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サブスクビジネスモデルとは?メリット・デメリットや種類について解説

近年、あらゆる業界で広まりつつある”サブスクビジネスモデル”。この「サブスク」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれませんが、詳しい意味内容や具体的なビジネスモデルについて理解している方は限られているのではないでしょうか?

今回は、サブスクビジネスモデルがもたらすメリット・デメリット、そしてその実例について詳細に解説していきます。その概念を理解することで、ビジネスチャンスを見つける手助けになることでしょう。

目次

サブスクリプションビジネスとは?

「定期的に商品やサービスを提供し、それに対して顧客から一定の料金を得る」というビジネスモデル、それがサブスクリプションビジネスです。この言葉は、新聞や雑誌の定期購読、「サブスクライブ」から派生したもので、時を経て今では音楽や映画、ソフトウェア、食品といった幅広い分野で見かけます。

利点としては、会社側は収益予測がしやすくなるだけでなく、顧客を長期的に固定化できることが挙げられます。一方の顧客にとっても、分割払いによる手軽さから大きな負担なしに定期的に商品やサービスを利用できるメリットがあります。

ただ一方で、このビジネスモデルを維持するには顧客満足度を常に高く保たなければならず、それには質の高いサービス提供と新たな価値の創出が求められます。事業者がこれらの要素を満たせば、サブスクリプションビジネスは最大限の効果を発揮し、一層の顧客満足度と収益をもたらすことでしょう。

サブスクリプションビジネスと似たサービスとの違いとは

サブスクリプションビジネスと似ているサービスの違いについて確認しておきましょう。

サブスク型ビジネスと売り切り型(フロー型)との違いとは

売り切り型は、製品全体を一度に購入する形態です。CDやDVDの販売などが代表例で、一度の取引で商品の所有権が移転します。では、サブスクリプション型モデルと比較すると、ここでは所有権ではなく、サービスの利用権を得るという違いがあります。サブスクリプション型では長期的な安定した収益が見込まれますが、一方で一括購入型では一度の取引で大きな利益を得ることができます。

サブスク型ビジネスとレンタルとの違いとは

レンタルビジネスの主な特徴は、使用した期間に応じて利用料金を支払う点にあります。これは映画のレンタルやレンタカーなど、特定の商品を一定期間借りて利用する形式が一般的です。レンタルビジネスでは、商品の所有権は一貫してレンタル提供者にあり、ユーザーは一時的な使用権を買っているにすぎません。

対照的に、サブスク型ビジネスは、月額制または年額の固定費で無制限にサービスを受けることが可能な形態です。オンラインストリーミングサービスや新聞・雑誌の定期購読が一例です。最大の特徴は、自動更新されることで、ユーザーは新しい商品やアップデートされたサービスを継続的に利用できます。

サブスク型ビジネスとシェアリングエコノミーとの違いとは

シェアリングエコノミーは、個人が所有するアイテムやスペースを一時的に他人と共有し、その提供に対して対価を得るビジネス形態です。AirbnbやUberがその活用事例として知られており、利用する側に対しては必要な時に必要なだけ使用でき、所有する側からみれば有効に資産を活用できるというメリットがあります。

サブスクリプションとシェアリングエコノミーは、新たな価値を創造するという共通点を持ちつつ、サブスクリプションは長期にわたる顧客との関係性を基にしたビジネス、シェアリングエコノミーは顧客自身も価値の提供者となる一時的な共有によるビジネスという相違点があります。これら特性を把握し、事業戦略を策定する際にどちらのモデルを選択するかが重要となります。

サブスクリプションビジネスモデルのメリットとは

サブスクリプションビジネスモデルのメリットについてご紹介します。

初期費用を抑えられる

サブスクリプション型ビジネスモデルの一番の特長は、初期の出費を抑制できるところです。伝統的なビジネスモデルでは大きな投資が発生しますが、この方式では月額または年額の一定の料金を支払うだけで、高価な商品も利用しつづけることが可能になります。この特性は、特に新規事業者やスタートアップにとって魅力的であり、大量の初期投資なしにビジネスを始めることができ、リスクを最小限に抑えることができます。

継続的な売上獲得

サブスクリプション型のビジネスモデルが注目されているのは、その継続課金による持続的な収益性が大きな魅力だからです。

パッケージ型ビジネスモデルでは、商品ごとに新規の顧客を探し求めて販売する必要があります。それに比べ、サブスクリプション型のビジネスモデルでは、一度顧客が契約をすれば、一定期間ごとに収入を確保することが可能になります。これにより、ビジネスの見通しが立てやすくなり、財務の安定感が増します。こうした事業の進めやすさは、長期的なビジネスプランを描く上で大きな強みとなります。

