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社会保険料とは?計算方法や負担割合、種類まで徹底解説【2024年最新】

社会保険料とは?計算方法や負担割合、種類まで徹底解説【2024年最新】

2025年3月7日

会計

保険料の負担と控除 標準報酬月額の仕組み 社会保険料の計算方法

社会保険料は健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料などを含む重要な制度ですが、具体的な計算方法や負担割合について正しく理解している人は多くありません。本記事では、標準報酬月額の仕組みから保険料の計算方法、事業主と従業員の負担割合、さらには最新の制度改正までを、実務的な観点から詳しく解説します。

1. 社会保険料の基礎知識

社会保険料は、私たちの生活を守るための重要な制度です。この制度は、病気やケガ、老後の生活保障など、さまざまなリスクに対する備えとして機能しています。多くの従業員は毎月の給与から社会保険料が控除されていますが、その仕組みについて正確に理解している人は多くありません。

1.1 社会保険料の定義と目的

社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料などを総称したものです。これらの保険料は、従業員と事業主が共同で負担し、将来的な社会保障の原資となります。社会保険は、個人で対応することが困難なリスクを、社会全体で支え合う仕組みとして重要な役割を果たしています。

1.2 社会保険に加入する条件

社会保険の対象となる事業所で働く従業員は、原則として社会保険に加入する必要があります。被保険者となる条件は、以下の通りです。

常時従業員を使用する法人事業所は全て加入対象となり、個人事業所でも従業員が常時5人以上いる場合は加入が義務付けられています。また、短時間労働者についても、一定の条件を満たせば被保険者となります。

1.3 各保険制度の概要

社会保険は主に以下の制度で構成されています。健康保険は、病気やケガの医療費を補助する制度です。全国健康保険協会や健康保険組合が運営しており、保険料率は地域や組合によって異なります。厚生年金保険は、老後の生活を支える年金制度の中核です。介護保険は、40歳以上の方が対象となり、将来の介護サービスを受けるための保険制度です。

2. 標準報酬月額の仕組み

2.1 標準報酬月額とは

標準報酬月額は、社会保険料を計算する際の基準となる金額です。実際の給与額を等級に当てはめて決定され、この金額をもとに保険料が計算されます。標準報酬月額は、報酬月額に基づいて決められ、1等級から上限等級まで段階的に設定されています。

2.2 標準報酬月額の決め方

標準報酬月額は、従業員に支給される給与の実態に応じて決定されます。毎月の給与から通勤手当などの非課税所得を除いた額を報酬月額とし、その金額を標準報酬月額の等級表に当てはめて決定します。報酬月額には、基本給のほか、各種手当も含まれます。

2.3 定時決定と随時改定の違い

標準報酬月額の見直しには、定時決定と随時改定という2つの仕組みがあります。定時決定は、毎年7月に行われる定期的な見直しです。4月から6月までの報酬月額の平均を基に、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定します。

一方、随時改定は、給与に大きな変動があった場合に行われます。具体的には、昇給や降給により、従来の標準報酬月額と実際の報酬月額に大きな差が生じた場合に適用されます。

3. 保険料の計算方法

3.1 健康保険料の計算方法

健康保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。保険料率は地域や加入している医療保険制度によって異なります。全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の場合、都道府県ごとに異なる保険料率が設定されています。

3.2 厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は、標準報酬月額に一定の保険料率を掛けて計算されます。厚生年金保険の保険料率は全国一律で定められており、事業主と従業員で折半して負担します。

3.3 介護保険料の計算方法

介護保険料は、40歳以上65歳未満の方が対象となります。健康保険料とは別に、標準報酬月額に介護保険料率を掛けて計算されます。介護保険料も事業主と従業員で折半して負担します。

