計画やスケジュールが初めに固定されてしまい、その途中で要望が変わると、大規模な変更により大きな時間と費用が発生していました。一方で、アジャイル型開発ではスプリントと称した短期間での計画立案・開発・テスト・評価を繰り返し行うことから、新たな要望や改良点が生じても次のスプリントにて対処できるのです。これにより、お客様の要望に即座に対応し、ソフトウェアの品質を上げ、また、顧客満足度を高めることが可能です。
更には、リスクの早期発見にもつながります。各スプリントの終了時には、成果物の検証があるため、同じ問題を繰り返すことなく、早期に発見し、修正することができます。
顧客のニーズに応えやすい
ウォーターフォール方式と比べて、アジャイル方式では開発の途中で要求を変更することが可能となります。これは、製品またはサービスの開発が行われるビジネスの状況が常に入れ替わり、その変遷に対して機動的に対応できる力が必要だからです。
アジャイル方式が提供する大きな利点は、依頼者とのコミュニケーションを綿密に行いつつ開発を行うことが可能です。これにより、反応を受けとりながら要求の設定を進むことができます。その結果、依頼者が欲する機能や品質の期待値を十分に認識しつつ、依頼者の満足度を高めていく成果物を創造することができます。
さらにアジャイル方式では、少人数による高度なチームで作業するスタイルが採用されています。このようなチーム構成により、各メンバーが自己の特性を活かしつつ、より自由な創造的な発想をしやすくなり、それにより商品やサービスの質を向上させやすいという利点があります。
アジャイル型のデメリットとは
アジャイル型には以下のようなデメリットがあります。
対応できるシステム会社が少ない
ウォーターフォール型が主流の現在、アジャイル型に精通した会社は少なく、適切に扱える会社を探すことは困難です。また、アジャイル専門の会社に依頼したとしても、過度な仕事量により品質が落ちるリスクも存在します。
アジャイル型では定期的なコミュニケーションが求められますが、これを適切に許容できる体制を持つ会社はやはり少ないです。結果的に、これらの課題は開発速度や質に影響し、プロジェクトの成功を阻害する可能性があります。
アジャイル型を採用を検討する企業は、適切なパートナーを慎重に選び、自社でもアジャイル型への理解を深め、対応体制を整えるべきです。一方、アジャイル型の需要が高まる中、システム会社もその対応能力を強化することが求められています。
当初のコンセプトと完成物に違いが発生する可能性がある
アジャイル型の特徴は、プロジェクトの初期段階で全てを詳細に計画するのではなく、各工程で対話を重ねながら進めていくスタイルです。これにより、進行中に新たなアイデアや改善の提案が容易に取り入れられます。しかし、この方法論の柔軟性から、完成品が初めのコンセプトとは異なる形になるリスクも伴います。
完成品とコンセプトの乖離は、関係者間での認識のズレや、途中で変化する要望が積極的に反映されるために生じます。特に大規模なプロジェクトでは、目標や市場環境が進行中に変化し、最初に設定したビジョンと結果が乖離するケースも多いです。この点から、アジャイル型には「適応性」が高すぎて時折「本質的な方向性」を見失うデメリットがあると言えます。
人材確保ができない可能性がある
アジャイル型の開発に具体的な経験を持つエンジニアが少数派である現状から、アジャイル型に対応可能な企業であったとしても、依頼のタイミングで他の開発業務に携わっている人材が多いと、対応が難しい場合があるのです。
このアジャイル型の特性を生かすには、プロジェクトの進捗に応じて迅速に仕様変更に対応する柔軟性が必要とされます。これを達成するには、ウォーターフォール型のように固定的な開発フローにとらわれず、変動する状況に適応できる、アジャイル開発を理解しているエンジニアの存在が必須となります。
しかし、アジャイル開発の現状は人材確保が困難であり、その理由としてはアジャイル型開発を経験済みのエンジニアがまだまだ少なく、取り合いになることが多いからです。更に、アジャイルの特性上、全スタッフが主導的に行動し、効率的にゴールに向かうチーム力が求められるため、単に技術力を持つだけではなく、コミュニケーション能力と柔軟性を併せ持つ人材が求められます。
具体的な開発工程とは
開発工程について、具体的に解説します。
①要件定義(RD)
開発プロジェクトにとって初期の段階が要件定義(RD)であり、これは実に重要な役割を果たします。要件定義は開発対象となる製品やサービスの性能、機能、そしてそれらが充足すべき条件を詳細に描くプロセスのことを意味します。
この要件定義が開発プロジェクトにおける指針となり、開発陣が目指すべき目標を明示します。要件定義の具体的な内容としては、製品がどのような目標を果たし、どのような機能を備えるべきか、そして製品が動作する環境やユーザーの特徴を内包した上で製品の仕様を総括するという作業が含まれます。