この持続的な収益は、新たな取り組みや投資に対する資金供給をも助け、会社の発展を後押しするでしょう。顧客との契約が長期化し続けることで、顧客獲得のためのコストも大幅に削減することができます。

サービスの改善がしやすい

サブスクリプション型ビジネスの大きな特徴と利点は、リアルタイムでの顧客データ収集という点です。これが実現するのは、顧客との定期的な契約を通じてフィードバックを手に入れやすく、サービスや商品の改良、最適化を継続できるからです。

このビジネスモデルは、積極的に消費者の反応を吸収し、それを改善の糧として用いることが可能。これだけでも商品の質の向上を早め、顧客満足度を増大させる一方で、より忠誠心のある顧客層を形成できる仕組みを築くことができます。

また、定期的な顧客データの収集と分析により、その後の市場トレンドを先読みすることが可能になります。

新規顧客を獲得しやすい

サブスクは一度契約を結ぶと、毎回店に出向く手間なく商品が自宅に届くため、利便性が向上します。また、サブスクリプションサービスの多くが単品購入より一回あたりの費用を抑えているため、コスト効果も魅力となります。

さらに、サブスク型ビジネスモデルは、顧客に新製品を定期的に試す機会を提供します。これは、特に新規顧客獲得に効果的と言えます。サービスが既存の顧客による口コミや紹介を通じて更に広がることで、新規顧客の影響範囲は大きく広がります。特別なトライアル期間や割引キャンペーンの提供も、新規客の獲得を後押しします。

サブスクリプションビジネスモデルのデメリットとは

この章では、サブスク型ビジネスモデルのデメリットを解説します。

収益化まで時間がかかる

サブスクリプション型のビジネスモデルは、周期的に料金を支払ってサービスや製品を利用するという形態です。一回限りの販売とは違って、安定した収益の見通しが立ちますが、利益を上げるまでには相応の時間がかかるという欠点があります。

このビジネスモデルはユーザーが長く続けて利用することを基本としています。初めのうちはそれほど大きな収益は見込めません。なぜなら、一度の購入に比べてサブスクリプションの料金は通常低設定されているからです。ユーザーが継続的に利用することで収益が積み重なり、ようやく利益が増えてくるのです。つまり、顧客ごとの収益が最大になるまで、多少の期間が必要となるわけです。

しかし、同時に消費者を確保するコスト(CAC)も高くつく場合が多いです。知らないサービスに対して定期的に料金を支払うことを消費者がためらうことが多く、その顧客をつかむためのマーケティング費用は割高になり得るのです。だから、初期にかかる出費を取り戻し、収益を確保するまでには時間がかかるのです。

解約防止策が必要

顧客がサブスクリプションを続けるためには、一貫して優れたサービスや商品、さらには新たな価値を創出することが必要です。それが維持できない場合、顧客は契約をキャンセルし、企業の収益は減少する可能性があります。

解約が容易であるという特性から、不満を持つ顧客が続々と契約を解除すれば、ビジネスモデル自体が速やかに揺らぎます。その防止には、迅速な問題解決、良好なアフターサービス、そして定期的なアップデートなど、顧客の満足度を保つことが必要となります。

競合他社が多い

サブスクリプションビジネスには激しい市場競争の波が押し寄せ、その結果企業に求められるマーケティングに多大なコストを要することに繋がっています。

その一方で、サブスクリプションビジネスモデルの普及により、企業間での競争が激化するほど、その中で差別化を図る戦略が重要となります。

特に類似のサービスが急速に市場に拡大した結果、ブランド力の強化、独自の価値提供の設計、サービスの更なる革新という選択肢は、他社との競合が激化するサブスクビジネスにおいて一歩リードするために必須となります。

サブスクリプションビジネスモデルの種類とは

サブスクビジネスの種類をご紹介します。

定期購入型

サブスクリプションビジネスモデルとは、顧客が一定の期間毎に特定の商品やサービスを受け取る契約の形態を指します。定期購入型のサブスクリプションビジネスが典型的な事例で、その一例としては、美容品や食材を毎月特定の日にお客様のお宅へ配送するサービスなどが挙げられます。

このビジネスモデルの魅力は、一方では消費者が購入手続きの手間を省き、スムーズな商品利用が可能となる点にあります。一方、事業者は安定した売上を予測しやすく、また在庫管理やマーケティング活動を効率的に行える利点があります。

会員型

会員制のサブスクリプションビジネスモデルとは、一定の料金を支払った顧客が、その対価として特定の製品やサービスを入手できる方式のことを指します。具体的には、定期購読の雑誌や、音楽や映像のストリーミングサービスなどがこの例に当たります。