3.4 具体的な計算例

例えば、給与20万円の場合の社会保険料は以下のように計算されます。まず、この給与額に基づいて標準報酬月額が決定されます。その後、各保険料率を掛けて保険料が算出されます。健康保険料、厚生年金保険料、そして40歳以上の場合は介護保険料が加算されます。実際の負担額は地域や加入している医療保険制度によって変動します。

4. 保険料の負担と納付

4.1 事業主と従業員の負担割合

社会保険料の負担は、原則として事業主と従業員で折半となります。健康保険料と厚生年金保険料については、標準報酬月額に基づいて計算された保険料の半分ずつを負担します。ただし、労災保険料や雇用保険料の事業主負担分については、全額を事業主が負担する仕組みとなっています。

実際の負担額は、標準報酬月額に応じて決定されます。例えば、標準報酬月額が30万円の場合、健康保険料率と厚生年金保険料率に基づいて計算された金額の半分を、従業員が負担することになります。

4.2 保険料の納付方法

社会保険料の納付は、毎月の給与から天引きされる形で行われます。事業主は、従業員負担分を給与から控除するとともに、事業主負担分と合わせて保険料を納付する義務があります。納付期限は翌月末日となっており、この期限を過ぎると延滞金が発生する場合があります。

保険料の納付方法には、口座振替による納付や、金融機関での直接納付などがあります。多くの企業では、効率的な管理のために口座振替を利用しています。

4.3 社会保険料控除の仕組み

社会保険料控除は、給与所得から社会保険料を差し引く制度です。控除された保険料は課税対象から除外されるため、所得税や住民税の計算において税負担が軽減されます。年末調整や確定申告の際には、1年間に支払った社会保険料の合計額が控除の対象となります。

5. 実務上の重要ポイント

5.1 育児休業等における保険料免除

育児休業等を取得した従業員については、一定の条件を満たす場合に社会保険料が免除されます。育児休業等終了後は、職場復帰に伴い通常の保険料負担が再開されます。事業主は、育児休業等における保険料免除の申請手続きを適切に行う必要があります。

5.2 短時間労働者の取り扱い

短時間労働者の社会保険加入については、労働時間や勤務日数に応じて判断されます。週の所定労働時間が正社員の4分の3以上の場合は、原則として社会保険に加入する必要があります。また、支払基礎日数が月に11日以上ある場合も、保険料の算定対象となります。

令和4年10月からは、従業員規模に応じて段階的に短時間労働者の適用範囲が拡大されており、より多くの労働者が社会保険の対象となっています。

5.3 賞与時の保険料計算

賞与に対する社会保険料は、標準賞与額に基づいて計算されます。標準賞与額は、実際の賞与支給額から1,000円未満を切り捨てた額となります。賞与支給時の保険料も、月例給与と同様に事業主と従業員で折半して負担します。

6. 保険料に影響する制度変更

6.1 最新の保険料率改定

社会保険料率は、社会情勢や財政状況に応じて定期的に見直されます。健康保険料率は全国健康保険協会や健康保険組合ごとに設定され、毎年度の収支見通しに基づいて改定されることがあります。また、厚生年金保険料率も段階的な引き上げが実施されています。

6.2 全国健康保険協会管掌健康保険の地域別保険料率

全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険料率は、都道府県ごとに異なります。これは、各地域の医療費水準や加入者の年齢構成などを反映したものです。事業主は、事業所が所在する都道府県の保険料率に基づいて保険料を計算する必要があります。

6.3 今後の制度改正動向

社会保険制度は、少子高齢化や働き方の多様化に対応するため、継続的な改革が進められています。短時間労働者への適用拡大や、保険料率の見直しなど、様々な制度改正が予定されています。事業主は、これらの動向を把握し、適切な対応を取ることが求められます。

7. よくある疑問とその回答

7.1 保険料が変動する理由

社会保険料が変動する主な要因は、標準報酬月額の変更と保険料率の改定です。標準報酬月額は、毎年7月の定時決定や昇給・降給時の随時改定により見直されます。また、全国健康保険協会管掌健康保険の保険料率は都道府県ごとに設定され、医療費の動向などにより毎年度見直される可能性があります。