しっかりと行われた要件定義がなければ、開発が進行する過程で思わぬ問題が発生するリスクがあります。しかし逆に見れば、適切な要件定義は余計な作業を減らし、効率よく計画通りに開発を進めることを可能にします。したがって、要件定義は一連の開発手順の中でも特に重視すべきフェーズと言い切れるでしょう。
②基本設計(BD)
基本設計は、製品やシステムを形作る要素や機能、その配列を決定する重要な工程です。ソフトウェアやハードウェア開発では、BD(Basic Design)、外部設計、インタフェース設計とも言われるこの段階では、ハードウェア設計、レイアウト、セキュリティ機能等の具体的な要件を定義し、それらを元に機能が設計されます。
基本設計には幅広い内容が含まれ、アプリケーションのUI設計やデータベース設計、必要なAPIの設計、そしてハードウェアやネットワークの構成を定義する等、全体像やその具体的な動作手順を描き出す作業が行われます。
この工程で製作される成果物は以下の通りです。
■基本設計書
■システム構成図
■インタフェース設計書
■外部設計書
■方式設計書
■テーブル定義書
■ファイル定義書
そして、製品やシステムが具体化する際の期間や費用について、顧客との微調整も行われます。この基本設計は開発工程全体を方向付けるため、細部に渡って議論され、精査される必要があります。
③詳細設計(DD)
詳細設計(Detailed Design、DD)、またはプログラム設計は、基本設計で定義済みの機能の具体的な実現方法を捉える工程であり、実質的にシステムの「青写真」を描く段階です。
各機能のプログラム言語や使用する開発環境、入出力データ、処理フローなどを精細に定め、それらを元にプログラミングのルールを策定したり、独自のフレームワークのマニュアルを制作します。さらに、この段階で単体テストの実施を見越したテスト仕様書も作成します。それらは具体的なコーディングのガイドラインとなり、実際のプログラミング工程に生かされます。
覚えておくべきは、基本設計が「何を」実現するかを明示する工程であるなら、詳細設計は「どのように」それを具現化するかを詰める工程だということです。そして、開発者ばかりでなく、テスト担当者、運用・保守担当者、クライアントといった多様な関係者が詳細設計書を参照するため、分かりやすさと明確性が求められます。詳細設計の質はプロジェクト全体の品質を左右するといっても過言ではないからです。
④単体テスト(UT)
UTとも呼ばれる単体テストは、開発された各機能が正確に動作するかを確認する工程で、詳細設計工程で作成されたテスト仕様書に基づいて行われます。成果物としては、単体テスト成績書およびテストに合格したプログラムが挙げられます。
例えば、演算機能を持つアプリケーション開発の場合、加算や減算、乗算、除算などの個々の機能を個別にチェックします。これにより、問題が見つかればすぐに修正が行われ、全体としての品質が向上します。
この単体テストは、開発の早い段階で行われるため、早期に問題を発見することが可能となります。これは修正にかかるコストを削減する面でも、またソフトウェアの再利用性や保守性を上げる面でも有効です。
ただし、この単体テストを効果的に行うには、高度なスキルを持つプロフェッショナルな開発者が必須となります。仕様を詳細に理解し、テスト設計とコーディングスキルを両立させる開発者が必要とされるからです。外部リソースや自動化ツールを用いることもありますが、発見された不備は開発者が直ちに修正を行います。これにより、単体テストは開発中の品質保証ともいうべき役割を果たしています。
⑤結合テスト(IT)
次に、結合テストを行います。結合テストは、プログラムが全体として適切に機能するかを確認する工程で、個々のプログラム部品が単独ではなく、連携して適切に動作するかを確認します。これは、それぞれのプログラム部品が他のモジュールと相互依存の関係にある際、これらが適切に相互作用し、分かりやすい結果を生み出すかを評価するために大切な工程で、もし問題が見つかった場合は、その問題を速やかに修正します。
結合テストは、各々のモジュールの独立動作を確認する単体テストとは異なり、複数のモジュールが一つとなって働くことを確認するテストです。これにより、単体テストだけでは見逃すことのある相互依存に起こる問題を見つけ出すことができ、システム全体の品質向上と開発工程全体の効率化に寄与します。
リスク管理の観点からも、結合テストは見逃せない段階であり、問題をできる限り早期に見つけ出し、対策を立てることが求められます。そのため、結合テストはプロジェクトを成功に導く重要なステップの一つとなります。具体的な結果物としては、結合テストの成果が示された結合テスト成績書や実際に動作するプログラムが挙げられます。