このビジネスモデルの一番の強みは、定期的な収入と顧客関係の深化が見込める点にあります。具体的には、会員となることで無制限にサービスを利用できるため、顧客は高いコストパフォーマンスを得られます。これにより顧客満足度が向上し、企業としては長期的な関係を築くことが可能になります。

店舗型

店舗型サブスクリプションの具体的な例としては、フィットネスジムの月会費やコワーキングスペースの使用料が挙げられます。

このビジネス形態の魅力は、顧客からの定額料金により、事業者が安定した収益を見込むことができるという点にあります。また、顧客は、料金を前払いすることでサービスを気軽に活用できるという利点があります。

しかしながら、事業運営上の課題としては、実店舗を維持するためのコストが増大しやすいことが挙げられます。利用者数が増えれば増えるほど、過剰な利用によるコスト増やサービスの品質向上を求められます。

レコメンド型

レコメンド型のサブスクリプションビジネスモデルは、定額料金形式で、顧客の好みやニーズをAIや人力によってキャプチャし、それに基づいて商品やサービスを定期的に提供します。具体的には、個々の顧客のファッションスタイル、サイズ、色の好みなどに基づいてパーソナルスタイリストが選択したアイテムを毎月配信する形態が一例として挙げられます。

このビジネスモデルの利点は、ユーザーにとっては新たな発見や手間の削減といったメリットがあり、一方で企業にとっては精緻な顧客理解と高度なパーソナライゼーションを追求するチャンスを得ることができます。しかし、一方で各顧客へのカスタマイズが必要となるため、運用が複雑化する可能性も秘めています。

頒布型

頒布型のモデルは、特定の商品やサービスを一定の頻度で届けるという特徴を持っています。例えば、月に一度新刊の本を配送する、あるいは季節に合わせた食品を届けるというスタイルが一般的です。

頒布型の特長は、ユーザーが新しい製品や体験を満喫することができる点と、企業が絶えず安定した収入を維持できる点にあります。利用者が日々の生活に新たな刺激を求める一方で、製品開発の視点からは顧客の反応を常に把握することが可能なのです。

サブスクリプションビジネスを始める手順とは

サブスクビジネスを開始する手順を確認しておきましょう。。

サービス内容の策定

サブスクリプション型ビジネスモデルを展開するためには、まずは自身の提供するサブスクサービスを明らかにすることが初めの一歩となります。

これを実現するためには、初めにターゲット顧客の特定が必要です。彼らがどのようなニーズやライフスタイル、好みを持っているかを理解し、それに基づいた魅力的なサブスクサービスを策定しましょう。この際、自社のサービスが他社と何が異なり、どのような価値を提供するのかを明確にすることも重要です。

たとえば、顧客が特定の商品を定期的に必要としているなら、その商品のサプライを担うサービスを提供する。また、教育コンテンツへの需要が高いなら、オンラインでの継続的な学習支援を行う、といった具体的な策定が必要です。その際にサービスの地域、頻度、対象者等も具体的に設定します。

提供方法・価格の決定

サービスの提供方法と価格を決定します。ここでは提供方法が店頭での直接販売か、オンラインでの無形販売か、あるいはその両方かを決定する必要があります。また、価格設定も重要で、どの程度の月額料金に設定するか、無料トライアルを提供するかなど、顧客が費用対効果を感じ、企業が利益を確保できるバランスが求められます。

システムの構築

サービスを提供するためのシステムの構築に移ります。

これには、顧客管理、定例の課金、サービス提供等をシームレスに行うシステム化が求められます。システム構築には専門的な知識が必要なため、専門家をパートナーとして迎えることも考慮に入れてください。

サービスのリリース

リリース日を決定し、それに伴う告知を行います。リリース時に多くの顧客に利用してもらうために、マーケティング活動も前もって計画し、実行に移すことが必要です。例えば、特別なプロモーションの実施やSNSを使った情報発信などが考えられます。また、リリース前に限定公開やベータテストを実施し、初期ユーザーからのフィードバックを得て、サービス改善につなげるのも一つの方法です。

サブスクリプションビジネスを始める手順とは:運用・分析・改善

スタートしたらサービスの運営・分析・改良のサイクルが重要なポイントとなります。

定額制のビジネスモデルの前提は、顧客が長期間に渡り利用を続けてくれることですので、顧客満足度の向上には特に注力しましょう。

さらに、集めた大量のデータを用いて分析を行い、ビジネスの改良策を見つけ出します。顧客からいただくフィードバックはそのための貴重なヒントとなり得ます。

サブスクリプションビジネスは、ただ始めるだけではなく運営と改良の継続が成功の鍵となります。精確に成功への道のりを描き、一歩一歩進むことが肝要となります。

サブスクリプションビジネスを成功させるには

サブスク型ビジネスモデルを成功させるコツは以下の点が挙げられます。

市場のリサーチ

サブスクリプションビジネスで成功を収めるには、一切の妥協なく市場リサーチに取り組むことが必須です。

第一歩として、エンゲージしたい市場に対する深い理解をもつことから始めましょう。その際、最も重要な視点は顧客で、顧客の欲求や好みを理解することが不可欠です。これを実現するためには、市場リサーチのプロに依頼するなどして、必要な情報を収集すべきです。