特に注目すべき点として、4月から6月にかけて保険料が増加する現象があります。これは、賞与支給や昇給による報酬月額の変動が、この時期に集中することが主な理由です。また、新年度からの保険料率改定の影響も、この時期に顕著に表れます。

7.2 給与に対する保険料の割合

社会保険料の負担割合は、給与に対して一定の比率で設定されています。健康保険料と厚生年金保険料を合わせると、標準報酬月額の約15%から20%程度となります。この金額は事業主と従業員で折半するため、従業員負担分は給与の約7.5%から10%程度となります。

40歳以上の従業員の場合は、これに介護保険料が追加されます。介護保険料率は全国一律で定められており、標準報酬月額に対して一定率が適用されます。また、雇用保険料も別途加算されることになります。

7.3 保険料の控除時期

社会保険料は、原則として毎月の給与から控除されます。控除のタイミングは、その月の保険料を当月の給与から控除する当月控除方式と、翌月の給与から控除する翌月控除方式があります。多くの企業では、実務上の便宜から翌月控除方式を採用しています。

賞与に対する保険料についても、支給時に標準賞与額に応じた保険料が控除されます。年末調整の際には、1年間に納付した社会保険料の総額が所得控除の対象となります。

8. 実践的な活用方法

8.1 社会保険料の管理方法

効率的な社会保険料の管理には、従業員ごとの標準報酬月額を正確に把握することが重要です。特に、定時決定や随時改定の際には、報酬月額を適切に確認し、必要な手続きを期限内に行う必要があります。

また、育児休業等における保険料免除の申請や、短時間労働者の加入要件の確認など、きめ細かな管理が求められます。これらの管理を効率的に行うため、社会保険労務士との連携や、専用のソフトウェアの活用を検討することも有効です。

8.2 経営への影響と対策

社会保険料は企業にとって重要な人件費の一部となります。事業主負担分は、経営計画を立てる際の重要な検討項目となります。特に、従業員の増加や給与改定を検討する際には、社会保険料の増加も考慮に入れる必要があります。

また、短時間労働者への社会保険の適用拡大など、制度改正による影響も慎重に検討する必要があります。これらの変更に対応するため、中長期的な人件費計画の策定や、必要に応じた就業規則の見直しを行うことが重要です。

8.3 従業員への説明ポイント

社会保険料の仕組みを従業員に正しく理解してもらうことは、労務管理の重要な要素です。特に、標準報酬月額の決定方法や、保険料の負担割合について、わかりやすく説明することが求められます。

また、定期的な保険料率の改定や、制度変更があった場合には、その内容と影響について適切に情報提供を行うことが重要です。従業員の理解を深めることで、給与明細の見方や社会保障制度への信頼感を高めることができます。社会保険料は将来の保障につながる重要な制度であることを、具体例を交えながら説明することが効果的です。

よくある質問と回答

社会保険料は毎月いくら引かれるのですか?

社会保険料の金額は標準報酬月額によって決まります。一般的な給与水準(例:月給20万円)の場合、健康保険料と厚生年金保険料を合わせて、従業員負担分として約2万円程度が控除されます。40歳以上の方は、これに介護保険料が追加されます。

給料20万円の場合の社会保険料はいくらですか?

給与20万円の場合、標準報酬月額は20万円の等級に設定されます。健康保険料(約11,000円)と厚生年金保険料(約18,300円)の合計約29,300円を事業主と折半するため、従業員負担は約14,650円となります。ただし、地域や加入している医療保険制度によって実際の金額は変動します。

社会保険料はどうやって決まるのですか?

社会保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算されます。標準報酬月額は実際の給与を等級表に当てはめて決定され、毎年7月の定時決定や、給与に大きな変動があった場合の随時改定により見直されます。

なぜ4月から6月にかけて保険料が多くなるのですか?