また、結合テストは基本設計書に準じた機能が実装されていることを確認する工程でもあります。プログラミングや単体テストの委託があった場合、受け入れ検証のためにも行われます。また、適切なテスト環境を整備するためにも、基本設計段階でテスト仕様書が作成されることが必須となります。
⑥システムテスト(ST)
開発工程は大別して、設計、プログラミング、テストの三つの段階にわけられますが、この度は特にシステムテスト(ST)について深く学びましょう。
システムテストとは、ソフトウェアやシステム全体をテストし、具体的な設計要件が達成されているか、隠れた問題が存在しないかをチェックするフェーズです。ここでは、要件を満たすために始めから定義していた仕様書が正しく導入されているか、また全体として安全に稼働しているかを確認します。カスタマーとの初期の合意に基づいた要件達成のためには、この段階の役割は重要であります。
システムテストは、機能のテスト、パフォーマンスのテスト、信頼性のテスト、セキュリティのテストなど、多岐にわたる内容を対象とします。それらを通じて、機能間の干渉、膨大なデータや多数のユーザーによるシステムへの接続時の動作等を確認します。さらに、問題が発生した場合の対策もこの段階で計画され、リリース後のリスクを低く抑える役割も果たします。
全体的な動作をチェックするには、個々の機能テストだけでなく、それらが連動した状況下での動きも試す必要があります。つまり、システムテストは部分だけでなく全体のクオリティを確認するために行われ、その重要性は否応なく認識しなければなりません。
また、この段階では最終的なテストの実施が求められ、システムが稼働する全てのシナリオやイベントを確認する著しい需要があります。そのため、現場での実際の経験や知識が求められます。その上で、通常、顧客担当者と協力してテストが行われます。
⑦システム移行
システム移行は、既存のシステムから新しいシステムへデータやプログラムを移転させる工程となります。これは新システムを最大限に活用するために欠かせないステップであり、適切に手続きが進められないと、業務の効率が低下することもあります。
まず、既存のシステムから新システムへ移行するにあたり、移転するデータを特定します。それらを選別し、新システムに適合するように形式を変更します。一部の情報は手間をかけて追加または削除することもあります。
移行が完了した後は、テストによってデータの整合性を確認します。移転されたデータが正常に動作するかを検証し、何か問題が見つかったら修正します。システム移行は業務に重大な影響を及ぼす可能性があるため、通常は業務が行われていない時間や休日に実施します。
システム移行においては様々な問題が起こり得ますが、事前の計画と正確なテストにより、リスクを抑えつつ効率的に進行できます。それでも万が一トラブルが発生し、クライアントの業務を妨げる場合には、元のシステムに直ちに戻るための手段も用意しておく必要があります。
⑧システム運用
すべての開発工程が完了し、運用の段階に進むことになります。「システム運用」は、完成したシステムを実行し、その働きを継続的に管理する作業を指します。この段階では、システムが適切に機能するかをテストし、ユーザーからの問い合わせやサポートへの対応も行います。
しかし、新法制や市場の変化、技術の進化など、多くの要素がシステムに影響を与えます。これらの変更に対応するため、システム運用は日々のメンテナンスだけでなく、必要に応じてシステムの改修や拡張も行う必要があります。
運用フェーズで重要なのは、ユーザーフィードバックの収集です。システムを使用する過程で発生する問題や要望をリアルタイムで収集し、更なるシステム改善の可能性を見つけていきます。運用は、システムが一定の完成点に達した後も継続的な改良が必要な工程で、システム開発の「終了」ではなく、「新たな開始」を意味します。一つのプロジェクトが完結を迎えても、システムの進化は止まらず、より良いシステムの開発を目指した究極の追求が続くのです。
まとめ
システム開発が円滑に進行し、予期せぬ問題を避け、ビジネス効果を最大化するためには、明確な流れが欠かせません。本記事ではその開発工程と注意点について解説しました。方法論を適切に理解し、適用することで、開発プロジェクトを成功に導くことができます。
よくある質問
システム開発 流れは?
通常、システム開発のプロセスは以下の手順に沿って進行します。
- 要件定義
- 外部設計
- 内部設計
- コーディング
- テスト
- リリース
- 運用・保守
開発5工程とは?
開発の5つの工程とは、基本設計、詳細設計、実装、結合テスト、総合テストのことを指します。