次に、自社の製品やサービスが他社からどのように位置付けられているのかを理解するための競合分析をしましょう。競合が提供しているサービスや彼らの主力商品を探究し、自社の特性と競合との違いを明確にすることが重要です。市場のトレンドや成長率についても調査を進め、事業の戦略を考える際の予測情報として使用するべきです。

新しい価値の提供

成功するサブスクリプションビジネスは、顧客への新価値提供が重要です。

これは単に製品やサービスを定期的に配信するだけでなく、新鮮で予測不可能な価値や期待以上の体験など、ユーザーの生活をより良好に、便利に、そして楽しくするものが求められます。

企業自体の独自性を前面に出すことで、競争から一線を画したサービスを展開しましょう。そのためには、創造的で革新的なアプローチが求められます。

こうしたことを意識しながら、ユーザーのライフスタイルにプラスを与えるサブスクリプションビジネスを追求することで、成功への道筋を作ることができます。

豊富なプラン

サブスクリプション型ビジネスの成功のためには、様々なプランを提供することが鍵となります。一般的な一律の料金プランだけではなく、初心者やプロフェッショナル向け、さらには特定の需要に合わせたカスタマイズプランなど、顧客の多様なライフスタイルや使用目的に沿ったプランの設定が求められます。

サブスクリプションビジネスモデルの成功例とは

サブスクリプションビジネスモデルの具体例について見ていきましょう。

音楽ジャンル

SpotifyやApple Musicのような音楽ストリーミングサービスは、ユーザーが月額制の料金を支払うことでアーティストの楽曲を自由に楽しむことができるシステムを提供しており、これらのサービスにより、リスナーやアーティスト、レコード会社の双方に便利さと安定した収益をもたらしています。

特にSpotifyはストリーミング配信サービスのパイオニアとして、ユーザー数3億5,000万人以上、7,000万超の楽曲を提供する世界最大手の音楽配信サービスとなりました。その一因となったのが、無料ユーザーでも豊富なコンテンツを十分に楽しむことができる仕組みです。

一方、「Apple Music」はユーザー数6,000万人以上、7,500万以上の楽曲を提供し、スマートフォンやタブレット、PCまで、幅広いデバイスでの利用が可能となっています。これら多様なApple製品との連携・共有が可能な仕組みが、多くのユーザーへとつながりました。

動画ジャンル

成功を収めている企業の代表例として、Netflixが挙げられます。Netflixは、コンテンツの使用料を対価とする課金方式から、サブスクリプションヘの転換を達成しました。

これにより、映画やドラマを世界中の人々に対し定額で提供しています。これは企業にとって一定の収益を確保でき、さらには自社プロデュースのオリジナルコンテンツへの投資資金を得ることができました。

定額制度により視聴者は自由に好みの作品を視聴することができ、この面でユーザーからの高い評価を得ています。

電子書籍ジャンル

近年、サブスクリプションビジネスモデルが日常生活の隅々にまで浸透しており、特に電子書籍分野の成功が際立っています。定額制で無尽蔵に楽しめ、新規タイトルやビジネス書籍など多岐に渡るラインナップが魅力となっているのです。

その代表例として名を馳せているのが、アマゾンの「Kindle Unlimited」です。

月額980円で、約2万冊以上の本が読み放題というサービスは、大量に読む本好きにとって特に魅力的です。毎月更新される新作、人気作品から海外作品まで、さまざまな種類の本を楽しむことが可能です。

さらに、スマートフォンやタブレットを始めとする各種デバイスから利用できるため、いつでもどこでも必要な知識を得られる利便性も人気の一因となっています

まとめ

サブスクビジネスモデルは安定した収益源や顧客ロイヤルティ向上といったメリットをもたらしますが、一方で利益確保や継続的なサービス提供が求められるというデメリットもあります。

それぞれの業界やビジネスに合わせて適切に活用すれば、新たなビジネスチャンスを切り開く可能性が期待できます。

よくある質問

サブスクリプションモデルとはどういうものですか?

サブスクリプションモデルとは、一定の期間中にサービスを提供し、その間に料金が発生するビジネスモデルです。

以前からある「定額制サービス」と同様の仕組みです。契約期間は事業やサービスによって異なりますが、通常は月単位や年単位の契約が一般的です。