この時期に保険料が増加する主な理由は、新年度からの保険料率の改定と、春の昇給による標準報酬月額の変更が重なるためです。また、賞与支給の影響で報酬額が上昇することも要因の一つです。

社会保険料は給料の何パーセントですか?

社会保険料の合計(健康保険料と厚生年金保険料)は、標準報酬月額の約15%~20%程度です。この金額を事業主と従業員で折半するため、従業員負担分は給与の約7.5%~10%となります。40歳以上の方は介護保険料が追加され、負担率が若干上昇します。

被保険者の資格はどのように決まりますか?

被保険者とは社会保険に加入している人のことを指します。一般的に、週20時間以上働く従業員や月額賃金88,000円以上の短時間労働者は社会保険の被保険者となります。被保険者が社会保険料を納め、その対価として医療保険や年金などの保障を受けることができます。被保険者の資格は入社時に取得し、退職時に喪失します。保険厚生年金と健康保険の被保険者資格は同時に取得・喪失するのが一般的です。

社会保険料と国民健康保険料の違いは何ですか?

社会保険料は会社員や公務員が加入する制度で、健康保険料と厚生年金保険料などから構成されており、事業主と被保険者で折半するのが原則です。一方、国民健康保険は自営業者や無職の方が加入する制度で、保険料額は市区町村が決定し、加入者が全額負担します。また、国民健康保険には年金部分がないため、国民年金に別途加入する必要があります。わかりやすく解説すると、社会保険は「職場を通じての加入」、国民健康保険は「地域を通じての加入」という違いがあります。

労働保険料と社会保険料はどう違うのですか?

労働保険料は労災保険と雇用保険からなる制度で、主に労働災害や失業に備えるためのものです。一方、社会保険料は健康保険と厚生年金保険を中心とした医療や老後の生活を保障する制度です。雇用保険料は労働者と事業主の双方が負担しますが、労災保険料は事業主のみが負担します。解説社会保険料の仕組みとは別に、労働保険は労働者の安全と雇用を守るための制度であり、社会保障制度の中でも役割が異なります。両方とも給与から天引きされるため、給与明細で確認することができます。

健康保険料額はどのように計算されますか?

健康保険料額は標準報酬月額に健康保険料率を掛けて計算されます。例えば、標準報酬月額が28万円で健康保険料率が10%の場合、月額の健康保険料は28,000円となります。この保険料は一般的に事業主と被保険者で折半されるため、被保険者負担は14,000円となります。保険料率は加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)によって異なり、毎年見直される場合があります。40歳以上65歳未満の被保険者が加入する介護保険の保険料も同様に計算され、健康保険料に上乗せされます。

被保険者が育児休業等を取得した場合の保険料はどうなりますか?

被保険者が育児休業等を取得した場合、申請により社会保険料が免除される制度があります。この免除は育児休業等の開始月から終了予定月の前月までが対象となります。ただし、月末が育児休業等終了日である場合は、その月も免除の対象となります。この制度により、育児休業中の経済的負担を軽減することができます。なお、免除されるのは保険料の納付義務のみで、被保険者としての資格は継続されるため、医療保険の給付などは通常通り受けることができます。育児休業等終了後は、通常通り社会保険料が発生します。

雇用保険料はどのように計算されますか?

雇用保険料は給与総額に雇用保険料率を掛けて計算されます。2024年度の一般の事業の場合、雇用保険料率は9/1000で、このうち労働者負担分は3/1000、事業主負担分は6/1000となっています。例えば、月給20万円の場合、雇用保険料は1,800円となり、このうち労働者負担は600円、事業主負担は1,200円です。わかりやすく解説すると、社会保険料が標準報酬月額に基づいて計算されるのに対し、雇用保険料は実際の給与総額に基づいて計算される点が大きな違いです。また、雇用保険料は標準報酬月額ではなく、実際に支給される給与・賞与の総額に対して計算されます。

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